2話
2話
転校生を見たその日から僕はなんだか調子がおかしくなっていた。
友達と話している時、授業を受けている時、転校生のことが気になってしょうがなかった。
もちろん、僕は同性を好きになったことなんてない。だが、無性に転校生を見てしまう…そんな自分に少し驚いていた。
とある放課後、僕はたまたま図書館に用事があった。暇つぶしに本を少し見ていると…
ーガラッ
「!?」
「あれ、人がいた。」そこには転校生が立っていた。
「君、俺と同じクラスだよね?名前なんだっけ?」
「橘 結人…です。」
「橘くんかー!よし、覚えた!!」そう言って彼は笑った。
「俺の名前はねー…」
「知ってますよ。柊 謙吾くんでしょ?」
僕がそう言うと柊くんは驚いた表情を見せた。
「え、俺の名前知ってるの?」
「当たり前じゃないですか。クラスの人の名前くらい覚えてますよ。」
僕は元々こういう軽い感じの人は苦手だった。それでも話しかけられたからしょうがなく話しているつもりだったのだが、いつの間にか話すことが楽しくなっていた。
「んじゃ、また明日ね!橘くん!」
ニコニコ笑いながら柊くんは大きく手を振った。
僕は少し戸惑いながら小さく手を振った。
初めて話したその瞬間から、僕はさらに柊くんのことが気になって仕方なくなっていた…。