第二章 第1話 一之瀬陽菜
おひさ
「さて、教室に行くかな」
視聴覚室を出ると、二週目が始まったって感じだったなー。
それと、驚いたことがあったんだけど、確かに一周目の(俺が確認できる限りの一周目)クラスは七組だったはずなんだが、今回は四組までしか無かった。
保健室の奥田先生が困惑していた理由も、今なら分かる。
それなら、小本に連れ去られる前に行った七組は? という俺の疑問は解決していない。七組があったはずの教室は空き教室と化していた。
これは学園長が何かしたのだろうか。まあ、深く考えても仕方ないことか。
「……ども」
恐る恐る、四組のドアを開けると、ホームルーム中だったのだろう、教室にいるほとんどの生徒がこちらを見た。
数人、見なかったが。
「おう、高嶺君だったか。体調はもういいのか?」
「あ、はい……。大丈夫です」
「せんせ! これまでにやったことの説明、私がしますよ! 何たって、学級! 委員長ですから!」
俺が先生の心配に答えると、今度は一人の女子生徒が勢いよく立ち上がった。
「おぉ、やってくれるか委員長。じゃあ頼むわ」
「はい! えぇと、高嶺くん……だよね? あたし、一之瀬陽菜だよ! よろしくね」
この一之瀬陽菜こそが、俺の、二週目で初めて出会った同級生である――。
「えぇ……、よろしく」
しかし、事故を起こしたときの人生に、こんな人いたっけか?
俺はこのとき知る由もなかった。この疑問こそが、ある事件の始まりを示唆するものだったなんて――。




