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夢の中で生きていた僕は、ある日目を覚まさなくなった  作者: 月白
第四章

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第二十七話

柔らかな感触。


遠くを走る車の音と、壁越しに響く水道の音。


目を開ける。


父さん(レオニス)のマンションだ。


ゆっくりと起き上がる。


「おはよう」


起きたことに気づいたレオニスが、こちらへ駆け寄ってきた。


「痛っ!」


途中、床で寝ていた翔の足を踏んでしまう。


「すまん」


翔も目を覚まし、眠そうに目をこすりながらこちらを見る。


「どうだった?何か分かったか?」


俺は二人に、眠ること以外で分かった情報を説明した。


「ーーってことで、始まりの地について調べたい」


「なるほどな......そうなると、アルスの痕跡を辿らないといけないよな」


レオニスが顎に手を当てながら言う。


「一万年も前となると......縄文時代だぜ?」


三人で考え込む。


そのとき翔がふと口を開いた。


「そもそもさ。アルケアの命が尽きて、そっちの世界では歪みが再発したんだよな?」


「ああ」


「じゃあ、なんでこっちの世界には歪みも魔物も出ないんだ?」


確かにそうだ。


こちらの世界には、歪みも魔物も存在していない。

文明がここまで進んでいるんだ。

何かあれば、とっくに発見されているはず。


「おい、これ見てみろ」


パソコンで調べていたレオニスが、画面をこちらに向けた。


「石?」


「ああ。縄文時代からあるらしい」


画面には、大きな石が映っていた。


「......その石、見に行けない?」


なぜか、行かなければいけない気がした。


直感だった。


「車で二時間くらいだな」


「よし、ちゃちゃっと準備して行こうぜ」


俺たちは身支度を整え、車に乗り込んだ。


――――――――――


車に乗ってから二時間ほど経った頃。


『目的地は周辺です』


カーナビの音声が流れる。


「ここみたいだな」


車を停め、レオニスが言った。


俺たちは車を降りる。


「すんごい山だな。空気もうまい」


翔が辺りを見渡す。


パワースポットにでもなっているのだろう。

ちらほらと人の姿が見えた。


「石はこの先か」


近くの看板を確認し、俺たちは道順に従って歩く。


五分ほど進む。


「あ!見えたぞ!」


翔が興奮した声を上げた。


坂道の上に、確かに石が見える。


「おい!早く行くぞ!」


そう言ってかけるは走っていった。


この坂でよくそんな体力があるな。


俺とレオニスは顔を見合わせ、少し笑う。

そのまま歩いて向かった。


――――――――――


「うわあ......」


「画像で見るより、遙かにでかいな」


目の前に立つ巨石に、俺と翔は思わず声を漏らした。


ぐるりと回り込む。


「あれ?何か書いてあるぞ」


翔が石の中央を指差す。


「おい、これって......」


レオニスが目を細める。


「......っ!」


そこには、ルナリアの文字でこう刻まれていた。



”救世主アルスここに眠る”



「もしかして、ルナリアの言葉?」


翔が聞く。


「ああ......どうやらここにアルスが眠っているみたいだ」


「えっ、マジかよ。じゃあ墓ってこと?」


「いや......」


俺は首を振る。


墓だとしたら、この大きさの石をここまで運ぶのは不可能だ。


だとしたらーー


アルカイアと同じ。


「これは......アルス自身が柱となった結界だと思う」


俺の言葉に二人が目を見開く。


「どういうことだ?」


レオニスが聞く。


「アルカイアと同じで、アルスもここで眠り続けてこの世界を守っているってことなんじゃないかな?

こっちの世界で歪みや魔物が出ない理由にも繋がるし」


「そういうことか!」


「そういえば、ミナトは大樹に触れることでアルカイアと話せたんだよな?」


レオニスが言う。


「だとしたらこの石にも触れることで、アルスと話せるんじゃないのか?」


「確かに」


だが、周囲には見物に来た人たちがいる。


「さすがに今触れたら、人の目もあるし、みんなが帰るまで待とう」


俺たちは訪問者たちが帰るのを待った。


――――――――――


どれくらい経っただろう。


虫の鳴き声と、木々のざわめきだけが響く。


気づけば、辺りに人の姿はなくなっていた。


「よし」


深呼吸をする。


石へ近づく。


翔とレオニスが心配そうに見ている。


俺はゆっくりと手を伸ばしーー


石に触れた。


ひんやりとした感触。


その瞬間。


視界が白く染まりーー


俺はまた、アルカイアの時と同じ空間に立っていた。


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