表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界駐留記(不幸で奇妙な物語)  作者: ふじひろ
いざ!勇者を訪ねて~
95/135

拝啓ユウに海竜より、愛を込めて

この村のエルフたちは荷物をまとめ、森の奥にある岩かげに荷物を含め老人、こども(俺より歳上)を隠し若い衆と信義率いるエルフの弓矢隊はこの村の住民用に弓と激戦に備えて矢を制作し信義の息子、信頼が弓矢のその訓練にあたる。俺らは…とりあえず地図通りか周辺の森を歩き回ってみたり、一応警備を兼ねて巡回してるんだけどね。


「やれやれ、来るとしたら今夜かな…向こうも夜目は効かんけど寝静まって手薄になったら攻めてくるだろう」


「襲撃の鉄則と言えばそうなのですがひねりもありませんな」


地図を広げながら歩く後ろをユニと又兵衛がついてくる。俺はにやにやしながら目線を地図から前に戻した。


「村1つ分だ、精々俺らの兵力は。だが敵はもっといる。数で潰せると思ってるんじゃないか?それに信義みたいな?やな野郎が後ろで操ってるとは向こうも思ってないかもよ?」


テケテケ歩くのも疲れてきたな…正直俺の手を使えば敵は瞬殺できるがこれはやつらの戦争だ…恨みはかいたくない。


「さーてと…ユニファーさんの方は大丈夫かな~」


「戻ります?」


「そうしましょっ…」


片足軸にくるりと反転し無理に向かって歩き出す…正直やってられないが…リヴァとミルティーを救う為と思えば…ミルティーはどこでもやっていけるよネリアのアホは知らん、でもリヴァは…リヴァだけは…放置はヤベーよー


信義の案通り作戦は着々と進み、夜になり月が真上から差し込むなか俺はユニと二人村の入り口に座り込んでいた。俺は耳を傾けて敵がこないか探っていた。少しでも違和感があればソナーで探るつもりだが戦闘になる前に魔力の消費は抑えたい。


「ブルルル…」


考えにふけってた訳じゃない、でもぼーと耳だけ動かしてたのがユニには俺が色々と心配しているんじゃないかと思ったらしい…気を使ってくれるのはありがたいがいきなり顔を擦り付けられて俺もなにかと身構えてしまった。


「怖いのか?なに?いや考え事は何時ものことだろーが…大丈夫さ…心配なんて…してない」


それでもユニはしつこく前足で地面を掻き、頭を俺の肩や背中に擦り付けてくる。


「それにしてもやっかいごとに巻き込まれたな…」


「ブルルル…?」


二人で話をするのも久しぶりだ、丸太に腰掛けユニと喋る…他人がみればユニコーンに喋りかける変な人だ。俺はユニの額を撫でてやる。気持ちよさそうに何度も催促してくる。


「お前から甘えてくるなんてな、仲間の数が増えたからな~なに?女が増えただけだろって?ほっとけそれは俺がどうこうしたわけじゃない」


そんな他愛ない会話の途中でユニは角を振り上げなにかを感じとる。ユニの角は風を感じる感覚器官でユニがこの行動をとることはなにかが側に来ているということだった。


「ソナー…敵が二人騎乗、偵察かそのまま村を一周して…撤退していくな…やはり偵察か」


見張りが手薄なのは向こうに知れただろう。今が機だと部下は上司に報告するだろう。そして一気に村に雪崩れ込んでくるだろう。が、この一揆が成功するかは敵の動きに関わる。この餌に食いつくかな?

