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第二章 第6話 相談

「実はさ、俺、前世の記憶があるんだよ」


 そう切り出した俺の話に、他の三人は興味を示した。


「前世って、……高嶺くんが高嶺くんじゃないときの記憶ってことか?」


 そうだな、普通そう考えるだろう。だが、違う。


「いや、俺はずっと俺だ。俺は俺のまま人生をやり直してる……」


「そ、そんな! そんなことってある?」


「わたしも、そう思う……」


「どういうことだよ?」


 三者三様。驚く一之瀬に、賛同する山落さんに、疑問を抱くもみじ。


「死んだと思うと、赤ん坊になっているんだ。もうあの病院の天井を何度見たか覚えていない……っ! 何度やり直せば俺は死ぬことが出来るんだ!」


 死んだら産まれると言ったのは、ある種の信憑性を持たせるためだ。まさか高校を卒業したら入学式に戻っていたなんて、さすがに信じてもらえないだろう。


「あれ? でもさ、入学式のときに大声を出してたのは何で?」


 あっ。やべえな、確かに気が触れるんだとしたらもっと前でなければおかしい。わざわざ高校の入学式で狂う必要はない……。


 と思っていると、もみじが助けてくれた。


「それは、あれだろ。度重なる人生が辛くなっちまったんだろ」


 おぉ、ナイスナイス。そういうことにしよう。

 ていうか俺しくじってばっかりじゃないか? 全く、気を付けなければいけないのに……。まあ、生徒が敵になることはないだろうし、今はそこまで気を張らなくてもいいだろうけど。


「実はそうなんだ……。あのときはごめんな」


「私こそごめん! 高嶺くんの気持ち考えてなくって……」


「全然大丈夫だよ」


「でもなぁ、高嶺くんのそれって気のせいとかではないんだよな? そういうのってどうすれば解決するんだ……?」


 そうだよな、俺はこの狂った学校から脱出したい。そのためにはどうやって解決するのかを突き止めなければいけないんだ。


「そうだ、それじゃあ黒魔術研究機関部でも行ってみる?」


 え、何て? 何だって?


「黒魔術……何それ。紅葉知ってる?」


「あー、えっと白坏しろつき先輩一人でやってる部活・・だろ?」


「え、部活なのか?」


「あぁ、部活だ。黒魔術研究機関部くろまじゅつけんきゅうきかんぶ。ちょっとアレな人だけど……容姿は良いって聞くな」


「紅葉、そんな目で見てたの……?」


「え、えっとー。噂! 噂だから!」


 黒魔術研究機関部……、言ってみる価値はありそうだな。


「ねぇ、高嶺くん。前世にはさ、私たちっていた?」


「あ、確かに気になるなそれ」


 俺の前回の高校生活……。最初に感じた通り、一之瀬は見覚えがない。だが、もみじや山落さんはどうだ?


「……、一之瀬と山落さんに見覚えはない。けど、もみじは、見覚えがある気がする」


「そっかー、私たちはいなかったんだー」


「わたしも……」


「俺には見覚えがあるのか?」


「いや、ハッキリとは分からない。でも他の二人よりは記憶にある気がするんだ」


 もみじ……か。校長に報告しても大丈夫だろうか?


「何で聞いたの?」


 一之瀬に問うてみる。


「いやさあ、皆に見覚えがあったとしたら、ただ人生をやり直してるんじゃなくて、同じ人生をやり直してるってことになるんじゃないかなって」


 なるほど。AIの思考力とは思えない。これがTera AIの為せる技なのか、それとも……一之瀬にも、オリジナルがいるのか。


 どちらかだろうな。


「……そうだね。そういうことになるな。ありがとう一之瀬。君が相談に乗ってくれて良かった。もみじと山落さんもありがとう。明日はその、黒魔術研究機関部に行ってみるよ」


「待って! 私も行くよ」


「俺も行きたいな」


「わたしも。駄目かな……」


 驚いた。

 まさか俺に着いてきてくれるとは。


「着いてきてくれるのか? ありがとう、心強いよ……本当にありがとう……」


「いいってことよ。俺たち、友だちだろ?」


 明日……一気に真実へ近付いてやる!

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