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夢の中で生きていた僕は、ある日目を覚まさなくなった  作者: 月白
第二章

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第十話

―――――1年後


一六歳の誕生日を迎えたあと、私は王都で成人の儀を受け、

ボーダーキーパーの任を授かった私は、城へ移り住むことになった。


それから月日は流れ、さらに2年後。

実家から一通の手紙が届いた。


差出人は、ミナト。


内容は簡潔だった。

話したいことがあるから、近いうちに王都へ向かうよーーそれだけ。


私はすぐに返事を書いた。

王都に着いたら、城の門番に名を告げるように、と。




――――――数日後


「姉さん!」


門番に案内され、ミナトが私の部屋へ駆け込んできた。


「ミナト......!ちょっと見ない間に、随分大きくなったわね」


そう言って並んで立ち、背比べをする。

いつの間にか、私よりも背が高くなっていた。


「まだまだだけどね。それより姉さんーー父さんが昔、話してた夢の内容、覚えてる?」


「色んな異国を旅してたって話?」


「そう!実は僕も、ここ一ヶ月くらいかな。眠ると”日本”って国で生活する夢を見るんだ」


「夢、ね......。で、話したかったのはそれ?」


ミナトは少し真剣な表情になった。


「夢の中で僕は、僕の姿のままなんだけど......なんていったらいいんだろう。

正確には、”湊”って名前の男の子として生きてるんだ」


「......どういうこと?」


「順番に話すね」


――――――


ミナトの話は、にわかには信じがたいものだった。


夢の中で目を覚ますと、そこは”病院”と呼ばれる場所。

泣いている両親、白衣を着た”医者”。


事故に遭い、身体は酷く傷ついていたらしい。

目を覚ましたのは奇跡だと告げられた。


鏡に移った自分の姿は、髪色こそ違うが、驚くほど自分に似ていた。


それ依頼ーー

向こうで眠ると、こちらへ。

こちらで眠ると、向こうへ。


「感覚もあるし、夢なのに夢じゃない。

湊は、絶対に実在していた人物だと思う。

......多分、もう一人の僕に、何かが起きたんだ」


静かに語るミナトの声に、嘘は感じられなかった。


――――――


その時、部屋の扉が開いた。


「失礼する。......すまない、盗み聞きするつもりはなかった。

ただ、その話ーー歪みが関係していると思う」


入ってきたのは、ノクティアだった。


「どういう意味?」


ノクティアは答える代わりに、静かに歌い出した。


――――――――――


みとこころ はなれたら

かげはよるに うまれでる

かげがゆがみを よびよせて

せかいはひそり きしみだす


とりはそらから おちてくる

むしはつちから はいあがる

かげにさわれば まになるよ

はんぶんびとは さらわれる


――――――――――


「......これは、私の村に伝わるわらべ歌」


歪みについての歌。そう感じた


「身と心が離れたとき......ね。

確かに、夢の中の湊は、まさにその状態だわ」


「はんぶんびとってもしかして、夢を見ることが出来る人のことをいってるんじゃ?

父さんも、夢をみていた......」


「......ありがとう、ノクティアさん」


ミナトは強く頷いた。


「僕、一六歳になったらボーダーキーパーになるわけだし、

それで、湊の歪みを静める。

そうしたら、湊は元の身体に戻れるかもしれない」



――――――2年後


ミナトは成人の儀を受けるため、再び王都を訪れた。


「ーー我、セリオン・ヴァルディアがここに宣言する。

そなたを成人と認め、ボーダーキーパーの任を命ずる。

......杖を授けよ」


王の言葉とともに、儀は終わった。


「これで......やっとだ」


ミナトの瞳は、不安よりも強い決意を宿していた。


「じゃあ、早速だけど。今日の巡回、一緒に行きましょう」


そう言って、私たちは城を跡にした。


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