ユニに股がると信義の元へ走らせた。



















「松明の明かりがひい、ふう、みい…あー駄目だ。多すぎて重なってデカク見える正確な数までは読み取れないが、この俺様、200はいると思うな」


さっきとは変わり大胆エルフちゃんとぺローを連れて入口まで戻る。入口はここ以外にもあるがどれも小さい、大部隊を突入させるならここから、大部分は歩兵が占めている。軽装ながらも鎧を着てるから動きはそこまで機敏ではない、だから鎧なんて持っているはずもないエルフは身軽、森に逃げられれば追い付けるはずがない。だから他の入口からは機動力のある騎兵がエルフを中心の通りへと追い詰め歩兵で惨殺するのが向こうの手口だと簡単に読み取れた。


「さーてと慌てるふりで油断を誘うか怒らせるようななにかをして油断を誘うか…どうする?」


「俺なら後者」


「なるほどな♪」


村の周囲は小麦畑が広がる。刈り取り前でよく乾燥している。俺は歩兵の大軍を前にサラマンダーを呼び出した。それは俺の体をくるりと一回りすると小麦の中を走り回る。よく燃えるわー


「火を消せ!収穫前だ納税が減る!」


この部隊の隊長各なのか無駄な飾りできらびやかなやつがわめき散らしている。エルフは精霊を使役するのは向こうも知ってたようで対抗策も持っているようだ…サラマンダーは全てに火をつける前に掻き消すように姿を消した。


「あちゃーでもこれだけ火をつければ勝手に燃え広がっていくか」


「この猿が!!」


怒り狂った兵士がやって来る。俺たちはだいぶと落ち着いていた。騎兵が回り込もうとしたものの馬が火を恐れてかこの入口しか新入できなくなってしまった。だからか、前騎投入してきやがったよ。


「ほら見てみなさいよそこの兵士諸君、この美味しそうなダークエルフを!!食べたきゃこっちおいで~麦なんかで怒ってないでさ、こっちおいでよ~お兄さーん♪」


「ユウ!ちょっと何言ってるんですか!?」


俺の挑発にまんまとかかり騎兵が突撃してくる。その後からは歩兵の団体客が…忙しくなりそうだ。


「この数だ、相手にするにはエルフの数じゃー足りないだろ?それに騎兵だ、あの機動力だと全滅するかもしれない。俺が騎兵をここで潰す。二人はユニに乗って下がれ」


俺の言葉に反して大胆エルフちゃんとぺローは腰からレイピアを引き抜いた。ユニも角を誇らしく振り上げる。


「敵よりもまずお前から黙らせようか?」


「へ?」


ぺローが吹っ飛んでくる。言葉通りに吹っ飛んでくるんだ。そのまま俺の腹部へ~


「KAT・THE・STRIKE」


「うはうっっ!!」


目標を少しズレたぺロー弾頭は放物線を描きながら回転も加え、威力を増したぺローの頭蓋はおう、なんと言うことでしょう、股関バットにヒットしましたよ。辺りが白くなりお花畑も見える…あっ三途の川や~


大胆エルフちゃんはどうしていいものか右往左往ユニはそんな俺を激しく小突きまわす…

いやあ、やっぱり仲間はいいなぁ。


…………………。














どいつもこいつもふざけんじゃねえボケどもがっ!!

敵が来るとか関係ないんだよテメー!!だいたい入口で混戦になるのを防ぎたかったし敵に突破もされるのが嫌だったから言っただけなのに!!

お前ら誰も彼も死ねっ(涙)!!

これで娘も生まれなくなったわけだな!!


「ふおおおおおおあおお……」


「おっと、すまんズレた」


「えーと…これはポーションでどうにか…」


「(もう治ってるはずでしょ起きろグズ)」


もういい、インターネットとテレビとプレステがあれば友達なんていらないと豪語した土日は引きこもり気味な学生が異世界を救いに戦うとかしょせん不可能なのだ。下手に友達つくればこれだから、タマを失うんだから。これから無残な実験台の末路の報告ができると思う。


「ファイヤーボール、はいドーン」


前置きもなく演唱破棄でいきなり魔法をぶっぱなすチートな俺、火をつけられた馬は暴れまわり人は地面をもがき転がる。直撃したやつはわりと楽に死ねたと思う。変に涙を流し威風堂々と立ちはだかる俺はさぞ恐ろしくみえることだろう。みるからに変質者だ、さっきまで調子に乗って自滅して…十分向こうは混乱してくれてるよ。敵の方が思い通りだよ。

そう、仲間なんてしょせん画面の向こうしかいないのだ。RPGやってみ?100%こいつらより優秀なのがそろってるわ!PCキャラの方が仲間やってたわ!


