白い鳥たち、手のひらから。
まだよく見ていない絵、覚えてない。
いつも置いてきぼり、さらさら油絵描けない。
まだよく聞いていない物語、覚えてない。
また置いてきぼり、すらすら昔話話せない。
ページとページは連鎖して、あっという間遠くに離れていった。
風の色の鳥が羽ばたいて、切りすぎた髪を揺らしていった。
声と音は連携して、あっという間深くに離れていった。
錆色の幼虫は蠢いて、弱すぎた心を揺らしていった。
かけがえのないもの、ちっぽけな影を置いてった。
居場所に困ってる足元に置いてった。
何でもいいから、そばにいて。
いつのか分からない真っ白な写真が、手のひらを埋めた。
泣くな、泣くな、真っ暗な子。
世界中が、待ってましたと笑っちゃう。
しんみりした心の空洞に、しょっぱいものが溜まってる。
息抜きにため息を吐いて。
いつのか分からない真っ白な写真、手のひらから舞い落ちる。
泣くな、泣くな、真っ暗な子。
泣くな、泣くな、白い鳥たち、短い旅路。
痛い頭叩いても、サラサラ油絵描けない。
痛い頬つついても、スラスラ昔話話せない。
行くな、行くな、真っ暗な子。
物語みたいに、鳥にはなれない私たち。
行くな、行くな、真っ暗な子。
ちっぽけで、空っぽになった手のひら。
私に手をつながせて。