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8千pv【全104話】フェアリィ・ブレット ~妖精迷宮の銃弾~  作者: 御咲花 すゆ花
最終章 ペルミテース、そしてカタレーイナ 名無しのコーザ
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第79話 決戦の火蓋

 甲高い声で、チャールティンは、かまびすしいほどに騒ぎたてていた。


「何をしていますの、コーザ! 今すぐゲゾールを追いかけなさい」

「もちろん、そのつもりだが……ミージヒトの対策はどうなっている?」

「そんな悠長なことを、言っている場合ですの!? 冷静になって考えなさいな。直接的な手がかりが、コーザよりも少ししか、得られなかったはずのミージヒトは、あなたと同じ動機で、行動できているのですわ! 急がないと、手遅れになりますの! もはや、ミージヒトにとってのゲゾールは決定打。こちらにしてみれば、必ず先に確保しなければならないほど、恐ろしく重要な人物なんですの! 情報を奪われたうえで殺されてしまっては、元も子もないですわ」

「――ッ!」


 弾かれたように外へと飛びだすコーザには、もはや幕引きの頃合いが、目前に迫って来ているのを肌で感じられた。

 チャールティンの言うとおりである。

 あの様子であれば、ゲゾールが、罪悪感のもとにすべてを語りはじめるのは、時間の問題であろう。なれば、次にゲゾールと接触することは、ペルミテースの情報に直結している。

 ワープゲートを使わねば会えない相手。

 ゲゾールがその道順を知らない、という可能性も十分にあったのだが、あの様子を見るにつき、考えは大きく変わった。もしも、ゲゾールが故郷をすっかりと忘れ、完全に第二の人生を生きる決意を、したような人間であったならば、きっとコーザのことを見ても、すぐに追い返していただろう。それどころか、タオンシャーネの人々に、本当の名前さえ伝えなかったはずだ。

 だが、現実は異なる。

 ゲゾールは今も、激しい後悔の中で生活しているのだ。それゆえの白状が、先ほどのあらましに違いない。当然、無量の慙愧は激甚な情熱となり、これまでは自分の故郷へと、その炎は向かっていたことだろう。

 知っているのだ。

 ペルミテースにコンタクトを取る術を、ゲゾールは知っている。あるいは、現に自ら会っているのかもしれない。

 もはや、こうなっては現下が分水嶺だ。

 これ以上、形ばかりの協力関係を、維持しておく必要はない。ミージヒトとの決着をつけようではないか。

 本当であれば、綿密な作戦を練る時間を、もらいたかったところなのだが、あんな状態のゲゾールを一人にし、長々と放っておくわけにもいくまい。


(……ん?)


 走りはじめたコーザは、すぐに立ち止まる。奇妙な考えが脳裏をよぎったからだ。


(たしかに、チャールティンの言うように、ゲゾールはミージヒトにとっての王手だろう)


 だが、その事実を、セーフティに入って来なかったミージヒトは、決して知りえない。なぜ、チャールティンは、追い払うようにまくし立てたのだろう……。それとも、自分が気がついていないだけで、ミージヒトにはゲゾールの話を入手する、何か別の手段があると言うのだろうか?


(ゲゾールが決定打という主張に、疑いはないが……それと同じくらい、うちがチャールティンに急かされたことも、また事実だ。……まさか、裏切りか?)


 ふと、そんな単語が頭に浮かぶ。

 それは考えたくもない可能性だった。万が一にも、チャールティンが寝返っていた場合には、自分が勝利することは絶対にない。戦闘面でさえ、分が悪い状態であると言うのに、このうえさらに、強力無比な頭脳まで加わってしまえば、お手上げだ。なす術もなく、やられることだろう。

 チャールティンにも話していない蛇の舌(スネーク)なら、ミージヒトにも伝わっていないだろうが、それだけではどうしようもない。


(落ち着け……。それに、タオンシャーネに向かうと決定してからも、うちのためになることはしてくれている)


 それを思えば、チャールティンが二心を抱いていると、そう断定するのは早計だろうか。

 コメントまでは望みませんので、お手数ですが、評価をいただけますと幸いです。この後書きは各話で共通しておりますので、以降はお読みにならなくても大丈夫です(臨時の連絡は前書きで行います)。

 次回作へのモチベーションアップにもつながりますので、なにとぞよろしくお願いいたします。(*・ω・)*_ _)ペコリ

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