七夕と夜汽車
「りぃちゃん、おほしさまのかわみたいね」
ももちゃんが大好きな絵本を広げ担当看護師さんに話しかけた。
「お天気良かったら見えるかも知れないね」
季節感のない病室に長期入院している子供たちのために子供達が喜びそうな行事のときは看護師が出来る限りのことを小児科病棟で取り入れている。
「ももちゃん、今日は七夕だよ。短冊にお願い事を書いてナースステーション横の笹飾りに結びつけに行こうね」
「りぃちゃんも、一緒に書こうよ!」
ももちゃんは、担当看護師さんと一緒に短冊を書きたい様子に微笑ましい光景に看護師さんは、
「うん、いいよ。ももちゃんは何色の短冊が良いかな?」
「キラキラした金色!」
「お空にお願い届きそうね」
ふたりのふんわりした時が流れる。
「りぃちゃんは、何書くの?」
ももちゃんが、看護師さんの書く短冊が気になっている様子。
ももちゃんに見つめながら書いた短冊は
【みんなえがおで たいいんできますように】
ももちゃんは笑顔で頷き、キラキラした短冊に願いをかける。
【きしゃにのってあまのがわをわたりたい】
ももちゃんはついさっき読んだ絵本をすっかり気に入った様子。主人公が汽車に乗って空を駆け巡るお話を夢中で読んでいた。
「天の川を夜汽車でかぁ……素敵ね」
「うん! りぃちゃんものる?」
「一緒に天の川を夜汽車に乗って渡りたいね」
そんな会話をしながらナースステーション横の笹飾りに結びつける。
子供たちの願いが叶いますように……。