2.おい!空から○○が降ってきたぞ!
見よ、其は天より来たり
星を詠み
命と運命を紡ぎて
全てを統べる王と成る
傲ることなかれ 定命の子よ
開闢の使徒
この大陸は―
旧くは多くの種族が犇めいていたという。
その多くは長い時の中で争い、淘汰され…
世を揺るがす程の大戦を経て…
ついに旧き者と呼ばれる種族による統治をみた。
天統べる竜神族
地を統べる神獣族
海を統べる海神族
後に呼ばれる三國統治時代の幕開けであり、これはついぞ500年前の事であった。
三國統治以降、種族間の争いは鳴りを潜め、比較的に治安は安定した。
安定はした…が…何時の世も統治者が座する中心部から離れた場所、こと辺境ともなると別の問題が発生しやすくなる。
強盗、密猟、人攫い…
そういった種族を問わぬ問題に頭を悩ませた各国の統治者が解決策として立ち上げた治安部隊が時代を経て統治者の手を離れ独立した「傭兵団」と為っていった。
時は下り……
獣人国辺境
夕暮れ時
白暁の護人は三國の中でも群を抜いて奇矯な傭兵団である。
三國の種族を網羅するが如くの団員構成。
戦闘員のみならず、学者から果ては吟遊詩人まで、非戦闘員も数多所属し、騎乗できる騎獣も桁違いにいる。
そのアルバニクスを率いる団長―
ラグザ・アーカムは辺境の治安維持のために数ヶ月間の任期に就いたばかりであった。
『団長、駐屯地の確保完了しました』
『問題は?』
『いえ、特に報告はありません。』
『そうか、では皆に体を休めるように伝えてくれ』
『承知いたしました』
駐屯地は整え終えた、さて休息にはいるか…と…
『おーい!ラグザ~ぁ。』
『………何だ、アイギス………』
『何か、空から丸いもんが降ってきてるって
ヨグがよぅ…』
『?星の欠片ではないのか?』
『に、しちゃあデケェらしいし、この時期に星の欠片は降らねぇよ。』
『……星詠みが見間違う事もないか…
仕方がない、アイギス、確認してきてくれ』
『応よ、ちっとばかし離れるぞ。』
『頼んだぞ。』
『へいへい、お堅いねぇーうちの団長は~』
『巫山戯てないで、いけ…』
『はいよ~(笑)』
アルバニクスの運命を左右する瞬間が刻一刻と迫り来ていた




