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8千pv【全104話】フェアリィ・ブレット ~妖精迷宮の銃弾~  作者: 御咲花 すゆ花
最終章 ペルミテース、そしてカタレーイナ 名無しのコーザ
84/105

第84話 限りなくカタレーイナに酷似した妖精。

「ごめんなさい、ミーヒ。急ぎすぎました」

「かまわないよ。その姿には久しぶりになったんだ、あなたも勝手を忘れているだろう。落ち着いて、確実に倒そう。……だが、念のために二発だけは、スキルを自分にも残しておいてほしいな」


 ミージヒトの言葉にフレデージアがうなずくと、円形に展開していた薬莢の二つが、拳銃へと吸いこまれていった。かくして、背中の弾頭は、十一個から数を二つ減らしたのである。

 目を閉じ、フレデージアが祈るように手を組みあわせる。即座に薬莢が一つ、背後から消失した。スキルへと変わったのだ。


「巡回車よ、こなたに集え……」


 子守歌(ララバイ)

 周辺のモンスターを呼び寄せ、特定の方向へと向かわせる技である。修理霊(ドミネーター)とは異なり、召呼させるという効果は本物の内容だ。当然、狙う対象はコーザである。


「Cランク……。Bを操ることは、あなたでも難しいということかい?」

「昔であればできましたが、今はあまり命令を聞いてくれません。以前にも増して、機械たちが凶暴化しているという話は、おそらく真実なのでしょう」

「なるほど」


 都合がいいことに、ちょうどここは「ロ」の字になった通路だ。二方向から巡回車を向かわせれば、コーザを挟み撃ちにできる。

 集まった六体の機械。

 そのうちの四体を、後方の横道から侵入させる。間隔をあけ、残る二体にも前進の命令をくだす。

 あとは、再び風を飛ばせばよいだけだ。

 死神の愛(アムネスティー)

 あたれば、確実に死にいたらしめることができる。

 おもむろに、フレデージアがちらりと相棒の横顔を見た。

 研ぎ澄まされた凛々しい顔立ちには、圧倒的な優勢とは裏腹に、悲壮な決意がうかがえる。


「……」


 地下からの脱出。

 それは自分の夢でこそあったが、今となってはミージヒトの願いでもある。絶対にかなえなくては――。


「コーザ……。自分たちは敗れるわけにはいかないのだ」


 鼓舞するようにミージヒトが独り言ちる。

 もともと、優しすぎる性格の人間だ。これまでの行動で、ミージヒトにはだいぶ負担をかけてしまった。色んな人を切り捨てることなぞ、初めからミージヒトには無茶だったのだ。これ以上、後ろめたい選択を、ミージヒトにさせるわけにはいかない。自分が決着をつけるのだ。

 覚悟を抱いたフレデージアが、一歩、足を前へと踏みだした。







『もし? コーザを尾行している方、聞こえているのはわかっていますの(・・・・・・・・)。わたくしと取り引きをしましょう』


 そのように話しかけられたとき、ミージヒトは素直に閉口した。直感で、とんでもない怪物から接触されたことに、気がついたためである。ゆえに、自身の相棒が警戒心を隠すことなく、チャールティンに臨戦態勢を取ったのは、決して責められないものだった。相手は妖精単体なのだから、間違っても戦いにはならない。フレデージアとて、それを理解したうえでの行動だろう。それほどまでに、チャールティンは尋常ではないのだ。

 取り引きについては、心当たりがないわけではない。だが、その前に、確認せねばならないことがあるだろう。


「なぜ、自分に妖精の瞳があるとわかる?」


 それを前提にして、この接触はなされている。コーザに聞いたのか? いいや、それにしては間隔が短い。コーザがイトロミカールについてから、事情をすべて話せるだけの時間は、まだ経過していないはずだ。第一、イトロミカールのセーフティは特殊である。結束が強く、出口への関心も低いと言う。それならば、コーザがここに立ち寄った理由は、おのずと明らかだろう。協力を仰ぐために違いない。なおさら、自分が瞳を持っているかもしれないことなぞ、巻きこんでから暴露しようとするに、決まっているではないか。だとすると、眼前の妖精は、単独で結論を導きだしたということになる。並大抵のものではない。

 コメントまでは望みませんので、お手数ですが、評価をいただけますと幸いです。この後書きは各話で共通しておりますので、以降はお読みにならなくても大丈夫です(臨時の連絡は前書きで行います)。

 次回作へのモチベーションアップにもつながりますので、なにとぞよろしくお願いいたします。(*・ω・)*_ _)ペコリ

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