失って、去って。明日への絶望
「はぁ…はぁ…どうなってる?」
木の幹に体を隠し首だけ出して辺りを伺う。鬱蒼とした植物が俺の姿を消し、敵の発見を鈍らせるのに大いに心強いフィールドではある。近くに湖が確認できる。あそこは湖岸線ぎりぎりまで木々が生い茂っておりいまいるここが密林と湖岸の境界線。密林の方は視界が悪く、湖岸線側は追い込まれる正に背水の陣となっている。移動するか?そう思ったとき遠くから悲鳴が
「また一人…殺された…」
自分の姿はあちらこちらから血が流れている…出血の割りには元気ではある。あるのだがとても戦いを挑む気にはなれなかった。仲間とはぐれ孤立無援の戦いは俺らしいと言えば俺らしいが今回ばかりはそれが俺の戦意を奪い去った。
「木々が上からの侵入を防いでくれる、問題は…嫌だなーまったく皆の相手は」
言いたいことが色々あってなにもかも最後まで話せない。気持ちの整理をするのに時間が足りない、それに気を抜く暇もないことは確りと知っていた。
「もうどうなってんだよ畜生…」
涙が出てくる。弱気になってしまうのも無理ないかもしれない。絶望の中でもよく走って走って生き延びたものだと思う。その時、吸い込まれるように耳に入ってきた皮膜が空気を裂く音、止めどなく流れる涙を両手で抑え込んだ。足から力が抜けてもはや立っていられなくなる。走ってきて疲れたわけじゃない。ただ立っていることさえ苦痛なんだ、それほどまで追い詰められていた。
「また一人…俺」
森でエルフと競争するな、地下でドワーフと競争するなと言う言葉がある。それに続きを加えるならこの場に居合わせていたエルフたちは口を揃えてこう言うだろう。
(空腹のドラゴンとは絶対に競争するな)
競うどころか圧倒されるだけ。
頭上の木が溶ける…そして、地面はぽっかりと口を開けたように穴があいた。穴の縁は強力な酸でもかかったのか、異臭のする蒸気が立ち込め腐蝕したエルフの遺骸が穴から覗いていた。
「グルルルルルル…」
敵の増援が来られても困るので壊滅した敵の駐屯地から離れ敵の本陣…城を攻め落とすため同胞のエルフの村へ行くため動ける男たちは信義に連れられ広い草原に野営キャンプを設置していた。
「リヴァ!!離れらんかい!!あとベロベロ舐めんなや!!恥ずかしくないのか!!」
「ないもーん♪」
疲れた…のはおれだけじゃないはずだ。リヴァの相手を俺だけにさせ他の皆はご機嫌とりに何度か頭を下げに来る…けっ…代わろうって言うやつは一人もいないのか!?そんなリヴァから逃げるために辺りの偵察をするためエルフ数人と信頼とで辺りの森を散策する…にしても暗がりで道なき道は疲れるし火があっても怖いな~闇がさ…
「それで…海竜?でしたっけ?」
「そうなんだよ…海竜、なつかれてな…人間の姿を真似てはいるが怒らせるなよ…」
「まぁ…あの地獄絵図を見せられればね…自然と背筋がよくなります」
たわいもない質疑応答、犬みたいに何度も同じ場所を行ったり来たり。偵察とはそんなものだけどなにかなければなければで暇なもんだ。
グラムで歩行を遮る枝をバッサバッサと切り落とし時には蜘蛛の巣の餌食となってあげる…そんなことが続けば飽きもやってくるわけで集中力が足りない俺はすぐに愚痴を言い始めて進まない。
「もういいじゃん、交代してもらおうぜ?」
「そう言って半刻もたってないです」
「んなこと言ってもさ~」
直後、耳がいいエルフじゃなくても判断できる…背後から異様な気配が…でもおかしい。後ろとはつまり野営キャンプ…まさか
「戻るぞ!!急げ!」
鉄砲玉のように走り出す俺達、全員嫌な予感がしてるのは共通しているようで表情は険しい。
「敵ですか!?だとしたら…」
「皆が危険だ!!」
ついたらまぁ…なんの変化もない…思い過ごしか?
