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8千pv【全104話】フェアリィ・ブレット ~妖精迷宮の銃弾~  作者: 御咲花 すゆ花
第1章 コーザとニシーシ 放浪する二人
22/105

第22話 Sランクは詰み。そういうことだ。

 奇妙な問いに、さしもの情報屋も眉をひそめた。


飛ばし屋(ジャンパー)だ? Sランクなんか知っていたところで、どうにもならん。出会ったら妖精王にでも祈れ。それしか俺たちにはできん。聞くだけ無駄だ。知りたきゃ、まだどうにかなりそうな、執行者のほうにするんだな。話してやるよ」


 そう言って、情報屋はコーザに手で合図する。知りたければ、金を払えということのようだ。


「うちも一応、知っているんだがな……」

「説明のうまさだって立派な売り物さね。それが俺なりの副業なんでな、嫌ならほかをあたってくれ」

「わかったよ」


 しぶしぶといった表情でコーザはうなずくと、情報屋に話の先を促した。


「執行者は区分の上じゃ、一応Aランクだ。つまり、戦えば死ぬが、運がよければ逃げられるってやつよ」


 したがって、Sランクは逃げられないし、死ぬということである。知ったところでどうにもならないという、情報屋の台詞に嘘はないのだ。


「区分じゃなくて、知りたいのは戦闘スタイルとかだよ」

「まあ、そう急かすな。フォルムは黒鉄の騎士だそうだ。とにもかくにも、攻撃力が半端ない。得物は槍で、こいつが異様に伸びるんだと。ほかのモンスターを破壊していたなんていう、目撃談も少なからずあがっているあたり、相当に狂暴なんだろうさ」

「ちなみに、情報屋なら鉢合わせても逃げられそうか?」

「無理だな」

「やっぱそうか。レベル十を超えたようなバケモンじゃないと、Aランクは無理なのかもな」


 コーザの台詞に、思わずニシーシは口を挟んでいた。


「レベルって、スキルストックの数ですよね?」

「そうだな。それと、技の種類にも多少は影響しているらしいぞ」


(そうだ。どうせ話せるようになったんだから、あとでルーチカに聞いてみるか。なんで、レベルがあがると、別の技が使えるようになるんだ?)


 だが、図らずもコーザの疑問は、その場でルーチカが解決することになった。それもひどく乱暴なやり方だったが……ルーチカらしいとも言える。


「さてな、そんなもの俺様が知るかよ」


 危うく、ニシーシ(・・・・)は反応しそうになったが、どうにか堪えて平然を装いながら、話をつづけた。どうやらニシーシも、交換所の一件から、妖精の瞳を持たない相手への対応を、ちゃんと学んでいるようだ。怪しまれないように、その場では、妖精の話に耳を貸さないほうが吉である。


「そうなんですか……。すみません、僕のチャールティンは、元からレベルが五だったものですから」

「……ごめんなさい、ニシーシ。わたくしが力になれなくて」

「は~ん、うちと一緒ってわけね。レベルが十を超えている人間は、うちが知る限り三人だ。その一人が、氷結。たしか、レベルは十八だったかな?」


 コーザが恰好をつけて話してみれば、それは自分の専門だと、情報屋が苦笑を浮かべながら水をさす。


「それは情報がちょっと古いな。今じゃ二十三の怪物だ」

「二十超えって……マジかよ」

「大マジだ。やつはもう手に負えん。危なすぎる。今にムッチョーダとの抗争をおっぱじめるぞ。俺も、もう場所を変えるつもりだ」

「そんなにか」


 自分はこれからそんな人物に、会って頼み事をしなければならないのかと、そう思ったコーザは少し気後れしてしまう。


「だから、ちょうどよかったぜ。コーザ。俺も最後に、お前に会っておきたかったんだ。なんなら、よしみで少しレクチャーしてやるよ。レベルがあがったばかりで、ろくに使い方もわかっていないんだろう? どんな技だった? これから未踏破領域に挑むってんだ、そんくらいはさせろよ」

「ああ、助かるぜ」


 コーザは礼を言うと、ルーチカの新技である(から)の薬莢について、話をはじめようとするのだった。

 コメントまでは望みませんので、お手数ですが、評価をいただけますと幸いです。この後書きは各話で共通しておりますので、以降はお読みにならなくても大丈夫です(臨時の連絡は前書きで行います)。

 次回作へのモチベーションアップにもつながりますので、なにとぞよろしくお願いいたします。(*・ω・)*_ _)ペコリ

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