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8千pv【全104話】フェアリィ・ブレット ~妖精迷宮の銃弾~  作者: 御咲花 すゆ花
最終章 ペルミテース、そしてカタレーイナ 名無しのコーザ
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第80話 いい加減、決着をつけようじゃねえか!

「……」


 疑いだせばキリがない。

 そもそも、チャールティンは何をしに、イトロミカールから外へと出ていったのだ? あのタイミングですることと言えば……ミージヒトに会った。

 いったい、何のために?

 決まっている。チャールティンが行動する理由は、ニシーシしかありえない。だが、どうしてミージヒトとの接触が、ニシーシの安全を保障することになるのだ?

 これ以上ないほどに高ぶっていたためか。あるいは、すべてにけりがつくという予感のためか。コーザの頭は今までにない勢いで回転し、通常では思いもつかない結論を、にわかに導きだしていた。


(ニシーシがついていかないようにするため……か?)


 知っていたのだ。

 チャールティンには、今この瞬間が決戦の場になることが、初めからわかっていた。だからこそ、ミージヒトが勝った場合の、対策を施したのだ。

 どのような筋道を立てれば、そこまで正確な未来を描けるのか。自分にはまるで見当もつかないが、少なくとも、タオンシャーネにペルミテースがいないことは、確信していたに違いない。


(出口が早い者勝ちとなっている以上、カタレーイナに会ったあとで、ニシーシたちをイトロミカールまで送る、というのは現実的じゃない……)


 ペルミテースに接触した直後であれば、コーザにも時間的な余裕はあるだろうが、だれかに出し抜かれるという事態は、万が一にも避けたいのだ。できる限り、チャールティンの援助を得たいと、そう思ってしまうのは当然の反応だろう。

 そして、それはミージヒトにも言える。


(同じ……か)


 チャールティンがいれば、それだけで道中の安全は劇的に変わる。これは自分を追っていたミージヒトも、当然に理解していることだろう。なれば、妖精王に会うべく、ニシーシが一緒に行きたいと申し出たとき、ミージヒトは断らないはずだ。ニシーシのため、チャールティンが、確実に手助けをしてくれるのだから、それを拒む理由はどこにもない。

 それゆえに、チャールティンはミージヒトと、取り引きを交わしたのだろう。ニシーシを連れて行かずとも、その場合には、ちゃんと手助けをするという具合に。

 これについては、コーザにも同様のことが言えたが、チャールティンにしてみれば、ミージヒトと話したあとに、マーマタロからの提案があったのだ。よりよい選択肢を示されたからこそ、プランを変更したのだろう。あるいは、自分とミージヒトとでは、ニシーシへの配慮が根本的に異なると、それを見越しての判断なのかもしれない。

 いずれにせよ、どう転んでも大丈夫なように、チャールティンが図ったことは疑いない。


(いっそ、共に出口を目指すというのはどうだ?)


 ミージヒトを、無事に倒しきることが前提となるが、一度、地表に出てしまえば、イトロミカールまで戻るのは容易だろう。二番出口を見つけたうえで、そこからコーラリネットを経由して、帰ればいいだけの話だからだ。旧ムッチョーダの渦を使えば、イトロミカールの道程は、そこまで大変だとは思えない。事情を話せば、マーマタロもついて来てくれる見込みがある。

 そこまで考えたとき、コーザは首を大きく横に振った。自身の考えが、破綻していることに気がついたからである。


(……問題外だ。そもそも、一人しか脱出できないからこそ、うちはミージヒトと争う羽目になっている)


 第一、ワープゲートを、当たり前のように潜ること自体が、すでに危険な行動である。コーラリネットから、イトロミカールまでの旅路は、仕方のないものだったが、以降の移動は単なる自殺行為だ。チャールティンが阻止しないはずがない。だからこそ、ミージヒトとの交渉があったのだと、そう考えるべきである。


「……」


 ドクン、ドクン。

 脈打つ心臓は早鐘のようだ。

 これ以上ないほどの高ぶりによって、過敏になった聴覚は、背後で砂利を踏む音を正確に捉えていた。

 だれが鳴らしたものかなぞ、問うまでもあるまい。

 目を閉じ、短く息を吐くと、流れる冷や汗を乱暴に拭いながら、コーザは静かに覚悟を決めた。


「お前とは別の機会に、ゆっくりと話しあいたかったんだがな……。そろそろ決着をつけようじゃねえか、ミージヒト!」

 コメントまでは望みませんので、お手数ですが、評価をいただけますと幸いです。この後書きは各話で共通しておりますので、以降はお読みにならなくても大丈夫です(臨時の連絡は前書きで行います)。

 次回作へのモチベーションアップにもつながりますので、なにとぞよろしくお願いいたします。(*・ω・)*_ _)ペコリ

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