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酒の席の…

よろしくお願いします

「瑠璃は本当に玻璃の事を上手くあしらうよな」

 感心したように真琴が言った。

「初めから玻璃は瑠璃には頭が上がらなかったからな。っていうか、玻璃は瑠璃の言うことしか聴きやしないじゃないか」

 溜息交じりに中将が言った。

「…確かに、その通りかもな。今回は本当に危なかった。これで帝位を継いだ後にも彼女が見つからなかったら、あいつは確実にこの世を滅ぼしていただろう」

 珍しく真琴が同意した。

「それなんだよな、俺達は七人いてこそ魔族に対抗できるようになってるだろう?でもな、最初の記憶は六人なんだよな」

 今まで疑問に思っていても口にしなかった事を滑ったように言った。

「お前、忘れてるのか?」

 真琴が呆れたように中将の肩を叩いて聞いた。

「…忘れてるって…?」

「あぁ、もう、解った。夜、家に来い。酒をご馳走するから」

 真琴は仕方ないと諦めて中将を誘った。

「それはありがたい。もちろん断る理由はないからな」

 中将は楽しそうにその誘いに乗ることにした。それをみて、更にげんなりとした真琴がいた。



 始まりは魔族の支配下にあった人の中に疑問を持つ子供が生まれた事。争いの只中で魔族に良いように扱われ、殺されていく中で、魔族に反抗をもつ子供がいた。だが、その力は小さく、弱く、到底敵う力ではなかった。

 そこに人を憐れんだ一人の神が子供に力を貸した。

 子供は魔族を退けるため、他に五人の同じ疑問を持った子供を選んで仲間にした。一度は魔族を退けたが、魔族も黙っていなかった。新たに造られた人の世を奪おうと侵攻してきたのだった。神は今一度力を貸す事を決め、貸し与えたが、そこで神は力尽きてしまう。

 始まりの子供はその時に貸し与えられた力と共に記憶を封印することを決めた。仲間の子供達も同様に決め、記憶の継承と力の継承を同時に行うことにした。

 自分の子孫に魔族が現れる時にのみ自分の記憶と力を継承する事で、神に与えられた力が消失するのを防いだのだった。

 数度目かの戦いの時に始まりの子供の子孫が能力を発動させたが、暴走させてしまう事件が起きた。いくつもの重圧に耐えきれなかったための暴走。他の者達がどれほどに止めようにも止められなかった。

 その時、奇跡のような事が起こり、始まりの子供の力は二分され、一つは留まり、もう一つは力尽きた神に戻ったのだった。力尽きていた神は人の子になる事を望み、人の世に留まった。

「で、その始まりの子供が玻璃であり、神が人の子になったのが瑠璃なんだよ。だから、あいつらがこの世で一番力も強い。私達はあいつらの補佐の役割だからな」

 もう何杯目になったのか、かなりな量を飲み干して真琴は言った。

「そう言えば、そんな事もあったな」

 頷きながら中将は真琴に酒を注ぎながら言った。

「そんな大事な事、忘れてるお前が私は信じられんっ」

 真琴は注がれた酒をまた飲み干して中将に杯を差し出した。

「まあ、そう怒るなって。それより、飲み過ぎだぞ」

「明日は、私は休みだからな。今日飲み過ぎたからといって別に困りはしない」

 かなり出来上がっている真琴に苦笑しながら、中将は真琴から杯を取り上げた。

「これ以上はダメだ。解っているんだろう?」

「うるさいっ」

「真琴。いくら俺でも怒る時はあるんだぞ」

 中将の真剣な表情に少し竦みながら睨みあげる。だが、それ以上は抵抗しなかった。

「良い子だ。何に怒っているのかは知らないが、お前が寝るまではいてやるから、酒はやめろ。愚痴は聞いてやる」

 中将は手慣れた感じで真琴の髪を解き、寝所に寝かせた。

「…お前はズルイ。私の心をいつも弄んで。私がいつもどんな思いでお前を見ているかなんてわからないだろう?」

 真琴は中将の服を離さず、赤い顔を中将の胸に預けた。

「真琴、お前こそ、俺の気持ちを知りもしないで。女の身で陰陽寮に入って、いつも男の中で……俺がいつもどれだけ心配してるかなんて知らないだろ?」

 返事の代わりに寝息が聞こえ、中将は盛大な溜息を吐いた。

服を掴んだまま、寝てしまった真琴に軽く起きるように言ったが完全に寝入っているようで起きる気配はなかった。無理に服から手を離させては起きてしまいそうで、仕方ないと一緒に横になる。

「これくらいは、許してくれよな」

 無防備に肌蹴た着物を整えながら、唇を軽く重ねた。

ありがとうございました。

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