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アカネさんかく語りき、あるいは…  作者: 藤崎403


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1/1

あるいは車輪の下に

ゴトゴト……と揺れる車体。

微妙に薄暗い、薄く黄色がかった蛍光灯。

カビ臭い緑のシート。

『駆け込み乗車はご遠慮ください』とセリフの書かれたデフォルメされた猫のポスター。

シートに横並びで座る僕と、彼女。

「どうして!?」

延々と続く異常事態に僕はついにキレた。

「ここどこ!?今どの辺!?ほかの乗客はどこへ!?」

頭を抱えてガシガシと掻きむしる。

アカネさんの「土曜日は買い物に付き合って」の言葉に大いに期待を胸に膨らませた結果がこれだ。

土曜日の朝に地下鉄駅の出口前で集合し「待ちました?」「私も今来たところよ」なんて一時的に甘い夢を見せつけられた。

ウキウキと「では行きましょうか」なんて言って地下鉄に乗り……あれ?いつからこうなったんだっけ?

車両に乗った時はまだ人がいたはず。そのあと、二人分座席が空いたので、ドキドキしながら隣り合わせに座り、

「うわ、めっちゃいい匂い」とか、隣に座るアカネさんの体温にどぎまぎしていたら……くう!完全にアカネさんに惑わされている!

自分の浮足立った思考が憎い!!!

「……たくみ、電車の中ではお静かに。地下鉄でもそうよ」

アカネさんは右手の爪を熱心に見ながら気だるげに発言した。

「どうしてアカネさんはこの状況でそんなに落ち着いてるんですか!?明らかにおかしい状態じゃないですか!?」

僕とは対照的な態度のアカネさんはチラと暗い窓に目線をやった。

「……そういえば、地下鉄ってこんなに大きな窓が必要なのかしら?別に景色が見えるわけじゃないし、もっと小さい窓にしてもいいんじゃないかしら?」

「えっ?」

確かにそれは……窓が小さければ車両の剛性があがり……

いや、乗る側からすれば……乗っている間ならそうかもだけど、駅に着いたらホームにどのくらい人がいるかとか、ホーム側からなら車両内の人が見えるとか、地上の車両と設計を共通化することでコストも下がり、視界が確保できるので防犯や、エトセトラ、エトセトラ。

「フフフ、ちょっとは落ち着いた?」

アカネさんはいたずらっぽく笑った。

「ま、まあ多少は」

「異常事態が認識できるということは、私たちは通常なの。そうは思わない?」

「そういうものなんですか?」

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