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12-COSMOS



 その後、準備が整った私達は話し合いの末、ユーラシア大陸を離れることにした。次の行先は、北アメリカ大陸、アメリカ合衆国。





「品のない国ね」



 到着早々、ミラーカはアメリカの様子に文句を垂れた。


 時は西部開拓時代真っただ中。南北戦争終結後も国内外で激しく戦火があがり、急激に発展する大国。


 イタリア人により発見され、その後どんどんとヨーロッパ各国の白人が入植し植民地化されていったアメリカ大陸は、「明白な天命」をスローガンに開拓を進め、「自由と民主主義」の理念を形成していく。


「自由と民主主義」を旗印に掲げ原住民を大量虐殺し圧力と合理主義に走った白人は、アフリカ人や原住民を奴隷として使役し、厳しく迫害・差別した。

 後に独立宣言がなされた後もリンカーン大統領の登場まで奴隷制度は続き、撤廃された今もなお、人種差別は根強く残っている。



「人間でなくなってしまった私達にとっては、愚かとしか言いようがないな」

「本当ね、人間は人間。私達にとっては人種が違ったってみんな同じ。血の詰まった袋にしか見えないわ」

「全くだな」



 ミラーカと二人でシシリアンマフィアの屋敷を壊滅させ強奪した後、何とか安息の地を得られた私は、それから長期間の休養を必要とした。



 屋敷の中に引きこもり、ゆっくりと体を休めて傷を癒す。失われた血も力も十分に回復して休養を終えた私を待っていたのは、新しいアメリカだった。



「うふふ、あなたが休んでる間に随分様変わりしたでしょう?」

「あぁ、驚いたな」



 屋敷の外に広がるのは黒人のスラム。そのスラムを抜けると、巨大な建物が立ち並ぶ経済の中枢ウォール街。



「あなたがサボってる間に面白いイベントを一つ逃したわよ」

「なんだ?」

「世界大戦」

「世界大戦? 世界規模で戦争が起こったのか?」

「えぇ、アメリカ本土は攻撃対象ではなかったけど、アメリカからも出兵したみたいよ」

「そうか、それは勿体ない事をした」

「それについ2か月ほど前、もっと面白い事が起きたの」

「今度は何だ?」

「世界恐慌。今、アメリカを中心にして、世界の経済は大嵐よ」

「アメリカは世界を巻き込むのが趣味か」

「そのようね。それより、約束通り私の護衛をお願いね」

「あぁ、わかった」



 一通り街を散策して屋敷に戻ると、今度はミラーカが昼寝に入った。ひとまず屋敷の中をもう一度見まわってみると、金庫の現金が思ったより少なく感じた。

 すぐに思い立って屋敷を出て、銀行へと向かった。目的は当然、銀行強盗だ。



 と言ってもさすがの私も銀行強盗は初体験だ。銀行に入って中の様子を見回してどの様に強盗しようか思案していると、後方のドアから帽子をかぶり、高価なウールのスーツを着た3人の男が颯爽と入って来た。



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