迷惑を被る智の将軍②
よろしくお願いします
ウィザーディアにおける英雄譚の殆どは事実とはかけ離れていた。
事実はこうだった。
魔女―カサンドラは案外動物好きだった。中でも爬虫類を好んでいた。また、大きな動物が好きだった。
そして、好きな人に好きな物を見せたくなる。そんな可愛らしい恋心(?)から、『ヒューゴとドラゴンに乗って空からの景色を眺めてみよう』と考えた。
ウィザーディアはドラゴンの豊富に生息する地域だったので、カサンドラは選び放題だった。様々なドラゴンの乗り心地を試した。大ヒューゴを乗せて空の旅を楽しんだ。小ヒューゴは嫌がったので、慣らすためにドラゴンの巣に置いてきてあげた。
一番のお気に入りの古代竜は寝起きの悪い奴で、起こすと子竜も引き連れて暴れまわるので、てなづけるまでに苦戦した。何とか慣れてきたころ、沢山の人が集まってきて、なぜかカサンドラに向かって砲撃してくるものだから、気が萎えてドラゴンの散歩はやめにした。
カサンドラは二人のヒューゴに色々なものを見てもらいたがった。
炎は真上だけでなく真横にも熾せることを教えた時にはとてもテンションが上がった。
人が百人横並びになっても並べるほどの大きな炎の橋を作って三人で渡ってみた。魔法が使えない二人のために、真ん中を通れば熱くないように作っておいた。
小ヒューゴは情けないことに、ハイハイのポーズで渡っていた。
大ヒューゴは相変わらずぼーっとしていたけれど、気に入ったのか、橋の中間地点で動かなくなってしまったので、手を引いて端まで渡らせた。
この時も、沢山の村人が集まって下で騒いでいた。また大砲を持った奴らも集まってきていたが、今回は砲撃せずに、小ヒューゴのもとに集まっていた。
「軍人さんに助けてもらいました。旦那さん(大ヒューゴ)、村人から精霊と勘違いされていましたよ。」
後で合流した小ヒューゴはそう言っていた。
暴れる魔物の群れを全滅させた話はさらに単純だった。
魔法で遊んでいたカサンドラに恐れをなした魔獣が逃げまどい、パトリック率いる軍が派遣されて魔獣のせん滅にあたったのだ。
事態を収拾しようと魔物と一人格闘していた小ヒューゴとパトリック率いる軍、そして剣聖と呼ばれるパトリック直属の部下が共闘した。
剣聖は、我流ながらも小ヒューゴの剣技のすばらしさをほめていた。
パトリックは、同じく魔女に振り回される者同士、小ヒューゴに同情した。
読んでいただきありがとうございます




