30 とんでも婦警登場(その9)
「もらったっ!」
辻本巡査は射程距離に入ったのを確認して暴走族のバイクに向かって引き金を引きました
一応言っておきますが拳銃ではないですよ?
いくら人間のクズ、ゴホンゴホン、被疑者だとしてもヤってはいけません
・・・現在の法律は絶対に間違っていると声を大にして言いたい
手に持った銃から打ち出されたのはカラーボールです
そう郵便局に押し入った強盗に対して投げられるというアレです
走り去る犯人の背中に向かって投げるのが定番のアレです
通常は手で投げます
でも今は暴走族をミニパトで追っかけている最中です
投げることはできません
ですから専用の銃を使って投げています
いや打ち出しています、ですね
もちろんそんな銃を郵便局や警察署が用意してしるわけではありません
私物です
アメリカ製のおもちゃを隣で運転している小早川巡査が魔改造しました
・・・私の相棒は将来絶対に警察に捕まると思います
そんな都合のよいおもちゃを見つけてくることもおかしいですが
魔改造するものオカシイです
小早川巡査曰く
え?普通にアメリカ発の大型おもちゃ屋にあったよ?
これくらいで魔改造いうな!でんじろう先生に謝れ!
でした
いや最後ののは意味がわからないから!
まあそんなわけでシャカシャカ動かして空気を圧縮してカラーボールを次々に打ち出しました
後日、警邏なり通報なりで色がついたバイクを見つければ任意での楽しいお話合いの始まり、という訳です
次々にカラーボールの餌食になった暴走族が
「てめえっ!」
とか言いながらミニパトに蹴りを入れてきました
どうやらプライドを傷つけられて頭に血が上ったようです
無謀にも反撃してきました
残念ながら?小早川巡査の華麗?なテクニックで見事に空振りしました
本当に無謀でしたね
大体、港の貨物船の輸出用の車を隣にピタ付けして駐車できるテクをマネできると日頃から豪語しています
あと後ろに目が付いている等々の数多くの伝説を持っている規格外です
当然の結果ですね
・・・私の相棒は何考えて警察官をしているんでしょう
才能の無駄使いですね
あ、蹴りを空振りした暴走族が転倒しました
そりゃそうです
絶妙なバランスの上に成り立っているバイクです
バランスを崩せば倒れるでしょう
「死んだ?」
運転席の相棒が聞いてきます
後ろを振り替えて確認しました
なにか手足が動いているようです
「う~ん、大丈夫?」
・・・多分大丈夫だよね?
「だったらいい」
相棒から男らしいセリフが聞こえてきました
思わず惚れてしまいそうになりました




