13 とある採用担当の独り言
「本日はありがとうございました」
そう言って面接者が頭を下げて退出した
「ふ~っ」
思わずため息がでた
なんでオレがこんな貧乏くじを引かなければならないのか
そう思った
ことの起こりは取引先の社長が無理難題を持ってきたことだった
「派遣やパートで良いから採用の面接を受けさせてやってくれ」
そうごり押ししてきた
あちらは発注元
こちらは受注側
明らかに下請法違反だろ ←違うって
そう思ったが言わない
正しいことが正義とは限らないんだよ
大体、小学校付近の通学路で、制限速度が30kmの道で100km出した上
小学女子を跳ね飛ばして殺しておきながらのうのうと採用試験を受けにくる根性が気にくわない
もちろん交通刑務所に入っただろう
反省もしただろう
人間働かなくては生きていけない
だから仕事が必要だ
理性では判る
でも感情が許さないんだよ
反省したから許せ?
少女の親は未だに引き摺っているというのに?
やった者勝ちという明らかに加害者が優遇され、被害者がやられ損という現実
どうやっても気が治まらない
え?
なんで被害者親のことを知っているか?
調べたんだよ
情状酌量の余地があるかと思ったんだ
でも一かけらもそんなのは無かった
狭い路地で100kmとかあり得ないだろ?
おまけに少女は20mくらい吹き飛んだそうだ
跳ね飛ばされた先のブロック塀にはベットリ血の跡が付いていたそうだ
これで許せるというのならそちらの会社で雇ってやってくれと言いたい
オレには無理だわ
もっともオレは下っ端だ
上司に丸投げしてやろう
絶対にアイツを入れるという判断だけはしたくない
上司がやるならばなんとか許容できるかもしれん
・・・多分だが
でも絶対に友達にはならない自信があるけどな