「ほら歩兵、来るぞ!!」


そう、可愛い女の子にモテたさ、ゲームでもこっちでは微妙だけど(大半モンスター)モテた。それで行き着く先がゲームなら宿のおじさんに翌日「昨日の夜はお楽しみでしたね」から察しがつく通りリア充だったのだよ。それがこっちでは「お前強いな、よし夫にしてやる」…だからな、リア獣に強姦だかんな!!どこまでも俺に優しくない世界だな!!勇者よ俺わかる!?勇者よ!!救世主!!なのに首跳ねられたりこの状況はなんだ!!ユウショック!!ユウ悲しい(涙)


「だー!!退くぞ!!」


「うるせー!!男には退けない時ってのがあるだろが!!

これくらいの敵相手にできなくてなにが日本男児だよ!!こんなのができないならユウナになってやる!!」


「わけのわからん自暴自棄は止せ!!あっ、さっきユニファーさんが半裸で水浴びしてた!!(嘘)」


「なんだと?」


「あーでも今から死にに行くんだよな、じゃあ関係ないねー(笑)」


「続けろ」


「あー俺急用が出来たから行くねー♪」


「続けろと言っているんだ!!」


「後ね、この戦いが終わったら生でラーナが胸ツンツンとパフパフしてくれるって」


「よし、帰ろう」


「えーちょっと!?可笑しくないですか!?だってなんで私が、えー!?」


困惑混乱する大胆エルフちゃん、漂う死相に絶望感。嘘とわかっても平常に戻るものなのだ。そして軽すぎる俺の覚悟な。ボンテージ姿のムチムチダークエルフに興奮すら忘れていたとは…情けない。いったいなにを欲して戦ってたのか(リヴァとミルティーを取り返すため)。ダークエルフのおっぱいをみすみす見逃すくらいなら、変人優者なんてやめちまえっ!!


「冗談ってのがなんでわからないんですか~(涙)おかしいでしょ?普通!!」


「先にユニに乗ってろ!ぎりぎりまで引き付ける…引き付けたらユニのケツに飛び乗るから脱出だ!」


「おー!」


「ふぇーん!(涙)」


いました、ここに。俺をよく知る仲間が。出来るだけその場に留まり、敵の槍先が胸に当たるすんでのところでユニの背中にテレポートする。俺が乗った感覚は重さで伝わりユニはこの場から脱出できた。

小麦畑の火は民家に燃え移り(都会ではレンガだがここらへんは木造、あばら家である)何もない通路以外火の海とかした。バカしてるうちに燃え移っていったのだ。


「ふんふんふん♪乳つつく♪お顔の周りにお乳が迫るよふんふんふん♪乳がくる♪」


「なんて卑猥なんでしょう、あーやだやだ」


「(落とすぞキモ男?)」


「やーだー(涙)」


わかってるさ、嘘と知ってても…夢見て死にたいんだよ俺は!!俺が邪念を抱いた時っ!全ては悪夢に変わるのは知ってる!!でもそれまでは!甘い汁を吸っててもいいんじゃないでしょうか!?


「けっ…どいつもこいつも俺をろくでなしだと…」


「なにが違う…」


「………言ってやりたいことは山ほどありますよ!!でもね、俺大人だから。周りも見えてるし考えてるんです…ねぇわかるお二人さん+ユニコーン!!」


「(ゲスに貸す耳はない)」


馬の耳に念仏…こんの駄馬はもう知らん。逃がす、野生に放す。これからはセントーレに鞍替えする。


「ユウ!準備万全いつでもどうぞ!」


木刀を握る又兵衛が手を振ってるのがよく見える。

その横には矢をつがえたユニファーさん含めエルフの弓兵隊、指揮するのは信義。

その時息子の信頼が矢を放つ、それはユニの通り過ぎた足下に突き刺さる。あそこが射程範囲か…

すぐそこまで敵が迫ってきている…俺たちを乗せたユニはバリケードを乗り越えた…と同時にエルフが矢を放つ…


「ギャー!!」


「ぐぇ…」


範囲外の敵は置いといて射程内の敵は即死したものを除いてもどこかに矢が刺さっている。するとその兵士は致命傷ではないのに全員が口から泡を吹き苦しそうに胸を抑えて地面を這い回る。


