表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/9

珠を持つ者達

よろしくお願いします

「やはり、出会ってしまわれましたね」

 高い木の枝から二人の様子を見ている者が呟くように言った。

「出会ってもらわなければ、この世界はなくなっていた」

 一人はほっとしたように溜息を吐いた。

「…でも、この世界に危機が訪れてしまうことは避けられない。出会わなければ、もしくは…」

(りゅう)(じゅ)。彼らが出会わなければ、玻璃がこの世界を見捨てていたかもしれない。あいつはそういうやつなんだよ」

 青年は思い出して身震いした。彼の事を知っているからこそ、そんな事がないようにしなければならないとも思っていた。

蝦蛄(しゃこ)、そろそろ、お(かみ)が帰ってくる。いい加減に出仕しろ」

 整い過ぎた女性を思わせるような青年、竜珠が蝦蛄と呼ばれた青年に言った。

陰陽寮(おんみょうりょう)って言ってもさ、お(かみ)自身がこの世界の命運を握ってるんだ。今更何を視ろって言うんだよ」

 蝦蛄が大袈裟に溜息をついて抗議した。

「お前、陰陽寮は私の仕事場だ。お前は内裏でお主の補佐だろう?」

 呆れたように竜珠が訂正した。

「女のお前に陰陽寮を仕切らせておいて、内裏でのほほんとお子様の相手はできないよ」

 蝦蛄がそういうと凄い勢いで竜珠が胸座(むなぐら)を掴んだ。

「女と言うことを知っているのはお前だけだ。それに女だからとばかにするな!」

「…すっ、すまん。口が滑った。別にばかにしているわけじゃないんだ。お前にかなり負担を強いているから…」

 あまりの剣幕に蝦蛄が恐れ戦いて本音を言った。

「今はそれ程、負担は無いよ。お前が手伝ってくれるからな。それより、これからの事だ。お主とあの娘が出会ってしまった。最後の一人があの二人の前に現れるのも時間の問題だ」

 溜息交じりに竜珠が言った。

 もういくつ転生を繰り返してきただろうか。神に選ばれ、人の世界が危機に瀕した時に転生を受ける身体。幾度となく世界を崩壊寸前にまで追い込まれ、かろうじて免れてきた。誰に褒められるわけでもなく、すべて闇に葬り去ってきた。

「始まりの時からの記憶がすべてあると言うのがこれほど苦痛だとは思わなかったよ」

 蝦蛄が大袈裟に溜息を吐いた。

「だが、それを選んだのは私達だ」

 諦めたように竜珠が空を仰いだ。

「…そうなんだけどな」

 蝦蛄も竜珠の眺める先を追いかけた。

(みや)は揃った事だし、そろそろ珠の所有者で集まらなきゃな」

 竜珠は仕方ないと言外に言って、木の枝から飛び降りた。

「あっ、先に行くなよ」

 蝦蛄は彼女を追って、枝から飛び降り、難なく地面に無事着地した。

「転ばないし……蝦蛄、帰るよ」

 ちっと舌打ちして口の中で小さく呟いてから、蝦蛄を促して、その場を後にした。

「舌打ちして行くなよな。待てって、竜珠」

「…待たない」

 追い掛けてきた蝦蛄を振り返る事もなく、竜珠達は森の中を迷うことなく帰ったのだった。

ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