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015 (閑話)世界の理その2/4

 なんか違和感がある。

 創造神と云えば全知全能だと思うが、その全知全能をもってしても『平和』を創れない程度で、他の神様の望みを叶えるとか、おかしくないか?

 『平和』を成し遂げた時点で、全知全能を超えているんじゃないか。それとも得手不得手があるのだろうか。

「求めている平和とやらを創れ得ない程度な存在が、他の存在の望みを叶えるとかおかしくないか?矛盾していないか?仮に『成した平和をズタズタに破壊したい』という望みだって叶えるとなったら非道いと思うのだけど」

「極端な例えを提示されても困りますわ。叶えるのは『相応の望み』よ。『何でも』では無いわ。もしかしたら試されていらっしゃるのかもしれませんね。わたくし達の事を」

 全知全能とか云われている神が成せない事があるのかと疑問だったが、『試している』というなら腑に落ちる。

「それで、その試している方法に条件があったりするのかい?例えば全てを滅ぼして争いの無い平和な世界に成りました。と云う事は無いと思うけど」

「そうね、平和の定義については、わたくしにも解りかねますわ。わたくし達も創造神によって創られた一部なのですから。

 とりあえずは、ある事柄を、使命、テーマ、命題、課題、宿題、題材、案件、要請、犠牲、提案、規則、規定、適切な呼び方はお任せしますが、その提示された何かが意向に沿っているか否か、となりますわね」

 引っ掛かる一言はあったけど、要は王様や貴族等、地位の高い相手に贈り物をしてその褒美を頂く。みたいな感じなのだろう。

「しかし、ただ『平和』といっても曖昧すぎないかい」

「そうかしら?月の姫君の問い掛けよりは解り易いと思いますわ」

「月の姫君?・・・ああ、あの童話か。そう言われればその通りだな」


「それで方法は?手段は?禁忌とかあったりするのかい」

「制限や禁忌は特に無かったと思います。知力と能力と腕力と協力と資力と暴力と死力と、あらゆる全てを尽くして求めに応ぜよ。と、おっしゃっていたかと」

 禅問答なのか。そもさんせっぱなのか。と突っ込みたくなった。暴力と死力をどう使えば平和に繋がる?意味が判らない。

 創造神が平和を求める・・・という事に疑問?いや違う気がする。なんだろうか?考えれば考える程に怖いイメージが湧いてくる。しかし言葉にしようとすると、どうも難しい。

 考えつく毎に自問自答してみるが、聞いても「上のお方のお考えは解らない」と答えられそうな事柄ばかりだ。

 その中で一つだけ、明確にできる疑問が見つかった。これが切っ掛けになってイメージがハッキリする事を期待して問い掛ける。

「試されているモノ、参加するモノは、適切な言葉は思いつかないが、神様や天使、その他のあらゆるモノ、あらゆる存在でいいのだろうか?」

 あえて『悪魔』は付け加えなかった。『全て』と答えれば名称問わず『全て』だろうし、違うのであれば例えば『神様のみ』とか『天使のみ』と答えるだろう。と思っているからだ。

「そうですね。単的に言えば、ごく一部ですわ。そうですねぇ・・・」

 曖昧な答えに肩すかしを受けた感じになった。

 メフィストが改めて教鞭を当てたスクリーンには、表示されている3つに区切られた三角形にはそれぞれに『1000世界』と注記が追加されていた。

 メフィストは三角形の頂点に教鞭を当ててから区切り毎に下げていく。

「竜登様の国では『三千世界』という言葉がありますが、ご存知ですか?

 頂点の元に1000世界あります。コレを大千世界と申しまして、

 大千世界の1つの世界に1000世界あります。これを中千世界と申します。

 中千世界の1つの世界に1000世界あります。これを小千世界と申します。

 1000の3乗、これで10億の世界が存在することになります。

 余談ですが、縦割り世界なのですよ。

 小千世界の1つが、竜登様の世界の、宇宙としましょう。

 宇宙に知的生命が住む星はどれほどあると思いますか?

 ドレイクの方程式というのがございますが、これは通信技術を持つ高度文明についてですし、フェルミのパラドックスもありますので、これは考えないようにしましょう」

 ドレイクの方程式とか知らない数式持ち出されては、もう何がなんだか分からなくなった。

 しかし、そういう考え方は省略します。との事でちょっとホッとした。流石に数式なんて出されても分からん。

「地球に似た星は宇宙で600億はあるそうですわ。

 竜登様の国、日本では数の表現ではありますが『八百万の神々』といいますので、星1つに神様800万柱が存在しているとしましょう。

 合計すると、480000000000000000000000000柱存在する事になりますでしょうか?

