プロローグ
人は死後どうなるのか?
誰もが1度は考えたことがあるであろう事を腕を縛られ瀕死の重症を負い床に伏してる少年は考えていた。
(結局ジジイの仇もとれずにこのまま死ぬのか…ここまで殺したんだから天国と地獄があるなら地獄行きだろうな…)
「…まさかこんなガキにウチの構成員の半数がやられるとはねぇ…このガキが末恐ろしいのかそれとも下っ端共が使えねーのか…まぁ結果このザマだしどっちでもいいけどよ。」
葉巻に火をつけながら少年を見下ろすスーツ姿の男は部屋の惨状を見ながらため息混じりに呟いた。
「ま、ここまで派手に殺ってくれたんだからそれなりの覚悟は出来てるんだろ?…お前楽には死ねないぞ?」
「……」
(そんなことはどうでもいい、けど死ぬ前にこいつだけは道連れにしてやる…!!)
「まさかポン刀(日本刀)1本でウチに乗り込んでくるとはね…復讐心がそうさせたのかそれともただのイカれたガキなのか…」
「……」
(一瞬で良い、せめてこいつが何かに注意を惹かれる様な事があれば…)
少年が持ち込んだ折れた日本刀を見ながら言葉を発するが少年からの返事はない、その事が気に食わなかったのだろう、スーツの男は少年の左目に銃を突きつける。
「何とか言えや!!まだ意識はあんだろ!!」
バァンとした発砲音と共に少年の左目に銃弾が打ち込まれる。
「グッ…!!」
しかしそれに対する少年の反応は僅かに呻き声をあげ残る右目で男を睨みつけるだけだった。
「…気味の悪いガキだ、感情が欠落してるだかなんだか知らねぇがこれから殺されますって顔じゃねぇなそれ…てめぇのジジイと言いどういう一族なんだ…」
男が呟きながら葉巻の火を消そうと灰皿に目を向ける。
その瞬間を少年は見逃さなかった。
すかさず少年は床に転がっている折れた日本刀の刃を咥え男の胸に突き立てる。
「若頭ぁ!!!」
「てめぇ!よくも!!」
一瞬の出来事に怒鳴る事しか出来ないチンピラ風情の男たちをよそに若頭と呼ばれた男は冷静に少年の右目に銃口を突きつける。
「…生憎だが伊達にヤクザやってる訳じゃねぇ、こういう備えは常にしてるんだよ。」
若頭と呼ばれる男は胸に突きつけられる刃を気にした様子もなく少年に発砲した。
「…クッ…!」
それでも尚うめき声のみに留まり男の心臓を貫こうとする少年に続けざまに発砲を繰り返す。
「あー、止めだ止め、こいつは危険すぎる。ここで完全に殺しとかないとダメなやつだわ。」
そう言って少年の額、心臓などに躊躇なく銃弾を打ち込んでいく。
(…せめて道連れにしたかった、ごめんなジジイ…)
その意識を最後に少年はその生涯を終えた。