エピローグ
「ここは・・・」
見たことのない天井を眺めゼロスは目を覚ました。
「よう。起きたようだな。」
「ああシーザ。ここは?」
どうやら僕は眠っていたようだね。最後の記憶は・・・そうだ蟲毒のパピルサグに逃げられたところだ。
「ここは帝国の城だ。俺たちは倒れて運ばれたらしい。」
そうかあの後搬送されたんだな。随分とまぁボロボロにされたみたいだ。おかしい。僕まだ有給を楽しみに来たのにほとんど戦闘しかしてない。僕の求めてたのはこう・・・もう少し平平凡凡な日常だ。どうしてこうなった・・・。
「どれくらい寝てたのかな?」
「お前は丸一日だ。俺は半日だな。看病はそこにいるフロンの嬢ちゃんが付きっ切りでやってくれたってよ。起きたら感謝してやんな。」
そういわれて隣を見てみると寝息を立てながら椅子に座って眠っているフロンがいた。
ゼロスは体を起こし起きないように頭をなでながら「ありがとう」と感謝の言葉を述べる。
「とりあえずあの後どうなったか聞いていい?」
「ああ。俺たちが倒れた後の話なんだが又聞きになるがそれでもいいか?」
「お願い。」
とにかく僕たちが倒れた後どうなったのか知りたい。
「まずは俺たちが倒れてゴーレムのベヨネが回収されたんだがすでに死体だったらしい。」
そういえばパピルサグはすぐに死ぬとか言ってたっけ?
「死因は?」
「魔力を吸いつくされて死んでいたらしい。」
そういえばこの世界ってすべての生物が魔力を持っていてそれがなくなると死んじゃうんだっけ?そうならないように体が魔力を枯渇しないように気絶するらしいんだけど。
「ああ。ベヨネは気絶した後もパピルサグに操られて魔力を使い切るまで動けって命令されてたのかな。」
「まぁそんなところじゃないか?パピルサグがすぐに死ぬって言ってたのはこういうことだったんだろうな。」
「それでその後は?」
ベヨネが死んだってことは元老院を捕まえる手立てがなくなるよね?それじゃエルフ達が報われないような。
「今回の事件で皇帝は徹底的に元老院を糾弾するみたいだぞ?エルフに対する行為で戦争になるところだったことを国民に伝えたのが大きかったようだな。それで国民からも元老院に不満が噴出したらしい。」
「それって皇帝は糾弾されなかったの?」
政治に関することだから皇帝にまで飛び火してもおかしくないような。
「それが元老院が毒を盛ったと伝えて被害者だと思ったんじゃないか?先代皇帝も立派な人だったからその部分も大きいんだろう。」
なるほど。皇帝は人格者が続いてたからそれが功を奏したわけだね。まぁそれだけ元老院がやったことが問題だってこともあるけどね。
「そうそう。疑わしい元老院は領主邸に実力行使に出るらしいぞ。昨日から関与したと思われる元老院のところに兵士が向かって行ってるってよ。」
「それなら証拠が出れば即連行って感じか。」
実力行使にいけばその証拠を持っている元老院はどうにもできないだろう。
「ただなぁ。最も疑わしいとして兵士が突入したルードの領主邸なんだが。」
「その顔を見るとやっぱり証拠は出なかったって感じだね。」
「ああ。その通りだ。」
たぶんほとんどの証拠をベヨネに押し付けたんだろう。正直今回捕まえられないのは痛いだろうけどいつか皇帝が捕まえてくれるのを祈るしかないよね。
「帝国はこれから大変だね。門は破壊されるし、兵は負傷、死傷者をだして挙句に皇帝は周りの人間が親衛隊しか信用できないと来たもんだ。」
「長年元老院に蝕まれてきた結果だろう。国の運営に関しては専門外だし、自分たちでどうにかするしかないだろう。」
「そうだね。」
実際僕たちがでしゃばることでもないだろう。
「ところで俺は聞いたぜ?お前皇帝に参謀やらないかと話を持ち掛けられてるらしいじゃねぇか。」
あれ?なんでシーザ知ってるの?あれエーヴェルと僕しかいない状況で話していたはずなんだけど。
「どうしてそのことを知ってるのかな?」
「盛大にエーヴェル皇帝が言いふらしているらしいぞ。それだけお前が欲しいんだろうな。」
まさか外堀を埋めていく寸法か!やらないぞ。僕は参謀なんてやらないぞ!
「勘弁してよ。僕は自由に生きたいんだから。」
「でも約束は約束だからな。お前はうちのギルド員になるって言ったもんな。」
「それがあるから参謀なんてできないんだよ。簡単に約束破るような人間じゃないよ僕は。」
人間じゃないけどさ。神様でも約束は守るべきだと思うよ僕は。
「そういう割にはフロンの嬢ちゃんを人質にされた時にお前どうするつもりだったんだ?ん?言ってみろよ?」
ぐぅ!痛いところを突くなぁ!
