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8千pv【全104話】フェアリィ・ブレット ~妖精迷宮の銃弾~  作者: 御咲花 すゆ花
第3章 ギルドまたはムッチョーダ 抗争の果て
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第61話 予想外の標的

 コーザは慌てて弱々しく抗弁する。


「待ってくれ……ムッチョーダには借りがある。できれば争いたくない」


 だが、それは氷結の目を、細めさせる働きしかしなかった。


「……ほう。それは今この場で、あたいの機嫌を損ねることよりも、大事なものなのかい?」


 そう切り返されては何も言えない。仕方なく、口を閉じる。

 黙考。


(ワープゲートは反対の方向にもあるが、使用の許可をムッチョーダに頼んだところで、おそらくは同じ結果だろう)


 すなわち、使用したいのであれば、自分と氷結との抗争に参加せよ――と、そうなるのが落ちだ。

 なれば、行き先のわかっていない渦を潜るぶんだけ、ムッチョーダに手を貸すほうが損である。


「わかった……引き受けよう」


 消沈したようにコーザが応えれば、一方の氷結は満足げにほほ笑んでいた。


「じゃあ早速、ムッチョーダ側のマップについて、詳しい話を聞こうじゃないか。お前は通って来たんだろうから、何かしら伝えられる内容はあるんだろう?」

「ああ、そうだな」


(先方の口ぶりからして、禁止区画(デッドエンド)のことならば、氷結たちも知らないはずだ)


 戦うことになった以上、コーザとしても、そこに手心を加えられるような余裕はない。卑怯となじられようとも、得た情報は遠慮せずに使わせてもらう。


「――という具合だ。ムッチョーダたちはウビリャーミ対策だと、そう話していたぞ」


 自分は氷結のギルドに詳しくない。名前の人物に心当たりはなかったが、氷結の視線から、だれを指しているのかはすぐに理解できた。


(入れ墨のギルメン……)


 以前にコーザを、ワープゲートにまで案内しているのだから、ウビリャーミが、戦闘に長けた人物であることは疑いない。お()りの必要な者が、渦への案内役に選ばれるわけがないからだ。しかして、ウビリャーミは攻撃だけではなく、補佐のスキルまで有していることになる。なるほど、才能に恵まれているではないか。

 思わず、火の弾(ショット)ばかりのルーチカと、その素質を比べてしまったコーザは、小さく舌を巻いていた。


「そんなヘマをするのは、グララムースくらいだな?」


 入れ墨の指摘にコーザがうなずけば、一同は納得したように、しきりに氷結へと目配せをしていた。


「決まりだな。コーザ、お前には三人の補佐をつけてやる。あたいからのクエストは、その手でミージヒトを討ち取ることだよ」

「なっ!」


 ミージヒトと言えば、ムッチョーダの右腕にあたるほどの人物だ。レベルも十を超える怪物で、相当に強い。いくら仲間を貸してくれるとはいえ、それを自分に任せるのは、あまりに無謀と呼ぶよりほかにない。


「次に使うワープゲートの代金も、そこには含まれているからねぇ。少し重めの任務になってはいるが……嫌とは言わせないよ」

「クソ……」


 唯一、自分に勝ち目があるとすれば、それは新技の存在だ。ルーチカのスキルは四種類のうち、まだ二つしか知れ渡っていない。この点をうまく応用できれば、どうにかなるかもしれない。


(特に、蛇の舌(スネーク)を初見で判断することは、まず不可能だ。これを最後まで隠し通せれば、うちにもやりようがあるはずだ)


 こんな形で会いたくはなかったと、胸の内で強く思いながら、コーザはミージヒトの姿を頭に思い浮かべた。

 コメントまでは望みませんので、お手数ですが、評価をいただけますと幸いです。この後書きは各話で共通しておりますので、以降はお読みにならなくても大丈夫です(臨時の連絡は前書きで行います)。

 次回作へのモチベーションアップにもつながりますので、なにとぞよろしくお願いいたします。(*・ω・)*_ _)ペコリ

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