第一章 第2話 気付いたこと
どうも。
とりあえず今日は第一章全部投稿しますね。
次に目が覚めたのは、保健室だった。目を開けると、そこには知らない天井……ではなく、見知った天井だった。
三年間で数える程だったが、確かに保健室の天井である。
「ぅ……」
「あら、起きたの? 大丈夫?」
カーテンを開けて顔を出したのは、
「はい……大丈夫です、奥田先生……」
「え? よく、名前知ってるわね。どこかで会った?」
「え? いやだって……」
高二のとき、かなりお世話になったというのに、俺を知らないというのか? あんなに毎日足を運んだのに……!
「大丈夫なら、教室戻った方がいいよ。新入生だし、自己紹介とかあるんじゃないの――」
「…………!?」
新、入生……? 誰が? え、俺?
ふらふらした足取りで、鏡の前に立って、自分の顔を見て驚いた。
「あれ、俺の眼鏡は……?」
「え? あなた眼鏡してるの? でも運ばれたときにはしてなかったよ」
……少し、思い付いたことがある。
ただしそれは、突拍子もないことで、どんなに奇跡が起きようともあり得ないことだ。
それは、先程の入学式や、新入生という言葉が俺に向けられて言われたこと。それに、眼鏡。俺が目を悪くしたのは高二の冬だったという事実。
もちろん高二の冬なんて時期は一年以上も前のことだ。しかし、眼鏡をしていない状態でも、不自由なく遠くの物が見えるという事実は――、今の俺が、三年前の入学式に戻った、という考えに運ぶ力を持っていた。
あり得ない。
現実でそんなことは起きるはずがない。
けれど、それ以外に考えられることはない……。
……保健室にいても始まらないな。よし、教室に行ってやろうじゃねえか。確か俺のクラスは……。
「ねえ、本当に大丈夫なの?」
「はい、もう戻りますね」
「あ、クラスは――」
「一年七組、出席番号十八番、高嶺 廻です。これからよろしくお願いします。奥田先生」
「あ……、え、えぇ。高嶺くんね。覚えておくわ……」
こうして、俺の二回目の高校生活は始まったのさ。
ごめんな、ちょっと長くなっちまったかも? まあまあご愛嬌ということで。
原因なんて分かりゃしない。でも、動かないよりはましだと……思ってたのに。
「すいません、ただいま戻りました」
「ん? このクラスは全員いるけど、間違えてない?」
「え? いやだって、ここ七組……」
ドアに掛かってた七組という紙を確認する。間違ってはいない。
「あぁ、君入学式で倒れた生徒だろう。確か四組の林先生が心配してたから、四組じゃないのか?」
はい? 確かに俺は一年のとき、七組だったはずだっていうのに、四組だって?
分からないことが多すぎる。本当は夢じゃないのか? 明晰夢かもしれない。何かが違う。どこか合っていて、何かが決定的におかしい。
なら。
この世界は――、俺が事故に合ったときとは違う?
いや。
違う、ではない。正確に言えば……、
「パラレルワールッ」
「動くな」
「……え」
そうそう、ここで銃を突き付けられたんだよ。声はどう考えても女のもので、車に鉢合わせたとき以上の――死の恐怖で、銃が本物だと悟ったっけ……。
後ろにいる人は、どうやらクラスの連中には丁度見えない位置に立っているようで、大きな騒ぎにはなっていなかった。
「ついてこい」
女はそれだけ言って、銃を下ろした。
「お、お騒がせしました!」
ピシャリとドアを閉めた俺は、女の姿を見てやろうと後ろを向くと――また、驚いたよ。
「小本……!?」
目の前にいたのは、俺たちの学年の学年主任を三年間務めた、小本先生その人だったからだ。
「場所を変えましょう。望月学園長のところへ行くよ」
くそ、訳が分からない。
誤字、脱字あったら教えて下さい。