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8千pv【全104話】フェアリィ・ブレット ~妖精迷宮の銃弾~  作者: 御咲花 すゆ花
第1章 コーザとニシーシ 放浪する二人
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第9話 迷い子

 先ほどの巡回車をどうするのかという、考えもないことはなかったのだが、もはや時間が経ちすぎている。自分のことなぞ、すでに忘れているに違いない。そう思ったコーザは特に気にすることもなく、コーラリネットに戻って来た。実際、コーザがこの巡回車と会うことは、二度となかった。

 青白く光るエリア。

 無事に戻って来られたことに、ひとまずコーザが安心していると、奥のほうがやけに騒がしい。いったい何事かと思って、不審げに中を覗いてみれば、カウンターの近くで、人がもめていることがわかった。

 騒がしいのは何もそれだけの理由ではなく、与えられた瞳のために、様々な妖精の声を、聴きとれるようになったからでもあったのだが、確かに一人、見慣れぬ人間がいるではないか。まだ子供だろうか、背丈は自分よりもだいぶ低い。


「お願いします! 僕はどうしても、イトロミカールに戻りたいのです! 信じてください! 僕は、このセーフティに暮らす者ではありません!」


 よほど切羽詰まっているのか、全体的に声が大きく、身振りを交えた姿は必死そのものだ。


「別に信じていないわけではないんだよ……弱ったな」


 ちょうどそのとき、カウンターの中にいた大人と、コーザの視線とがぶつかった。


(やべ……)


 さすがに、気がつかれていないと、期待するほうが無理である。


「おお、コーザ! ちょうどいいところに。助けてくれ」


 それは、その子供をなのか。それとも自分自身をなのか。一瞬、コーザは嫌そうな顔を浮かべたが、カウンターの主人には、これまでにも何度か世話になっている。無下にするわけにもいくまい。


「……どうしたっていうんだ?」

「いやぁ……どうにもこの子は、コーラリネットに迷いこんでしまったと、そう話しているんだ」

「はあ?」


 何を馬鹿なと思いながら、コーザもまじまじと、子供の体に視線を向けてみれば……なるほど。確かに、おかしな状態になっていることに気がつく。


(……マジだ。ずれて(・・・)やがる)


「ちょうどよかったじゃねえか、相棒。どうせ未踏破領域に向かうんだ。ついでだろ? 連れてってやれよ」


 ルーチカの言葉に、子供の視線が一瞬泳ぐ。この場にいるだれも、それを不自然に思うことはないが、ルーチカの声を聴けるコーザにだけは、その異常さが手に取るようにわかった。


(こいつ……! いったい何者だ。うちと同じ妖精の瞳を持ってやがる)


 俄然興味が湧いたコーザは、子供の目をしっかりと見つめながら、質問をするのだった。

 コメントまでは望みませんので、お手数ですが、評価をいただけますと幸いです。この後書きは各話で共通しておりますので、以降はお読みにならなくても大丈夫です(臨時の連絡は前書きで行います)。

 次回作へのモチベーションアップにもつながりますので、なにとぞよろしくお願いいたします。(*・ω・)*_ _)ペコリ

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