「お前が二日で仕上げた毒草…調子いいなぁ」


信義は悪魔のように笑う。ただの矢じゃない、毒矢だ。天界産の悶呪草ってゆう麻痺毒が強い毒草を磨り潰した汁を塗ってある。即効性がありその麻痺毒の強さは…下手したら心臓がまともに動かなくなるほど…育てておきましたよ…はぁ、貴重な種を…これもこいつらに経験を積ませる為と思えば…


「そおーれもういっちょう!!」


一撃目で足止め、これが命取り。これ以上進めなくなるとこっちの思うつぼだ。周りは火の海、退路は後ろだけだが隊長らしきやつがまとめあげまた攻めてくる。騎馬を失った以上勝ち目はないはずなのにな~?あの隊長、素人か少なくとも戦場が初めてと見える。指揮がぐだぐだだ。ここは隊列を組んで進むより退避させるのが正しい判断だ。それをわかってないとなると…部下も問答無用で突っ込んでくる命令に忠実と言うより頼らなければなにもできないんだ。


「オルガは黒王の相手で忙しいだろぉ~留守番してた警備員どもだ…」


「士気も練度も低い、内といい勝負だ。部隊が滅びるまで戦うはずなし、全員も相手取る必要もなし」


笑いが止まらんのかどこか笑い声が混じってしまっている。その声で俺は寒気が止まらない。


「一割か?二割か?200いればけっこう死んだと思わせる30、40殺せば散り散りになる…ははっ!俺ら反乱分子の農奴潰しても勲章ないし、射たれて死ねば悔しいだろぉう?おまけにこっちは体のどこに当ててもいい…楽なもんだ♪」


「くそっ!何をしている!!隊列を組み直せ!!一度に攻めればあんな柔な柵潰せるだろ!!」


だが哀れかな、そんな大将の話なんて聞く優等生はこの中で一人としていない。皆飛んでくる矢にビビってそれどこれではない。


「矢だ!矢に毒が塗ってあるぞ!?」


「水だ、水で洗え!!なにもしないよりましだ!」


「水は!水はありません!持ち水は駐屯地から距離があったため道中に…道中で補給しようにも水源は枯れてましたからありません!」


口々に水を探して叫ぶ、水源なんてもちろんどこでこいつらが水を補給するか地図によーく書いてた。ウィンディーネに頼めば水源の位置を変えることもできる…なんのために森を彷徨いてたと思う、消火される危険もあったし、水が厄介になるからな、手をうっといてよかったよ。


「この炎で井戸の位置も確認できません!」


「なに!?全部罠か!?」


「構え~放て~」


一人また一人と倒れる兵士、隊列なんてもはやなくなりただの的が一塊になっているだけだ。エルフの腕にかかれば…なんてことない。距離があるやつは狙っても当たらない。シルフの風を乗せようにも精霊を呼び出せない。だからいまだ少し圧しているだけで決定打を撃てない。


「うっ狼狽えるな!数ではこちらが圧倒的!!押し進むんだ!何をしている!!」


「おい」


「なっなんだ貴様!!」


テレポートで距離は一瞬で詰める。堂々と敵将の前に出てきてやったんだ…偉そうに射程範囲外から部下を死地に追いやるくそったれめ。男なら先陣切って華々しく散ったらどうだ?それなら毒で苦しみながら死んじまったやつも少しは報われるかもな。後ろ弾は心配ないとしてさて、どうするか。


