27 とんでも婦警登場(その6) ~被害者の主張~
「犯人の名前と住所を教えてくれ!」
市民がいきなり交通課のカウンターに突撃してきました
「できません」
規則なのでそう答えると烈火のごとく起り出しました
一体私にどうしろというのでしょう
はじめまして
交通課の辻本ケイ巡査です
事の起こりは暴走族が赤信号を無視して交差点に突っ込んだことでした
当然青信号の方から車が来ますよね?
そうすると交差点で鉢合わせです
当然、車の方は急ブレーキをかけます
すると後ろを走っていた車と追突します
こういう事故が一番保険でもめます
ええ盛大に
何と言っても加害者がバッくれやがりまし、コホン失礼、逃げました
要は泣き寝入りです
やられ損というやつですね
当然被害者の方は納得がいきませんよね
直接の加害者である暴走族の名前と住所を教えろと警察署に突撃してきました ←今ココ
先日、かんしゃく玉で事故った暴走族は未だに病院から退院できてませんからね
・・・制限速度を超えて走っていれば当然です
地面はおろしがね同然です
それはもう酷いありさまでした
ええ、ばっちり見ちゃいましたよ
なにせミニパトで追っかけていましたから
まさに死屍累々
ざまあみろ、ではなく大惨事でした
コホン
失礼
かんしゃく玉で事故した暴走族が病院にいるんです
当然警察は名前も住所も知っている(だろう)
だから教えろ、と突撃をされたわけです
でもそれが交通事故を起こした原因とは今の段階では言えません
だから教えることはないです
そう伝えました
「だったらいつの段階だったら教えてくれるんだ」
逆に聞かれました
いつなんでしょうね
私の方が知りたいです
大半の人に勘違いされていますが警察は捕まえるだけなんです
起訴したり刑を確定したり情状酌量するのは検察です
警官は万能ではないんですよ
歯車の一つにすぎません
だから判りません
そう言えたらいいな
対応した女警は見えないようにため息をつきました
苦情を言ってきた相手を納得させてお帰りさせるのが今日のお仕事です
こんな時は無性に警官を辞めたくなりますね