息をきらして帰ってみれば異変なし…あれ?どうしたのかな?するとテントの一つから大胆エルフちゃんがひょっこり現れる。
「全員無事か!?」
「敵ですか?無事ですけど…」
事態がわからず首を傾げている。リヴァがなんかやらかしたのかなと思えばミルティーとおとなしく遊んでいるし…
「悪い、勘違いっぽかった。偵察任務でちょっと全員ぴりぴりしてたみたいだわ、なんでもない」
そう言って帰ろうとした途端何かがテントの端から転がった。眼帯をした…信義、その生首。どこをみているのかぽけーとしている表情のまま俺達の足下にサッカーボールのように唐突に転がってきた。それに俺達はなにが起きているのか?頭が情報を処理できずボケッとその場で固まった。
「誰ですか~遊んでるの?こっちまで飛んできてますよ~」
「あ、あの大胆エルフちゃん?それはよなんだ?」
「えっ?バカですか?ごみじゃあないですか。あなたもこれからこうなるんです」
レイピアを抜くが速い、俺の額をかすめよろよろと数歩後ろへ下がるとようやく異変を理解できた。
背後のエルフたち、ユニの角でボロボロに穴を空けられて肉塊に、もしくはリヴァの水の的に。倒れたこと事態が一瞬で俺達は自分の目を疑った。信頼も
混乱しているが横腹に矢が刺さりその場にうずくまった。
「うあっ!?」
「信頼!!確りしろ!!傷口を押さえるんだ!!」
駆け寄り信頼の手の上から傷を押さえる。血が出てはいるが止めれば何とかなる。それよりなんで?なんでこんなことに!!辺りからエルフが一人また一人と顔を出す。弓矢で狙いを俺達につけている。その中にはユニファーさんの姿も見える。どうしてだ!!
「ユウ!」
「又兵衛!!か…」
テントの間から怪我したミルティーを連れて又兵衛がこちらにやって来る。後ろには女…手を二人へと向けている。機械化されたヴァルキリー?見つけてたのか?利用…されるなんて…
「あ?うっ…かっ体が!!」
肉体を変化させる。人間を魔物へ、ヴァルキリーを
人体改造して造り上げたヴァルキリア、自我はなく命令されるがままの傀儡のような生体兵器。大和民族の土地を新緑魔界へと変えた力。それで人間を魔物へ…
「おっおい…二人とも…」
角が生え、尻尾がでて甲殻が全身を覆い被さるように出てきて…鬼の仮面でも被っているような…化け物へと変貌した二人にもはや昔の面影はなかった。
「和の前で個は負けた。それを反省できなかったから魔王は連敗してきた。なら和を崩された勇者はどうなるんだろうな?」
テントの入り口から男が出てくる。赤い角に赤い瞳それに筋肉質の体。なんなんだこいつ…は?
「勇者が二人も現れればそれに合わせて魔王も二人いて…不都合か?と言っても今回この策を考えたのは俺じゃあない。もう一人の…魔王だ」
「お前が手塩にかけて育んできたからこそ威力を発揮する。やれお前たち」
一斉に降り注ぐ矢、回避行動に移るがお見通しであったから不意を突かれた。ぺローの気配を消す技術は一級、さらに的確に弱点を攻めてくる。足を狙われたら…避けることも逃げることもできない。
「フザケンナァァァァァァ!!」
すんでのところで信頼を掴む。そこから跡形もなく俺と信頼の姿は消えた。
「瞬間移動か…追い込むのは別のやつがやる。今のうちにいっきに畳み込んじゃうよー全員魔力解放よろしくーヴァルキリアは魔法用意。これで人間を魔物に変えて人間どもは…滅びる!!」
赤い男は空に向かって大きく吼えた。
木が生い茂る中、倒れるように二人は転送された。
そして思い返す。仲間が襲いかかってきたこと、ミルティーと又兵衛が変わり果てた姿になる映像を頭の中に再生し続けた。
「はぉはぁはぁ…ふぅー…なぁ?こりゃ夢だろ?そうでなけりゃ…なんだってんだ?」
隣で寝転がる信頼に尋ねた。本当は知っている。でも認めたくないし、逃避したい気分だ。現実にしてはずいぶん残酷な仕打ちだろう。裏切りではないにしろ操られていたのか?
