表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

彼女は少し普通じゃない

挿絵(By みてみん)

俺はいつものように学校の教室で授業を受けている。教卓の前の席でまぁそこそこに勉強している。

そんなことより高校三年生俺は悩みが絶えない。一つ言っておくが進路のことではない。ここは大学もある私立の元男子高校だ。だから俺の進学先はそのままここにある大学にするため、もう決まっているも同然だ。しかし俺の悩みは将来の心配より今現在進行系なのだ。

そう俺の悩みは夢のような青春を味わってないからだ。これまで三年の十月になるまで勉強ばかりやって来た。しかし青春は味わっていない。そう俺は恋をしていない。ときめくような恋愛を俺はまだしていないのだ。


それに実はもう告白したい相手は決まっている。

「あ、なぁここってどうすれば解ける?」

俺は授業中要らないことを考えていたせいで問題が解けない。

「ちょっと見せて、ここはこうすれば解けるよ。」

「こうてそれは何?急に出てきたけど。授業でしてないよな?」

「私、授業聞いてないけど?」

「は?」

「え?」

今、会話している彼女こそ俺が告白したい相手だ。彼女がどれだけ最高なのか教えてあげよう。

まず顔が良い、彼女は目つきが悪いこと、つり目なことを気にしているようだが、俺のストライクゾーンなのだ。それにスタイルも大きい訳でも小さい訳でもないのが良い。

「人の顔と身体をジロシロ見るのはどうかと思うよ。これでも女子高生だよー。」

そしてこのダウナーな感じもまた最高だ。

「す、すまん。」

俺としたことがまた美しい彼女を見つめしまった。

「で、ここはこうすれば解けるんだな?」

問題も解けたので彼女の話を続けよう。

さらに彼女は文武両道ということが当てはまる。こんないい女子がこの元男子校、女子より男子のほうが遥かに多い学校でフリーなのはさっきの会話からもわかるだろう。


これはある小テストのときの話だ。

「なぁここて範囲?」

「先生の話聞いてないから知らない。全部覚えたらいいよ。」

「は?全部って、教科書全部か?」

「え?まぁそうだね。君には難しかったかな?」


つまり、彼女は人を馬鹿にしているような態度を取る。本人はその気が無くても万人受けする態度、つまり八方美人ではないのは確かだ。

その上学年一位の為、人が寄り付かないのもその要因の一つである。

しかし、これだけではモテない理由になるのだろうか?。なぜなら女の子がいない。つまり貴重な女子を狙う狼だらけの高校、その中で可愛い方のこいつがフリーな理由は、やはりこの性格にある。話す内容が勉強、ピアノぐらいしかないく、恋愛に全く感心がない。本人いわく、告白されたら付き合うかもしれないけど付き合わないかもしれないという意味がわからないことを良く口にしてる。

