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29.出でよ、たまごサンド!!


話し合いの途中、動かなくなった龍の子だったが、何も問題はなかったようで、大人達は引き続き生命の揺籃(マナポッド)の運用について議論を開始したのだが…


『では、一先ずのところは、()()一機で様子見、吹き飛んだ二機の損傷具合を確認して、修繕可能であれば魔道技師(マギクラフテ)に預けるか…』

『それが適であろうな、治癒師の長よ。外郭の素体だけであれば吾に当てがある。』

『ほう、混沌の、何処に手配するつもりだ?』

王鉱石(アダマンタイト)程度であれば星霜人(ヨトゥン)とでも交渉しようぞ。』

『あの~鉄頭の~爺にか~』

『ヌシにも返すが、大概ヌシも爺であるぞ。』


どうやらポッドの外側だけであればヨグに心当たりがあるらしい。


しかし…一同が話し込む中で一人、ステータスを開いて物質置換(イクスチェンジ)が大分チートなスキルだと気がついてしまった波瑠の耳は…ぶっちゃけその話しの内容など聞いちゃいなかった。


(いやー癒しの水(アムリタ)が良くわからないポンコツスキルだったから、物質置換(こっち)のスキルが使えるスキルでよかった…このMPの消費量だったら余裕でまなぽっどの残りを弁償可能だね。)


ヨグやエンキルの忠告など宇宙の彼方に吹っ飛び、破損させてしまった残りの備品を無事補填出来る事に安堵して考えを巡らせ…


『ぱるぅ、ぱるぅ(よかった、よかった)』


機嫌良く長い尻尾をゆらゆら揺らしている。


『ご機嫌だな。フラッガの膝が嬉しいのか?』


その様子に気付き、微笑ましげに見つめるガンウェインと、


『フラッガ、そろそろ交代しないか…?重いのではないか?』

『ラグザ狡ぃぞ!!パール、ほらこっちの膝の方が良いよな~。』


フラッガの膝の上で楽しげな龍の子を見て…気を使うふりをしながら自分の膝に乗せたいラグザと、先ほどまで抱えていたのにもう一度膝にのせようとするアイギス。


やいやいと最初は2人で膝抱っこの権利を主張しあうも…


『ほら、私の膝はまだだろう?こちらに来るか?』

『いや、イリシュネア様。ここは私が...』


途中から更に2人参戦したため議論は一時脱線し…


『(はぁ、この大人達は…)……いえ、大丈夫です。このままで。』


フラッガは思わず溜め息をついた。



※※※※※※※※※※



その後…

話し合いはそこそこ続き、空が白み始た頃…


『では、そろそろ夜も明けますし、一旦休憩を挟みましょう。食堂にでも行ってお茶を入れてきましょうか?』


フラッガが気を利かせて休憩を挟むように一同に提案し、膝の上でそれを聞いていた波瑠だったのだが…


(あ、そういえばMPと引き換えでどこまでの物質を置換できるんだろ?)


ふと、スキルで何処までの事が出来るのか気になりはじめ…


『ぱるぱるぅ(という事で、)』

『あれ?まだ降りなくても大丈夫だよ?』

『?今度はどうしたんだ、ちび?』


ノードに見守られつつ、フラッガの膝からよじよじとつたい降り、


(()()()()()()だと、MP消費量はそんなに気にしなくても良さそう…かな…じゃあ、ちょっとお腹も空いたし、お兄さんが休憩でお茶を入れるって言ってたから、何かつまめる軽食を…)


『ぱるぱるぅ(物質置換(イクスチェンジ))、ぱるるぅ(たまごサンド)!』


両手を空に掲げておもむろにスキルを発動させた。


『え?』

『おい!』


またもや発生した…

周囲から見れば、何もない空間から物が降ってくる怪奇現象。


落ちてきたのは…

こちらでは見たこともないであろうが、フイルムパッケージに包まれた、日本ではお馴染みの、ふわふわ、たまごたっぷりのコンビニサンドイッチ。


『(お!よし、普通に出てきた!)ぱるぅ!』


そしてステータスを開いて消費MPをすぐに確認してみる。


MP 835,939,900


『(!え、たまごサンドは60,000も消費するの?何で?大きさじゃないって事?まなぽっどは100だったよね……………)ぱるぅ(ま、いっか)、ぱるぱるぅ(MP全然余裕みたいだし。)』


いそいそと落ちてきたサンドイッチを拾い、一番近くにいたラグザに差し出す。


『ぱるるぅ。(あの、良かったら朝食に…)』

『あ、あぁ。有り難う…?』


波瑠に差し出されたものを取り敢えず受け取ったものの、先ほど同様、謎現象を目にして理解が追い付かない状態である。


そんなラグザの様子に気が付かず、ちゃっかり自分の分のたまごサンドは手元に残した波瑠。


『ぱるるぅ(いただきます。)』


フイルムを破いて中身をさっそく食べはじめた。


『ぱ、パール、何してるんだ?』

『むぐ、むぐ、ぱるるぅ?(パール?ん?)』

『コレは…食べ物なのか?』


一生懸命サンドイッチを頬張る波瑠に、恐る恐る問いかけるアイギスとガンウェイン。


『ぱぁるぅ?(食べ物ですよ?)』


たまごサンドを食べてすっかり今の状況がすっぽ抜けていたので、もう1個のサンドイッチをアイギスに向かって差し出す。


『ぱるぅ(どうぞ。)』

『お、おぉ?ありがとな…』


流石にあまり動揺しないアイギスも、未知のものを差し出されて困惑気味であるが…何かは分からないものの、波瑠(龍の子)が一心不乱に口に入れているので恐らく食べ物で、食べても問題はないのだろう…


『………星詠み殿。』

『はぁ、食べても問題は無い。無いが……』


渡されたたまごサンド(未知の物体)を抱えて困惑するラグザに、溜め息混じりで返答するヨグ。


『こ~ら~。龍の子~()()を~使っては~駄目じゃ~と~さっき言った~じゃろ~。()()()()()()()したら~どうするんじゃ~。』


そして……

今回はエンキルが比較的まともな事を龍の子に言っていた。

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