前回までのあらすじ
※前作のあらすじを新人賞投稿時のまま投稿しております
高校二年生の西ヶ谷 一樹。つい数ヶ月前に亡くなった兄である雄太の遺言に従い、「雑務部」と呼ばれる初めて存在を知った部活動へ入部するべく部室を尋ねる。しかし部室にただ一人残っていた女の子から「帰って」と言われ、不満を感じながらも部室を後にする。
それでも兄が自分に残した遺言と一人だけの彼女が気になり、もう一度部室に姿を現す。ふたたび拒否された西ヶ谷だったが兄の名前を出すと彼女の態度が一変、雑務部は「いじめに力ずくで対抗していく部活」だと教えられた。
その後、偶然にも活動中の彼女に遭遇しいじめっ子たちに鉄拳を喰らわせてしまった西ヶ谷。放っておけば暴行で問題ため、仕方無く彼女に入部を許可される。方法は滅茶苦茶であったが、何とか入部を果たした西ヶ谷。彼女は部長の久遠 葵だと名乗った。
西ヶ谷最初の活動は、クラス内で発生した朝霧という女子へのいじめを止めることだった。ところが経験の無い西ヶ谷は久遠の警告も聞かずに独断で行動。結果として数に勝るいじめっ子側から攻撃を受け、ギリギリのところで久遠に助けられるという失態を犯してしまう。
経験豊富な久遠は、いじめの中心人物だけを狙う方法でいじめを止めようとする。今回の目標は二人。一人目を針による神経圧迫という離れ業で制裁した久遠は、二人目の男子を西ヶ谷との決闘で抑えようと計画。参加せざるを得なくなった西ヶ谷だったが、自らに宿り始めた不思議な能力によって改造竹刀を使いこなし決闘を制す。最終的には久遠の作戦よっていじめが止められた。
次に舞い込んできたのは、サッカー部の一年生がいじめられているという相談だった。ところがこれを察知したサッカー部長が、暴力を使っていることを理由に雑務部を廃部にしようとネガティブキャンペーンを展開する。学校中で雑務部のマイナスイメージが広がる中、久遠の呼びかけによって人望のある生徒会長が雑務部を応援。逆にサッカー部のいじめを指摘し、雑務部はなんとか廃部から逃れることとなる。
落ち着きを取り戻した雑務部。今度はバスケ部でいじめがあったという相談を剣道部の友人から受けた。しかし相談してきたのが剣道部であったのと、対応を急いで欲しいという妙な注文に違和感を覚える西ヶ谷。確証を得られないことからバスケ部に対し警告という形をとるが、バスケ部はいじめなどしていないと猛反発。抗議するかのように雑務部室や西ヶ谷へと嫌がらせが相次いだ。
相談者である友人は西ヶ谷に「力で抑え付けるという方法は間違っている」と説明。一度納得しかける西ヶ谷だったが、剣道部の一年生が語った真実に目を覚ますことになる。なんとバスケ部のいじめは剣道部がついた嘘であり、剣道部内で起きたいじめを隠ぺいするための計略だったのだ。
自らの身を守るためにいじめをでっち上げるなんて許せない。一年生からすべてを聞いた西ヶ谷は、久遠とともに剣道部への制裁を行う。自分より技量で勝る相手に苦労しつつも、久遠の助けにより無事剣道部への制裁を完了した。
雑務部は正義の味方じゃない。力で抑え付ける点ではいじめっ子と変わらない。一つだけ違うのは、自らが間違っていると自覚しているかどうかだ。
そんな雑務部が持つ負の部分を背負い、西ヶ谷は雑務部員としての道を歩み続けることを決心した。