「親父は…父さんは殺された。死んだんですよね?
どうしてでしょうか、あんなにも我が身より皆のことを…育ててもらったエルフのために頑張ってきたのにそのエルフに殺されるなんて…あんまりじゃないですか?」
頭だけ信頼の方へ動かすと泣いていた。親が死んだんだ。仲間によって、たったいま信頼は親を失ったのだ。こう言うときになんて言えばいいのだろう。
「不思議と今は怒ってないんだ、だけど…頭ん中で大事なもんが崩れちまって…脱力感だけだ。空っぽだな。今の俺たちってなんだろな」
空を見上げても木の枝しか見えない。残った魔力は神力に変えて信頼の腹部の傷を治療する。いつもなら敵をぶっ飛ばして皆の目を覚まさせるとか言ってるのだろうけど…どうしても見たものから逃げ出したくなった。治療したあとまた信頼の横に寝転がった。思考停止してただ呆けることしかできなかったのだが聞き覚えるのある音で目が覚める。あの音はもしかして…
「ドラゴン?空気を裂く音、間違いない!!ドラゴンだ
くそっ!信頼!逃げるぞ!」
「ははっ…いっそのこと…」
「バカ言ってんな!生き残る!いいか!それだけ考えろ!!いいな、でないと」
「死にたくなっちまうだろうがよ…」
信頼に肩をかして立たせるとゆっくりだが音がする反対側へ逃げる。段差に躓きもつれながらなんとか逃げるためにずるずると信頼を引きずって岩壁を見つけくぼみを見つけそこへ下ろす。怪我は完治はできておらず下ろしたときに苦しそうに声を曇らせたが頬を叩いて確りさせる。
「ここにいろ、いいか?出てくるんじゃないぞ。俺は様子を見てくる。すぐもどる…」
怪我して動けない信頼をその場に置き、俺は木陰に隠れながら前へ前へと進んでいく。考えたのはさっきの男の追手だ。しかしドラゴンまで連れてるとはそれに魔王だと?二人め?けっ!仲良くしようなんて雰囲気じゃなかったしな、説得なんてできるか!!
ぐちぐち言いながらどんどん進んでいく。敵がいつ現れるかわからない恐怖とさっきのトラウマで俺の精神は極限まで擦りきれていた。
草を掻き分けそれでも前に進む、なにが俺を立たせて前に進ませるのかわからないが嫌な予感だけはさきほどから感づいてはいる。この先にあるのは希望ではなく絶望だろう。
グラムを抜き、構える…音が止んだ。どこかに着地したのかそれとも…慎重に進まなくては…少し歩くと平原が見えてくる。ここならドラゴンの着地も容易だろう。草は俺の胸ほどの高さまで生えている。
しゃがめば見つかることもない。魔力はまだ回復していないからソナーは使えない…ベルセルク化すらできない今の俺は…剣を握る手が微かに震える。
(この先にドラゴンがいる)そう直感した。風に紛れてゆっくりと前に進む。屈みながら常に辺りを警戒する。姿が見えないとなると人間に姿を変えている。不意に襲われれば人型でも殺される。震えながら前に進むことだけは止めない。ふと違和感を覚える。シルフの流れとしては不自然だ。風の動きがおかしい。その異変を察知して地面にふせるほうが早かった。胸が鎌鼬に裂かれたようにパックリと切られていた。風をレーダーのようにして相手を見つけそして鋭い風で仕留める…そんな手はずで隠れていたようだ。
「俺はここにいる!!出てこい!!」
立ち上がり叫ぶ、返事もなければ姿も見せない。当然と言えば当然だが、待ち伏せや不意打ちとはドラゴンらしくない戦い方だ。そこもやけに気になる。
「今の俺は加減できそうにないからな…心得てくれよ…」
暗い…やけに暗い…新月じゃなかったはずだ…ずっと木の枝に遮られてきたから気にしてなかったがここは平原、遮るものはなにもない。それに気づいたとき空を見上げてなにが迫るのがわかった。黒い巨体見間違えることはない…あれは
「コクテンさん!?」
双角が見えた…茶色の体色が黒色になっている戦闘態勢だ。なぜ襲ってきているのかもわからない。俺の体ははね飛ばされた。山のような巨体にぶつかられて無事なわけがない。平原の草は衝撃で岩石が剥き出しとなる。その岩石に潰されて身動きがとれなくなる。一人また一人とドラゴンになる。挟まれながらそれを眺めることしかできない。グラムもどこかに飛ばされてわからない。脱出する力も残されてはいない。
