蕾
「無理。あたし、勉強しなきゃいけないし。」
立上がる。
「えぇ!いーじゃん。たまにはさっ」
ニカっと笑った。
はぁ...。
「あのさ、勉強したいの。」
「息抜き!」
「息抜きなんていらない。帰るから、まら今度ね。」
あたしは出口に歩く。
「っ...今度な!」
笑って手をふる。
手を出しただけで、あたしは教室を出る。
ひどい、なんて...思わないでよね。
あたしは、まったく好きじゃない人と、無理矢理付き合ってるんだから。
もっと、カッコいい人がいい。
なんて...あたしも、あたしか。
「ただいま。」
言ったって、意味ないか。
誰もいない家。
部屋で勉強を始める。
...お母さんが、忙しくてごめんねって携帯を買ってくれた。
〜♩
雄馬かよ...。
「もしもし?」
『もしもしっ?』
「なに?どうしたの?」
右手で携帯を耳に当てる。
左手で勉強。
なんと、あたし両ききなんですよね。
『いや...声聞きたくて。』
イラっ。
「切るよ?」
『あー!やだやだっ!これでも、俺...頑張って電話かけたんだぞっ』
照れぎみに言った雄馬。
はぁ...いっか。
付き合ってやるか。
「はいはい。」
『切らないのか?』
「...切ってほしいの?」
『えっ?!や、やだよっ!』
あたしは思わず。
「あっはは...。」
笑っちゃった。
『...笑ったの?!えぇ!笑った顔見たかった!遊ぶとき、いっつも下向いてるし長い髪で見えないんだよなぁ。
笑い声はするけど。』
まぁ、確かに。
笑いはしますけど?
もちろん、作り笑いですけど?
今のは、作ってませんけどね?
「あたし、風呂はいるから。」
『え〜?わかった。じゃあ、また明日な』
あたしは電話をブチっと切る。
立った瞬間。
立ちくらみが訪れた。
うっ...。その場にくるまる。
しばらくして、ゆっくり立ち上がりため息をついてお風呂に入る。
すぐに寝てしまった。