4.こんにちは、赤(たまご)ちゃん。おっちゃんがママだぜ!!
この距離で最早見紛うはずもない。
アイギスの目に映ったまるいもの。
『た、たまご…』
丸く、つるりとしたフォルムの…卵。
食用の小さな鳥の卵とは異なる、かなりの大きさの卵が目の前に落下しつつある。
『た、たまごォォ!?ま、た、ま、まて!ちょっ、わ、割れる。ヤバっ、オイ止まれ、落ちるな!ちょっ、あ!?』
ぼーっと見ている場合ではなかった…
風を切り、慣性の法則を裏切らずに忠実に落下している…卵。
何処からどう見ても…卵。
空から星の欠片が降る事はあるが、まるいものは卵…
呆気に取られる暇もなく、卵が静止を聞くはずもなく…そう、このままでは卵は地面と衝突、破損は免れない。
ただ目標物に向かって走っただけではおおよそ間に合わない状況だ。
『んノヤロ!こうなりゃ仕方ネェ!〖風よ運べ!暴風の息〗』
補助魔法をかけるも、発動速度にヤキモキしながら木々をなぎ倒して爆走するアイギス。
『たまごのクセに空から降るんじゃネェェェェェ!!』
理不尽極まりない言い分である。
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『~~ゃネェェェェェ!!』
(………!?外、誰かいる?ひょっとして…)
諦念というか、考える事が面倒になり宇宙猫の顔になりかけていた波瑠の耳が微かに人(?)と思われる声を拾った。
(え、ひょっとして地面に激突回避できる!?)
この良くわからない状況が少しでも改善される可能性に、下降しかけていたテンションも上がろうと言うもの。
こうしてはいられない、蜘蛛の糸を掴む為には何かしら行動しなければ…
(うん、まずは声だね。)
(た、『ぱ』、助けてぇぇぇぇ!!『ぱるぅぅぅ
!!』)
『!!!?ぱ、る(え、な。)』
『!!オイオイオイ!最近は卵が喋るのかよ!!?』
かなり接近した場所から声が聞こえ
軽い衝撃を受けて体が揺れる感覚がするも
其どころではない。
『ぱるぅぅ(そんな、)、ぱるるぅ(ばかな…)』
『ヨッシ、卵捕獲完了だぜ!』
『る、るぅ(た、たま)』
『お、中身は生きてたか。手こずらせやがって…』
『ぱるるぅぅぅ!(たまごってぇぇぇ!)』
(どういうことーーーー!!)
主人公、空間ではなく自分が卵と気が付く。
さて、卵生の生き物はインプリンテング(刷り込み)がありますが、果たして波瑠は…