「苦痛は与えず始末するつもりでしたが…初撃を避けるとはさすがです」
グロリアがドラゴンの姿で見下ろしている。そしてジュロンとコクテンさんを下がらせる。
「先に戻っていろ。魔法の目標の位置を知らせてこい…私が抑える…行け」
ジュロンとコクテンさんはグロリアを置いて飛び去った。魔法という言葉に反応して俺はなんとか抜け出そうと試みるもびくもしない。
「二人の墓場だ…ここで死んでもらう」
矢が一本飛んできてグロリアに当たる。もちろんぶ厚い甲殻の装甲の前ではなんの意味もないのだがグロリアは矢を放った人物を捉えていた。
「信頼!なにしてる!逃げろー!」
最後の力を振り絞っていたのか…逃げるそぶりも見せず木にもたれかかってぴくりとも動かない信頼。
グロリアは軽く息を吸い込んだ…
「グロリア!やめてくれ!関係ないだろ!?信頼はやくしろー!!殺されるぞ!」
グロリアは口から酸のブレスを吐き出した。慈悲もなにもない、動けない相手にトドメをさすために…確実に息の根を止めるために…
「信頼!」
最後を覚悟してのことだろう。諦めた様子でその場を離れようともせず静かに目を閉じたのを遠くからでもよく見えた。ブレスが降り注ぐそのときまで顔色一つ変えていない。覆い被さるその瞬間…信頼の口が動いた。なにを言ったかわからない、言ったのかわからないが意味は伝わる。
「信頼ー!!」
信頼の最後は笑ったように見えた。死ぬその間際俺に何かを伝えそして酸のブレスを浴びて骨も残らず蒸気となって消え去る。グツグツと地面が煮えている。あんな中で生きていられるはずがない。俺が助けられないでいたから、ぐずぐすと岩の隙間に挟まってたから…後悔してももう遅い。もう誰もいなくなった。
「グロリアーーーーーー!!」
岩を弾き飛ばした。散弾のように硬い岩石が飛び散る。グロリアにダメージはないが驚いてはいるようだ。ベルセルク化、寿命を削り発動させる…前々から発動してるんだ…そろそろ俺もくたばるかもなそれも構うもんか。
「俺達がなにをした!?俺が何をした!!言ってみろよクソ蜥蜴!!なんで…どうして裏切った!?信じてたのに!!なんで信頼を殺した~!?」
精神悪化は時間の問題だと思う。でも情けなんていらないと思った。どうでもよくなったと言えばよくなった。俺が犠牲を払って守ってきたものさえクズだったんだ。いや、クズに成り果てた。
「操られてるんだろ?そうなんだろ?だったら俺が助け…」
「自分の意思でネフト様の命令ですが?邪魔者を排除しろと!勇者を殺せと仰せられたので」
「……んだよ!」
「自分の意思ですが?なにか?」
「なんなんだよお前らはよー!!そんなに人間と戦争がしたいのかあんたらはー!!」
グロリアの爪痕が体に残る…飛ばされるし地面を転がってぶつかるし…再生はするけども。俺は反撃するチャンスももらえず爪でひっかかれたり投げ飛ばされたり噛み砕かれたり。酸のブレスで足が溶けて動けなくなっていた。
「逃げられては困るからな、ここで釘付けにさせてもらった。頭上を見ろ…魔法だ。食らえば跡形もなく消える…いかに再生するといえど破片もなくなるほどの高威力の魔法で消し去れば…死ぬ」
なんとか立ち上がろうとするも足が溶けてまだ再生するのに時間が足りない。逃げることもできない。瞬間移動する魔力もなさそうだ。
「ここでともに死んでもらう」
「お前…死ぬんだぞ?」
「構わんさ」
「終わっちまうんだぞ…」
「それだけのことをしたんだ。恩人殺しの汚名と共に塵も残さず消え去るのみ…」
「あんた、勝手だ。勝手過ぎる…信頼の人生を奪って…新しい魔王の非道に手を貸して!!誇りもなにもないクソッたれのろくでなしだ!!」
「ドラゴンでもなんでもない、許してとも言わないし悪いとも思わない。もういい、消えてくれ」
魔法が発動する…辺りが光に包まれ消えていく…悲しくなんかない、でも割りに合わないから。納得できないから!!