こんな彼女に誰もついていけず、告白する男子も友達も今となっては誰一人として現れないのだった。

こうして男友達すらほぼおらず、ずっとフリーのままだった。

「今日は勉強手伝ってくれるのか?」

「あ、今日は5時半には帰りたいな。」

俺は彼女と放課後図書室に残って勉強を毎日している。それが俺にとっては最高の時間だ。彼女と二人っきりの時間を過ごせるのは素晴らしいことなのだが。

「ここは、こうして覚える。」

「理由とか公式とかは?」

「日常で使わないのにそこまで知る必要あるの?。」

この調子で俺のことを友人と思って勉強や色んなことを教えてくれるのは本当にありがたいことだが、やっぱり男として見られていない。

「そう言えば、どうしてツインテール何だ?。嫌いじゃなかったか?。」

そして俺はペンを走らせながら、いつものように会話を始める。

「そのとおり、私、ツインテールはあんまり好きじゃないんだよね。やっぱりセミロングがいいよ。」

「いや好きな髪型を聞いたわけじゃないんだが。」

じゃあどうしてセミロングにしないんだ?それじゃあロングだろ?といいたくなるが、ここは冷静にペンを走らせておこう。

「ツインテールてリアルでしてたら皆引くでしょ。君は気に入ったみたいだけどね。」

わざわざ嫌われようとするなんて、どれだけ人と付き合いたくないんだよ。

「別に俺はツインテール推しじゃねぇよ。そして全国のツインテールの人に謝れ。」

何でそんな表情をする。不意に笑いかけられると好きな人の近くにいることを意識してしまう。

「へー、じゃあ好きな髪型は?」

「俺ツッコミは無視かよ。まぁツーサイドアップかな。」

「それってどんな髪型?」

「ツインテールみたいにサイドで縛るけど後ろはロングにしておく的な?検索したほうが分かりやすいぞ。」

顔が近い、というかいつもこの距離で話しているせいで本人は全く意識してない。

「じゃあ嫌いなのは?」

「嫌いというよりか、普通なのはショートかな?まぁ長い方が好きてことだ。」

「へーそうなんだ。」

彼女は図書室の椅子に座り直した。

どういうことだ?その微妙に可愛い反応は!冷たいように見えて意味ありげな態度を取るのはやめて欲しい。どうせ俺には興味ないのだから。

「5時半になったし、帰る?。」

「んー切り悪いけど、帰ろっか。」

結局勉強には身が入らず、俺は少しも理性的になれなかった。その証拠に俺は【冷静にペンを走らせる】と何行か書いたノートを静かに閉じたのだ。


ーーーー

下校時、俺たちはそこそこ暗くなっている道を二人並んで歩いていた。そして俺はここで鎌をかけてみることにした。

「なぁお前好きなやつとかいんの?。」

「うーん、いないかな?。」

どうしてはっきりしないんだよ。

「どんなヤツが好きとかはあるのか?。」

「そうだね。私はピアノできたら誰でもいいかなー。」

やっぱりピアノできないとダメなのか。

「まぁ君、ううん。あんたみたいな感じじゃないのは確かかな。」

「別に俺は関係ないだろ。」

この瞬間俺の失恋は決定してしまった。

しかし俺はこいつの友達であることには変わりはない。ここは冷静にいつもと同じように帰り道を歩くしかない。

二人でカラオケに行ったり、買い物にも行ったり、色々したが、それは友達だからだ。俺が勝手に勘違いして、もしかしたらなどと考えたのがいけなかったのだ。

「どうかしたの?。」

彼女は優しく俺に笑いかけた。それは今の俺には残酷なことだとも知らずに。

「いや、別に。俺らしくない質問だったなって思ってな。」

「確かに、君はいつも勉強勉強だもんね。」

彼女はまた笑った。友達との会話笑わない方がおかしいか?。

俺はどうやら、いつも通りがどうなのかわからなくなっているらしい。

「うーん。」

彼女は俺の顔を覗き込んだ。

「何だよ。」

「うんうん。君は顔もいいし、頭もいいんだから彼女作れるよ。」

彼女は少し前に走り出し、こちらをクルッと振り向いた。

「だから、私の評価なんて当てにしないで当たって砕ければいいんじゃない。」

暗がりになびく銀髪が絹のように綺麗に見えた。その美しさにさっきの失恋という絶望を全て忘れて、また希望を持ってしまうほどに。

「砕けたらダメだろ。」

「いいところ突くね。」

俺は今取るべき態度を取った。

「それに俺は彼女が欲しいとは言ってないぞ。あと頭がいいって。お前が言うと皮肉にしか聞こえないな。」

俺は素で笑い返した。

彼女は俺がこの話題を出したのは彼女が欲しくて、女友だちに相談したと受けっとたのだろう。

「もう。私が皮肉で言っていないて分かってるくせに。」

彼女は肘を俺の肩にぶつけた。

「全然分からないな。」

俺はとぼけた顔をした。

「良く考えたら顔が良くて、頭がいいのは俺じゃなくてお前だろ。」

彼女はいつものように笑った。

「君は私と違って優しいでしょ。」

「は?俺のどこが優しいだよ。」

「今だってさらっと私を褒めたじゃない。顔が良くて頭がいいって。」

そしていつものように会話が続いていく、家につくまでずっと。そして明日も。


数時間後ーーー

俺はお風呂に入っている時、ふと彼女の言葉を思い出した。

彼女は確かかなと言った。俺は【かな】という言葉に引っ掛かったが、それでまた期待するのも筋違いだと思った。お風呂は頭が整理され、余計な事まで考えてしまう。俺の良くないところだ。明日また彼女に会うのに、この気持ちのままではいつも通りなど出来るわけがない。

俺は落ち着くためお風呂に頭まで浸かった。


そのつぎの日ーーー

俺はいつもと同じく、彼女より早く学校に来ていた。まぁこれには勉強するために早く来る癖が抜けないだけで特に意味はない。しかし彼女がドアを開けて入ってきた瞬間に俺は絶望した。昨日の会話でもしかしたら俺が彼女のことが好きだということに気づいてしまったのではないかと思っていた。それ以外こんなことをする理由を考えられなかった。

「ど、どうして髪を切ったんだよ!。よりにもよってショートって。」

こんなの当て付けだ。皆に嫌われるためにツインテールにしていた彼女は、俺に嫌われるため髪型を変えてきたのだ。

「どう?、似合ってる?。」

「似合うどうこうの話じゃねぇよ。」

俺は絶望を超えてもうどうでもよくなってきた。

「君、本当に分かりやすいね。まぁこれ鬘なんだけどね。」

そう言うと彼女は鬘を取った。そしてなびくようにキレイな髪がファッサと降りてきた。これは反則以外の言葉が思いつかない。

「どう?これなら。」

彼女が見せたその髪型はツーサイドアップだった。俺の好きだと言った髪型にしてきたのだ。

どういうことだあのときは俺はダメだと突き放したのに。俺はまた意味もない期待をしてしまいそうだ。どうしてそんなサプライズじみたことをしてくるんだ?。俺の気を引いているのか?。それとも友達として遊びのつもりか?。俺の心は混乱していた。

「はぁー、最高だよ。流石、成川夢だな。」

「ありがとう。桜谷くん。」

こうして俺と夢との駆け引きが始まってしまった。

終わりーーーー

彼女は少し普通じゃないを読んで頂きありがとうございます。初めての投稿で本当にドキドキです。

成川は青、桜谷は春そして夢、青春の夢という意味を込めて最後に二人の名前を明かさせていただきました。

次回の

「一緒に勉強してるのは彼女じゃない。」

を楽しみにして頂けると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