「最近小さい女の子と大量の女を保護してないか?知ってるなら居場所教えてくれよー?」


「なんだテメェ!?」


半狂乱で間合いが近いから長槍を捨て剣に切り換える兵士、おいおい退いてくれよ。殺る気を見せないでくれよそれじゃあ…


「反撃しない訳にいかないだろっ!?」


俺がどんな顔をしていたかわからんでもただ腕を払っただけ、なんだけど加減なんてしてなかったからか…鎧着てても軽すぎると感じた。そいつは体をグニャリと曲げ燃え盛る火の海に消えた。聞こえるのは火がついて叫ぶ断末魔だけ。


「なぁ~怒らないわけにはいかんでしょ?あんたら外道が何してるかさして興味なかったが仲間がそれに巻き込まれてると知るとちょっと俺も穏やかじゃない」


「なにいって!?」


「大和民族の地を新緑魔界に変えた兵器はどこだ!

どこにある!!」


「ちょっとまっひぎや」


グラムを指揮官の口に突っ込む、そんな様子を見てか兵士は最期と覚悟して捨て身の攻撃に入る。隊長がいるとか関係なしに最も効果的に槍で俺ごと突き刺そうとしてくる。が、その捨て身も意味を成さず次々と倒れる。ユニファーさんが走りながら矢を放ち大胆エルフちゃんがレイピアで兵士の喉を突き刺しユニが兵士をなぎ倒し火の海へほおりなげる。ぺローが俺の背中を狙ったやつを八つ裂きにする。又兵衛は指揮官の後ろをとって援護に入る兵士の牽制、信頼は矢をつがえ辺りを伺う。


「どこでそれを手にいれた?量産されているようだが…」


兵士の腰にはディスクの様なものがぶら下がっている。敵は魔法を使ってる様子はなかった。なのに精霊を呼び出せなくしていた。考えられるのは魔力を秘めた道具、腰についてるこいつが怪しかった…近づいて一瞬で俺の血が沸騰しかける。天界で見たから知ってる、ヴァルキリーが常備していて精霊を使役する敵に精霊と交信できなくする道具。問題はなんでこいつらが持ってるか、それと新緑魔界を起こした物…いや者がどこにいるのか聞き出す必要がでてきたわけだ!!


「オーディンの仕業か!?初代勇者が来て…勇者がいなかった空白の時に放ったのか?」


その時敵の長槍が飛んできて…投擲したのか…俺の胸に命中…貫通する。俺は一言もはっさない。


「ユウ!刺さってる!刺さってるぞ!?」


「知ってる…」


「さっさとくたばれ死に損ない!!」


グラムを思わず落としていたから…虚をつかれた…のかな?指揮官は素早く半歩下がると剣を抜き深々と腹に刺した。けど皆は怖れたのはそれじゃない。俺の死ぬ事実じゃなくて殺気、殺気だった。


「はがっ」


口にねじ込むようにパンチ、歯が折れて後ろに転がる。後ろにはまだ数十人もの兵士が残ってたのにも関わらず誰も助けには来なかった…いや、動けなかったのかな…?


「殺戮の凶刃…ベルセルク」


野人のような出で立ち、知らないやつが見ればいきなりオーガに変身したと思われるだろう。でも今の俺はもっと怖いぞ?


「もういい、知ってるやつを探すよ」


指揮官が身構えるよりも、警戒するよりも早く俺の体が動いて行動を完了した。軽くデコピンしたつもりでも人間では耐えられなくて首が捻れて頭が飛んでいった。そんで狂乱、頭の無い死体をぶん投げて

当たった奴は同じように潰れる。そこまでしてようやく逃げることを思い出したのか逃走する。


「くそっ!待て逃がすんじゃない!驚くのは後にして追撃するぞ!」


「その心配はない」


「なに!?うおっ…」


俺が標的に向かって手をかざす。すると光の矢が空を覆い尽くして被さる。


「マジック・ミサイル」


空が光ったと思えば落ちていく…そして地上の光がなくなったときにその場には影も残っていなかった。血溜まりが残るのが彼らがそこにいた証拠だ。


「これで!わかったか信義、俺に任せとくべきだったな、エルフに経験を積ませるのも悪くないだから文句も言わず食い下がったが…ほら腰抜かしてる場合じゃないぞ、スピード勝負だ。いっきに駐屯地攻め落とすぞ?」