「一葬双傷ウォルダギオン!!」
光に包まれる前に発動した。光が消える。
「まだ、生きてる?」
中途半端に発動して消えている。失敗したのか?グロリアはそう思ったがユウを見てわかった。
「まだ体は残ってるみたいだな」
ほとんど体がなくなったユウ、生きてるとは、まだ喋れるとは…人型になりユウの体を蹴りあげる。頭を掴み地面に投げ飛ばす。首をつかんで持ち上げると半身がない。ぼとぼと辺りに内蔵を撒き散らす。
「このまま千切ってもまた再生するのだな?どうなんだ?」
「ああ、そうだな」
ぺっ
唾をはきつけられる。片目が潰れる。それでも抵抗しない。呻き声一つあげない。ただ耐えるだけ。
「恨みの一つでもでてくると思えば!!」
殴られると思えばそのまま舌を抜かれる。もうなにもできない…気力がないんだ。地面に叩きつけられ踏みつけられる。潰されてるんだな、これが。
「これでも勇者か!?あっ!?」
飽きて爪先でひっかけて飛ばす。水で濡らした雑巾を壁に叩きつけたようにベチャッと地面に張り付き高低差でずずずと重力に従い止まる。
「仕方なかったんだ。こうするより他、手がなかった。知ってました、ユウが誰よりも優しくて強くてでもそれが…皆を傷つける。良い人でしたよ。もしあなたが勇者じゃなくて私がドラゴンではなくて人間で」
「戦争がない世界に出会ってたならそれは、どれほど幸福だったでしょうか?」
指輪から月光刀を取り出す。氷のような瞳で刀を振るう。思い出は…縁は切れた。自分で切った。この戦いの中何度もユウは戻れるチャンスをくれていたのにそれを踏みにじった。
「頑砕奮迅、これから苦しんで生きます」
発動するすんでのところで邪魔者が入る。振り上げた刀を振るうより速く魔法の矢が到達した。
「「マジック・ミサイル×2!」」
砂煙を振り払うように現れる。味方だと思ってた。敵になるとは思ってもみなかった。なぜユウを守るのか!?グロリアに疑問は尽きない。しかし現れた。
ユウを利用するために。
「壊されては困る。ベルセルクは回収させてもらう
それに嫌がらせ、したい」
「ん~♪ジークフリードちゃんは私たちが貰っちゃう♪だから始末は私たちがさ・せ・な・い♪」
一人はローブ被った少女、不健康そうな青白い肌、
身体中にどくろの装飾を施し、手には杖が。もう一人は男の性欲を刺激する大胆に胸元を開けた服装に
尻尾、先端はハートのかたちになっている。よくみるサキュバスと似た風貌である。
「死にぞこないでも任務は全うする…二人まとめてかかってこい!!」
勝負は一瞬、グロリアは直ぐ様焼け焦げる。ぶすぶすと焦げ臭い匂いが立ち込めその場に倒れ混む。
「嘗められたものね~これでも幹部なのに…ね?」
相方の方へ向くもすでにそこにはおらずユウの方へ移動していた…影が薄いのか隙がないのか…
「ど?治りそう?いや改造しそう?」
「…ん、治す。まだ間に合う。これで胸の痛みの原因究明、始められる」
「な~ら戻りましょ?胡散臭い魔王と配下が集まる前に…あ~やだやだ!過激派とはだから嫌いなのよね~こんなに可愛い子虐めるなんて!久しぶりに私ぷんぷんだからね!」
「うるさい、リリス。ベルセルクは、あげない」
「も~またまたリッチのいけず~♪ちょっとなら…ね?構わないでしょ?」
「(ぎゅっ…)いや」
こうしてユウは保護された。魔王の幹部の二人によって~




