第三話 決闘
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校長が指を鳴らすと入学式の会場から訓練所に一瞬で移動していた
訓練所にはグラウンドを囲う様に観戦する席が設けられている
グラウンドには校長とトランとシンの三人が居て、他の一年生は席で二人の決闘の結果を予想していた
「こんなのやるまでも無いな」
「魔力量が違いすぎるわ」
「ステラ様のペアは決まりだな」
「トランって子かわいそうね」
大半の人がシンが勝つと口にしていた
それもそのはずシン=ドレットは優秀な魔導士を輩出している王族に次ぐ名のある貴族の生まれで、その実力も確かで魔力量もステラに次ぐ40で氷属性
それに対してトランの実力は不確かでしかも、魔力量10で無属性
母親が校長に勝ったから学校に入れた奴がシンに勝てるはずが無いと皆が思っている
「それではステラ=シャインのペアをかけて決闘を始める。ルールは先に有効な一撃を与えた方が勝ちだ、それと魔具の使用は禁止だ」
校長の対してシンは返事をした
「よーい、始め!」
一瞬でこの場に移動した事で状況が一切掴めず慌てふためくトランにお構い無しにシンが魔法をトランに放つ
《アイシクル・ショット》
トラン目掛けて氷柱が飛んでくるがトランは紙一重でかわした
「うわ、何すんだよ!いきなり危ないだろ」
「ふん、もう戦いは始まっているんだ。今のが当たれば僕の勝ちだったがよくかわしたな。だが今度はかわせるかな?」
《アイシクル・バレット》
次々と放たれる氷柱を幾つかかわしていくがシンはトランかわす位置を予測して魔法を放つ、その一撃をかわしきれずにトランに当たるかに思えたが...
パキパキ...パリーン
トランが氷柱を殴り、氷柱を破壊して有効打には至ら無かった
「貴様、何をした」
シンはトランが何をしたのか分からず困惑した。その隙をトランは見逃さずシンに近づき殴りかかろうとしたが、それに気付いたシンがまた魔法を放つ
(くそ、まさかこの魔法を使うことになるとは)
《アイシング・ドール》
シンの手から冷気を放ち冷気がトランを包んだとたんに氷漬けになり、人型の氷となってしまった
シンは氷漬けにしたトランに近づいて
「ハハハ、まさかこの僕にこの魔法を使わせるなんてやるじゃないか。どうやって魔法を防いだのかわからないが、まあどうせ母親からもらった魔具でも使ったんだろうな」
「勝者、シン…」
とシンの名前を校長が言いかけた次の瞬間...ピキッと氷に亀裂が入りバッコーンと勢いよく氷をブチ破り現れたトラン!
振りかぶっていた拳が勝ち誇っていたシンの顔面にめり込み強烈な一撃を与えた
「俺の勝ちだな」
「勝者、トラン=フォーグ」
改めて真の勝者の名を校長が宣言した
誰もがシンが勝つと思っていたので観戦していた人は驚きを隠せないでいた
「嘘だろ、あのドレッド家に勝つなんて!」
「シンの言う通り魔具を使ったんじゃ」
「そうよ、魔法を防ぐ魔具を使ったのよ」
「そうじゃなきゃシンがやられるはずが」
全員がトランを疑いの目で観ていてこの試合は無効にするべきだという声も上がっていたが一人だけ異を唱える者がいた
「お前ら、ちょっとは頭を使えよ。少し考えたらわかることだろ。まあ、この目で見たこの俺だからわかったってのもあるだろうが噂程度には聞いてるだろトランの魔力が10しかないって、そんな奴が魔具なんて使ってみろ魔力がすぐ底をついて立ってられねーだろ」
魔具は魔法を補助や強化をする武器や防具のことで魔力を使わなければ使えないものがほとんどである、なのでライドはトランは使ってないむしろ使えないと主張している
その説明に納得したのか誰もライドに反論しなかったがステラだけがどうしても納得がいかないようだ
「じゃあ、仮に使って無かったとしてどうしてシンの魔法を防ぐことが出来たの?」
「そ、それはこの俺でもわかんないですけどステラ様、だけどトランは魔具を使ってないですよ」
「そうね、魔力量ビリのヤツごときには使えないでしょうね。代わりに誰かさんが魔法か魔具で防いであげたんじゃないのライド=ウィング?」
「この俺がトランの手助けをしたって言いたいんですか、いやいや、それはないですよ。だってこの俺にそんな便利な魔法も魔具も持って無いですよ。あったら欲しいですよ」
「そんなのおかしいわよ!!ビリごときがどうしてシンに勝てるのよ!」
「それは私が説明しよう」
校長が一瞬で移動しライドとステラの言い合いを止めて、なぜトランがシンの魔法を防いだのか、説明が始まった
「魔力には相性があるのは入学式でも話した通りだが...それだけで魔法の勝敗が決まるわけでは無い」
「魔力量や相性以外の要素でビリがシンに勝ってる事があるの?」
「トランがシンより勝っている点は...魔力の密度だ」
「魔力の密度?それがシンとビリの勝敗の要因?」
「ああ...トランは自分の拳に魔力を集中させ高密度の魔力でシンの魔法を防いだんだ」
「そんな魔法この俺は見た事も聞いたこともないぜ」
「魔法というより魔力本来の特性を使って戦っていたというのが正しいかもしれん」(トランは我々とはどこか違うようだ、無属性だからその術しか無いのか?でも魔力を押さえ込んでいる様な)
「魔法すら使って無いなんて...いや、むしろそれすらも使えないのかも...魔法は自分の属性を具現化する事だから、無属性のビリには...やっぱり魔具を使ったとしか...」
「魔具は始めから使えないんだ、そう契約して決闘を始めたからな...魔導士の契約は絶対なんだ」
成り行きを見守っていたトランが自分の無実を確信すると
「じゃあ、俺はペアをマーシーと組む、俺に決める権利ありますよね校長」
第三話 終
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