俺は地図を見てたから位置は知ってた。あの場にいた全員を瞬間移動させる。


「けっ…お前があんなに取り乱すなんて兵器ってなんだ!新緑魔界?なんのことなんだ」


俺は険しい顔つきで月の方向から自分の行くべき方角を導き出す。


「こっちだ」


「答えてユウ君、兵器って?」


いつもより強き…退かないユニファーさんに俺も口をわった。


「イカれたオーディンがヴァルキリーを違法改造して作り上げた究極の戦闘兵器、作成法は残されておらず言葉だけは文献で出てきた。から知ってる、まさかこの世界にあるとは思ってもにみなかった。全部破棄されたとばかり言われてたからな…」


その破棄された場所がこの世界だとは聞いてないぞオーディン、俺たち勇者が失敗したときの保険か。

それにしてはやりすぎなもん封印したか、その力の末端を開いて国ひとつを魔界にかえたんだからな。


「何だそれは?神が作った…なんかだろ?」


ぺローが俺の口からでたわけのわからん言葉の数々にわかってもないのにそるだけを答える。はぁ…やだな…聞いたからには様子を見たほうがいけなくなったじゃないか!!封印状態を確認して…確認…

その時大きな地震が起こる。皆口々に俺が話した兵器が発動したとか言ってるが…確かに地震起こすくらいわけない、でもなんか違うような気がする…


「ソナー!!」


………………。手遅れでしたごめんなさい。

なにも言わず大胆エルフちゃんを見て冷や汗かきながらへへっとだけ笑って見せる。その様子に大胆エルフちゃん以外は大騒ぎしてこの世の終わりだとか叫んでる…確かにこの世の終わりだわな。神をも恐れる魔物が暴れてるんだから。


「その駐屯地、跡形もなく消えちゃってますよね…多分もう手遅れ…でしょうね…」


「だね~」


「なんでそんなにのんきなんですか二人とも!!」


ユニファーさん、あのね。こっちは話がわかるだけまだましな方だ。よかったね皆…さて、気が乗らないが会いに行こうか。あー行きたくないよね(涙)

できれば(涙)でも俺しか止められないからね(涙)ユニファー!俺頑張っちゃうけど無理かも(涙)


俺が生け贄みたいに先頭にされて歩かされ不死の男がいるから大丈夫だとか言って信義はエルフ達を立ち上がらせ他の皆はなんだかんだ言ってがくがく震えながらあとに続いている。やーだなやーだな。

高台から駐屯地を見渡せるところにつくと…焼け野原。そう、誰かがやつの機嫌を損ねたのだ。お分かりだろうか?そうやつである。そこで見たものとは…まぁ凶悪な二大怪獣が共闘して大暴れ…地獄絵図が広がっておりました。エルフの誰かがこれで話が作れると言ってたが作れるねこれ。


「オッホッホッ(笑)次はあっちを潰しておしまいリヴァちゃん!さぁにげろにげろ愚民ども!」


「グオアアアアアアアアアアアア!!」


咆哮を上げてブレス吐きながらのたうち回る海竜…

頭にはその凶悪なドラゴンのブレイン…司令塔、ミルティーが乗っかってる…俺の見立て以上にキモがあるなあの女…どっちが敵かもうわからん。


「はへ~旦那~」


ぺこぺこ媚売りながらネリアが兵士の格好でどこからともなく現れた。エルフと信義からめっちゃ警戒されてるけども。


「なんだ、生きてたのか。で?」


「友達って言ってるので連れてきました」


木上から颯爽と信頼が現れる。偵察中に発見したようだ。なーに、殺してくれちゃってもよかったのにわざわざ連れてきてくれたの~どうもすみません。


「潜入して助け出したんでございますよ~苦労したんですよ~」


「手柄を自慢すんな裏切者め!俺らが逃げ出した情報掴んだから手のひら返したんだろが!!」


全く信用ならんなこいつ、お前がとんでもないもん野に放った自覚がないのか!!見ろ!燃え盛る火の海を見るんだ!!どうする?あーなったらリヴァは止まんない!!俺を見つけるまで止まんない(涙)


「違いますよ~にひひひひ」


「お前は後で事情を話したリヴァに引き渡す…タップリとお仕置きしてもらうんだな…」


「ヒィッ!?それだけは勘弁だよ旦那~うちは悪いことしてませんよ~」


泣きつこうが知ったことか!!みろっ!白けた表情のユニファーさんの顔を!ぺローも又兵衛もユニですら正体に気づいたぞ!


