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1話

時は少し遡る。



三嶋道場と書かれた和風の邸宅、そこは剣術、弓術をはじめとしたあらゆる武術を教える道場であり、この道場は三嶋國重と呼ばれる厳ついじぃさんが取りまとめてる。

そして今日も三嶋道場からは怒号が響き渡る。


「紫月!!紫月はどこだ!!また鍛錬をサボってギターなぞ弾いてるな!!!出てこい小僧!!!!」


この怒りすぎて頭の毛が抜けたんじゃないかと思うジジイが俺の祖父三嶋國重だ。

中学までは鍛錬は欠かさず行なってたが高校に入学と同時にヴィジュアル系ロックバンドをを知り、もっぱら鍛錬よりもギターの練習に明け暮れてる。

更に見た目も大きい十字架のピアスをつけ服装も…まぁいわゆるヴィジュアル系の服装を好んできてるのがジジイ的にはアウトだったらしく毎日こうして怒号を発しながら隠れてギターの練習をしている俺を探してるという訳だ。


「小僧!!!!大人しく出てこい!!さもなくば真っ二つに叩き切るぞ!!!」


…まぁ言ってる事はアレだがこれでも死んだばあちゃんと一緒に深い愛情で育ててくれてるのは間違いない。

俺に必要以上に厳しいのも地元で忌み子とそして不良として嫌われてる俺を不器用ながらも真っ当な人間に育てようとする故の事だし。


「小僧ぉおおお!!!!」


うーん、めんどくさいけど大人しく行くか。

いつもの流れだとこの後説教されてからの座禅コースだろうなぁ…

はぁ、とため息混じりに大人しく姿を見せる。


「また鍛錬サボりおってこのクソガキが!今日はみっちりシゴいてやる!!。

しっかり覚悟しておけ。」


(…)

ジジイの言葉に反応出来ないのは何故か『人』を前にすると言葉が出なくなり、表情筋も死んでるのか?という位固まり結果として無表情で無言。

そのせいで忌み子と呼ばれたり不良と呼ばれたり、ホントにこれ何の罰ゲームだよと言いたくなる。


「…だがまずは鍛錬に入る前に仏壇に手を合わせてこい。

分かったな?。」


(…コクリ)


俺は分かったの意味を込めて頷き仏壇へとむかう。

その後ろ姿を見ながら國重は紫月が『人』と話せない理由を考える。


(…死んだばあさんが言っていたが紫月には生まれつき呪いの様なものがかけられる、そのせいで話すことは愚か感情を表に出せないのだと、そしてその呪いを解く方法は現代には無い、ただ修行の様に精神を鍛え上げれば少しは軽くなる可能が有るか…)


國重は深くため息を着きながら頭に手を添える。


(どうにかあの子の呪いを解いてやりたいが儂に出来ることはひたすらに心·技·体を鍛えてやる事だげだ…。

年頃の子にはちと厳しかろうがそれしか思い浮かばん。

紫月に恨まれても文句は言えんな…だが例え儂が恨まれようが嫌われようがそれであの子の呪いが少しでも軽くなるなら儂はそれでいい。)


己の顔を両手で叩き再び鬼のような形相に戻った國重は年齢を感じさせない歩みで道場へと向かって行った。

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