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8千pv【全104話】フェアリィ・ブレット ~妖精迷宮の銃弾~  作者: 御咲花 すゆ花
第2章 氷結および未踏破領域 イトロミカールへの道
44/105

第44話 今度は、うちから誘うってことだよ。

 その笑みに対し、ニシーシは、またチャールティンが無礼を働いたため、そう決断させたのではないかと、にわかに不安がったが、コーザはすぐに違うと否定した。


「心配するな、ニシーシ。チャールティンのせいじゃない。……瞳をもらった際の取り引きでな。どうやら、うちはセーフティに長いこと留まれないらしい」

「それはまた……難儀なことですね」

「まあ、うまくつきあっていくさ。……ああ、そうだ。妖精王はチャールティンにとっても、特別な存在なんだったよな? その理由までは知らんが……」

「それがどうしたと言うんですの?」

「いや、な~に。ペルミテースの延長線上で、おそらく妖精王にも会うことになるからな。お前もついて来るか? ニシーシなら、イトロミカールにいれば、ほっといても安心だろう」

「結構ですわ。お休みをいただけない環境なんて、ごめんですの。それに、特別という話も、ちょうど生みの親と育ての親くらいには、その質に隔たりがありますの。あくまでも、わたくしにとってはニシーシが一番ですわ。知らなかったんですの?」

「それについては重々承知しているよ……。生みの親?」

「別に深い意味はありませんの。気にしなくても大丈夫ですわ……ああ。失念していましたの。コーザはペルミテースに会う(・・・・・・・・・)んでしたね」


 初めからそういう話ではなかったのかと、コーザは呆れ顔を向けるが、あいにくとチャールティンの考えはそこでない。会った先にある。

 もしも、コーザがペルミテースを探していることを、知っている人物がいたとしたら……。そして、その人物は報酬と呼べる何かを、横取りしようと考えているのだとすれば、コーザとの戦闘は避けられまい。ならば、事前にコーザのことを知りたいはずだ。特に、対人戦に関わるものであれば、是が非でも耳にしたいことだろう。例えば、今まで伏せてあったようなスキルの中身など。

 そう。

 ちょうど、情報屋を使って聞きだしたくなるほどに、その内容は、喉から手が出るほどにほしいものなのだ。

 これが杞憂であるとも思えなくはないが、あのとき、情報屋が嘘をついたことは確かなのだ。残念ながら、間違いないだろう。そして、これをコーザに伝えることも、今となっては、却って危険に晒すだけとなってしまった。尾行に気がついたことを悟られれば、もっと状況が悪くなるからだ。だが、幸いにも、ペルミテースとの接触までは、コーザの安全も保障されている。だとすれば、自分が考えなければならないのは、実際に戦闘をするときのことか。

 自分の読みが甘かったことを、少しだけチャールティンは悔やんだが、それらはニシーシを害するものではない。まもなく、気にしないことに決めると、ニシーシのそばにそっと控えた。


「それよりな、ニシーシ。うちはタオンシャーネに向かいたいんだが、途中まで案内できないか?」

「すみません、僕は場所を知らな――」


 そこでニシーシが意見を翻したのは、コーザがウィンクで、合図をして来たからにほかならない。

 そもそも、ニシーシはセーフティの外が、どうしようもなく気になったからこそ、ダンジョンに踏みだし、その結果として、コーラリネットに迷いこんでしまったのだ。単純に、バトルエリアを見たかっただけならば、イトロミカールに戻って来るまでの旅で、十分に目的は果たせただろうが、そうではない。自分のセーフティであることが肝要なはずだ。

 そうであるならば、できるだけ安全にイトロミカールの周辺を、歩かせてやりたいと思うのが、一般的な人情であろう。途中まで案内してくれという頼みは、コーザなりの置き土産に違いなかった。

 コメントまでは望みませんので、お手数ですが、評価をいただけますと幸いです。この後書きは各話で共通しておりますので、以降はお読みにならなくても大丈夫です(臨時の連絡は前書きで行います)。

 次回作へのモチベーションアップにもつながりますので、なにとぞよろしくお願いいたします。(*・ω・)*_ _)ペコリ

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