「で、どうしますか」


「俺が行くしかないだろ…大胆エルフちゃんと…なんで逃げるんだよー?」


「知り合いなんだろお前だけ行けっ!」


すんげー勢いで皆距離を離して行くんだけど…人でなしー俺についてきてくれるやつはおらんか!志願者前へ!


「ユニファーさん!」


名前を呼ばれギクッとするユニファーさん…あっ…顔そらしたな…どうしてだ、傷ついたぞ。


「誰も行かないのであれば僕が」


「信頼!?ダメだ!命を大事にしろ!!」


「よろしい、あとはお前な」


「後生だ~情けを~(涙)」


抜き足差し足忍び足で遠ざかる悪どい野郎の首根っこ掴んで引きずっていく。信頼は…怖いものみたさでドキドキしながらついてくる。確り弓に矢をつがえているところは流石だなとは思う。俺なら諦めるけどなー本来なら。近づけば近づくほどスケールが増すリヴァ、誰か…俺を支えてくれ…


「さぁっ!焼き払え!どうした!それでも最も神が怖れた魔物の末裔か!」


リヴァが止まり視線の先には俺が…やべ、目があった。おい信頼、逃げる準備すんなよ、俺してないだろ少し待てよ。一緒に逃げるんだ。ネリア、暴れんな。


「グルルルルル…」


「あー道間違えちゃったな~♪信頼戻ろっか♪」


「グルルルルル♂グルルルルル♪」


「はっ!」


気づいたときには遅かった…足下から忍び寄る魔の髭は俺の体の自由を奪い取りそのまま持ち上げる。

逃走するネリア及び信頼…矢で狙いをつけようとしてるもデカイからな、何を狙うか迷っている…あのな教えてやろう。その時間が命取りだby伊丹 ユウ


「グウッ!グウッ!」


「うおおおおおおお!?やめてぇぇぇぇぇ!!」


暴れるが効果なし、リヴァの頭上で高笑いが…何が面白いの?不様?俺不様?リヴァの大きな口がガッポリ空いて…え?まじか?


「やっておしまい!!」


「クルクルクル♪」


「ピギャァァァァァァ…」


悲痛な叫びも…悲しく響くだけ…大きく開かれた口から突如現れた舌!おい、なにする気だ。


やめて!来ないで!!あっちにいって!キャー!!


「クルクルクル♪」


ペロペロペロペロペロペロぺロリン…

レローン…レロレロレロレロレロレロ


「ふおっ、ふおっぷ…」


「グーグーグーグー♪」


なに喜んでるの!?これ以上はダメェェェェ…

迫る口が…チュッ…ブチュウウウウウウウウ…吸うな、吸うんじゃない。首がとれる。


「うっうう…まだなんかあんの…?」


ゴゴコゴゴゴゴゴ…


「?」


「これで!」


なんだ、リヴァ!まだなんかあんのか!ミルティーよ!見てないで止めろ!!やめさせるんだ!!おーい!!ストップ!!ストップなの!!


「フィナーレよ~(笑)」


「打ち水~!?ギャァァァァァァァ…」


ほらな、セクハラしたらこんな目にあう。大胆エルフちゃん?セクハラしたら何億倍にもなって俺は…死にかける…




















「おーい大丈夫かー?」


どうもこうもこのざまよ!どうみえてるのでしょうかねーこのねこちゃんには!!


「なーなー兵器ってどこ?どこにあんの?」


ピキッ


地面に顔を伏せてはいるもののわかるだろ?疲れてて一歩も動けないのはよー!!


「なぁ?後でいいか?」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