第一章 第1話 卒業式→入学式(同じ高校)
どうも。
あとでもう一度書きますが、第一章が終わるときは「第一章 最終話」と書くつもりですので、別にこの作品の終わりを示すものではありません。
ちょっと、俺の話をしていいかな?
長くはならないからさ……。
ある日、というかその日は特別と言えば、特別な日だった。よくある話としては、天使か女神か悪魔やら何やら出て来るんだろうね。
でも、俺の前に出てきたのは、よくあるシルバーの、どこにでもある車種の、乗用車だったんだよ。
そりゃあ当たったよ。ブレーキする暇もなかったのかな、そのままのスピードで、硬いボンネットが俺の腰にぶち当たった。骨の砕ける音が確かに俺の耳に届いた。
それから景色が逆転して、俺の体はアスファルトの道路に叩きつけられた。息をするのも苦しくて、もちろん体を動かすことも叶わない。
「…………!!」
「………………!」
周りの人が慌てて駆け寄ってきた。けれど、よく聞こえないし、視界も霞んでいった。
そのまま俺は――死んだ。
……はずだったのに。
『えー、今日、皆さんは晴れてこの望月学園に入学しました。皆さんにはこれからの学園生活に……』
気づいたときには、すでに修了したはずの学園の、入学式の席に座っていた……!
「なんっだよ、これ!」
勢いよく立ち上がった俺を訝しんだのだろう、講堂にいた生徒のほぼ全員が俺を見上げる。
「なにあの人……」
「うるさいなぁ」
「……大丈夫かな」
「……。……」
「ほーん? 多重人格か、はたまた異世界転生かな? 何にせよ後で要接触、と!」
だが、今の俺にそんなことを気にしている暇はない。
どうして――、いや、何がどうなっている!?
さっき車に轢かれたはずの俺の体は、確かに動く。それは夢だった? いやいや――じゃあ、それより前に卒業したはずの学園の、入学式にいるのはどうしてなんだ!
あの卒業式は夢じゃない。なら、これも夢じゃ、ない……。
混乱が限界に達したらしい俺の頭は、処理を諦めたらしい。
俺は、前の椅子に倒れ込んだ……。
第一章は全5話です。