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8千pv【全104話】フェアリィ・ブレット ~妖精迷宮の銃弾~  作者: 御咲花 すゆ花
第1章 コーザとニシーシ 放浪する二人
23/105

第23話 立ち位置

 コーザが口を開こうとすると、今まで静観していたチャールティンが、急に割って入って来た。


「この人は嘘をついていますの。それもとても大きなものを。それとわからないように、こちらもごまかすといいですわ」


 だが、コーザはそれを無視した。交換所の一件で、チャールティンが、手段を選ばない妖精であることを、十分に理解していたからである。

 しかし、それはチャールティンも同様だったようで、つづけてコーザが聞き捨てられないような、不穏な言い回しをするのだった。


「もちろん、わたくしにとってはニシーシが一番ですの。……でも、今回は不本意ながら、あなたのためでもあるから、言っているんですわ。いいから、早くおし(・・)


 そこまで言われては、コーザといえども内容が気になってしまう。だが、当然ながら、この場でチャールティンに、詰問するわけにもいかない。そうだとすると、情報屋に嘘をつかなければならない、ということになるのだが、その選択は今までの仲を考えると、コーザとしてはやりにくかった。

 ゆえに、コーザは仕方なく、当たらずとも遠からずという、中途半端な回答をしたのである。


「こいつは驚きなんだがな、うちの新技はスカなんだ」

「……? スカとな」

「ああ。銃を撃ったように見せかけられるが、実際には弾が飛んでいねえ。スキルが発動したように見え、その実、空砲なんだ。そうして、二回目に本当の弾が出る」


 言わずもがな、実際には薬莢の再装填が、次弾を撃発するトリガーとなる。空砲という説明も、的外れでこそないものの、正確な表現ではない。


「……。ふむ。そうだとすると、モンスター相手には役立たんな。手間が増えるだけだ。だが、狙って出せるならば、対人戦を視野にいれられるだろう。もう残りのストックはないと見せかけて――という具合だな」

「目押しじゃないんだ。うちらにスキルを選ぶなんざ、無理に決まっているだろう」

「だよな」

「できるに決まってんだろ。俺様が発動させるんだから」


 思いもよらぬ発言に、今度こそ、コーザはルーチカを殴りそうになったが、ニシーシがそれとなく庇ったため、どうにか堪えることができた。無論、実際には腕を振りまわしたところで、ルーチカにはあたらないため、その場合には、コーザが変な人に見えるだけである。

 思えば、ニシーシとチャールティンとは、純石の形を変えているのだった。それに照らせば、狙ったスキルを発動できたとしても、おかしくはない。とりあえずモンスターを壊せばよいという、自分たちとは違い、イトロミカールは先方の都合をも、加味しなければならないからだ。なお、念のためにつけ加えれば、たとえ生産系であっても、やはりスキルの使用には銃が必要である。


(妖精の瞳における最大の恩恵は、目押しか。今までは、うるさい隣人が増えただけだと思っていたが、これはどうだ? 相当なアドバンテージだぞ)


 大勢の人間が、ランダムでしかスキルを発動できない中、自分だけが任意で技を使えるのだ。これほどの利点はないと言える。

 無論、コーザとて、ルーチカとコミュニケーションを、取れるようになったことは、素直にうれしい。こんな地下の世界に一人でいては、連日の孤独感から、どうにかなってしまいかねなかったからである。

 コーザの話に満足したのか、情報屋は荷物を整理すると、おもむろに立ちあがった。


「もう行くのか?」

「ああ、世話になったよ。コーザ、達者でな」

「おう」


 自分たちとは反対のほうへと、足早に進んでいく情報屋を横目に、コーザはチャールティンへと向きなおる。そうして、あきらめたようなため息とともに、コーザはゆっくりと尋ねるのだった。


「……それで、何がどうしたって?」


 チャールティンは静かに話をはじめた。

 コメントまでは望みませんので、お手数ですが、評価をいただけますと幸いです。この後書きは各話で共通しておりますので、以降はお読みにならなくても大丈夫です(臨時の連絡は前書きで行います)。

 次回作へのモチベーションアップにもつながりますので、なにとぞよろしくお願いいたします。(*・ω・)*_ _)ペコリ

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