 あら、意外と少ないわね」

 いやいや、十分天文学的というか、48×10の25乗という数字をどうやって理解しろと?

「そして、神様と同数に天使、精霊、悪魔、鬼、諸々存在するとしても・・・・

 1グーゴルプレックス位には・・・なると思ったのですが、無量大数にも届きませんわねぇ」

 メフィストは『あらあら、まぁまぁ困ったわねぇ』というポーズを取る。

 困ったのはこっちだ。もう理解の外の話だし、とにかく『計算式』では無くて『言葉』を話してくれ。

 メフィストの口調がブツブツと、ああのこうのと説明しているつもりだろうが、もう途中から聞いていない。

 話が終わるまで、ただひたすら待つばかりだった。


「要はですね、総力戦になったらそれこそ収集が付きませんし、皆が皆、栄誉を求めている訳ではありませんので、ほんの少しなのよ」

 ほんの少しと軽く言うが、1億分の0.1%でも十分収集がつかないと思うけど・・・。

「ついでに申し上げるならば、全てが全て参加している訳ではありませんが、飽きっぽいモノ、参加している振りをしているモノが存在します。大変困ったものですわ」




 天文学的数字に打ちのめされた心理的ダメージが抜けて、やっと目眩から解放された。

「暫く呆けていましたが、もう大丈夫でしょうか。数字で目眩をされる方なんて珍しいですわ」

 メフィストは私の意識が戻るまで待っていた様だ。それは有り難いが、数字で目眩をするなんて、と揶揄するが、本気でイメージしたら目眩しないか?しないのか。私だけなのか?

 それはさておき、

「参加しているモノ・・・というのは言い難いなぁ。何か適当な名称は無いかい」

「それでしたら『プレイヤー』なんて如何でしょう」

「『プレイヤー』って気軽過ぎないか?己の望みを叶えたくて必死なのだろう。これではまるでゲームを愉しんでいるみたいじゃないか。適当過ぎだよ」

 私は『要求の的を得た』名称を求めたのであって、『いいかげんな』名称を求めたのでは無い。言葉遊びをしているつもりは無いんだから、勘弁して欲しい・・・いや、ちょと待てよ。

 ふと5回も繰り返し過ごす原因になったサイコロ振りを思い出した。毎回『1』が出た謎は後に訴えるとして

「その『プレイヤー』はどうやって『平和』を成そうとしているのだ?直接に世界を改変しているのかい」

「『プレイヤー』にもよりますが殆どの事例では直接に干渉はできませんわね。例えば竜登様が『プレイヤー』として、世界の代わりに蟻の巣を管理してるとしましょう。アリクイ等の大きな外敵ならば直接追い払えばいいのですが、巣に入れる小さい外敵の場合はどうしますでしょうか?巣を掘り起こして取り除きますか?」

 例えとはいえ人を蟻扱いされているのは遺憾だが、直接に干渉する事で逆に世界を破壊してしまう事は解った。

「つまり手出し出来ない状況があるというのは分かったけど、その場合はどうすれ良い?どういう事例があるんですか」

「例えの続きですが、蟻に無害な薬を撒く。巣の中に道具、ファイバースコープとか小型ロボットを送り除去する。という感じになるわね。これを実際の世界に当てはめるとするなら、毒気を撒くか分身か使者を送ります」

 分身、というのは色々と聞いた事があるな。詳しく思い出そうとは思わないが色々だ。

 それから使者といえば天使が思いつくが、今までの流れからは天使も『プレイヤー』になりえるから・・・

「まさか『使者』って・・・」


「ええそうね、丁度4つ目の話しをしようと思ってた所ですがどうしましょう。5つの制限でお伝えする為に取捨選択しております。次の説明がご希望の答えになると良いのですが」

 少々嫌そうに答えた。メフィストにとってはどうでも良い事なのだろう。だが、私的には重要な事だ。

「メフィストにとっては関係ない『プレイヤー』の事情だろうけど、私には重要な事だと思う。是非とも教えてくれないか、いや教えて頂けませんか」

 食い下がって訴えた。



「それでは、多分4つ目です・・・」



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