「そっそれは・・・。」
「まぁお前の行動を全面的に肯定するわけじゃねぇが立派だとは思ったぜ。たぶんお前自分が死ねばフロンの嬢ちゃんは殺されないと思ったんだろ?」
そうその確信はあった。パピルサグは一度シーザを見逃している。それは無駄な殺しをしない主義だということだからフロンが殺されることはないと踏んでいた。でも幸運だった。あの時のお守りがこんなところで生きてくるとは思わなかった。
「ただその通りにはならなかったがな。エルフの族長も言ってたよ。フロンは神に愛されてるって。嬢ちゃんが願えば願われた人たちはみんな無事に帰ってくるんだとよ。お前の言った通りだったよ。」
ハハッ!そうか。ならこれは必然だったのかな?僕はフロンに無事でいてほしいと願われてたから助かったのかもしれない。
「ならよりフロンには感謝しないとね。」
「そうしとけ。」
そういって二人はフロンを見て少し笑い、フロンが起きるのを待つのであった。
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謁見の間
「重ね重ね感謝させてくれ。今回はそなたたちがいなければさらに帝国には被害が出ていたことだろう。」
そういってエーヴェルは頭を下げる。下げている相手はもちろんゼロス、シーザ、フロンの三人にである。
そしてこの謁見の間にいるのはエーヴェルとデュランも含めた五人だけである。
「それはいいです。僕たちも死人が沢山出るのが嫌だったから行動したんです。それにもっと早く気づいていれば死傷者は減らせたと思います。」
「ゼロス。それは傲慢な話だぞ?俺たちは俺たちにできることをしたんだ。それ以上を望んでもできないことはできない。」
小さい声でゼロスの言葉をシーザが否定する。
「それでもだよ。あの時兵との軋轢とかを気にして動くのをためらった。人の命には代えられないと思うんだ。」
「まぁ考え方はそれぞれだ。これからは後悔しない選択をするんだな。」
「そうするよ。」
そういって二人は話すのをやめる。
「それで褒美の件なんだが・・・。」
その話に移ろうとしたときゼロスが口を出す。
「私はその褒美は受け取りません。」
そういってゼロスはすぐに断った。
「俺もいらないぞ。ゼロスと同意見だ。」
シーザも断る。敬語ではないのはデュランに睨まれても気にしないとかギルド長という肩書があるとかそういう理由だろう。
「私もです。」
さらにフロンまでもこれを断った。
「何故だ?それだけの功績を上げたのに皆なぜ断るのだ?」
そのエーヴェルの問いは当然である。命を懸けたのにそれに対して報いることをなぜ断るのか理解が出来なかった。
「僕たちはお金に困ってませんし、地位とかそういったものは自由に動けないのでいらないです。それが理由です。」
「うむぅ。そうすると帝国のメンツに関わるのだ。どうにか受け取ってもらえぬか?」
「それならその報酬は今回死傷者が出てその周りにいる人たちへの補てんに充ててください。一度は受け取ったことにすればいいでしょう?」
そう。ホントにお金に困っていない。だから使わないなら有用に使った方がいいでしょ。
絶対に受け取らないという意思を見てついにエーヴェルが折れ、ため息を一つつく。
「はぁ。そなたたちのような人間ばかりなら世の中こんなに苦労はしないんだがな。わかった。今回の件の補てんに有難くあてさせてもらおう。」
「それでお願いします。」
「相分かった。我が国グランドル帝国はそなたたちに最大の感謝を表そう。それでは下がってよいぞ。」
「はい。それと私たちはここでフリージア王国に帰るつもりです。あまり長居してもいいものではないので。」
これから帝国は忙しそうだしそろそろ戻った方がいいよね。
「なら馬車を出そう。せめてそれくらいはさせてくれ。」
「感謝します。それでは失礼いたします。」
そういって僕たちは謁見の間を後にする。
「いいのかゼロス?エーヴェル皇帝と積もる話とかあったんじゃないか?」
まぁ話をするのはいいんだけどさ。
「話をすると参謀にならないかという話が毎回出てきちゃうからね。評価されるのはありがたいんだけどね・・・。」
「私たちは王国のギルドに登録しなきゃいけないしそういうわけにもいかないしね!」
「それもそうだね。」
さて帰る準備をしようか。あっそういえば。
「そうだ!フロンは族長にギルドに入ることを伝えたの?」
「うん。許可はもらったよ。しっかり勉強してきなさいって。」
まぁここに来るまで国の情勢とかそういったものも知らなかったしそれでいいのかもな。
「まぁ馬車の準備ができるまで少し時間もありそうだしエルフのみんなに別れのあいさつでも行ってくるといい。」
「うん!わかった!」
そういってフロンは客室にいるエルフ達に走って挨拶に行った。
「あー。ようやく終わったな。」
「ホント。正直疲れたよ。こんなに命賭ける羽目になるとはね。」
いやぁまだ有給始まって五日も経ってないんですけど。これおかしくない!?どこに数日で何回も命賭ける有給があるんだよ!うんここにいるね。僕の事だね。
「とりあえず帰って俺は国王に報告して報告書書いて、新しい剣用意して鍛錬してってやることありすぎて萎えてきた・・・。」
ああ。僕も鍛錬しないと。命狙われてますから・・・。
なおフロンが帰ってきたときに二人が完全に死んだ顔をしていて驚かれた。
その後何事もなく一日馬車に揺られて昼頃にフリージア王国に着いた。
「着いたー!」
「よーし。俺はとりあえずやること沢山だからここで解散するか。ギルドには明日にでも来てくれ。」
「「了解!」」
それじゃあ僕たちは何しようか?
「そんじゃまた明日な。」
そういってシーザは帰っていく。
「僕たちは何しよっか?」
「それなら約束果たそうよ!」
そっか。まだ昼頃だもんね。
「よし!それじゃあ観光に行こうか!」
「うん!」
そうして二人は王国を観光に行き、エルフの少女フロンを発端にした事件は終わりを告げたのだった。
一挙投稿でまだ2章のプロットが出来てません(笑)
プロット作成に1日、話更新に2~4日程度で更新していきます。




