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異世界駐留記(不幸で奇妙な物語)  作者: ふじひろ
いざ!勇者を訪ねて~
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嫉妬と食欲の修羅

ミカサは頭の中を整理した。又兵衛の体を操っているとはいえこれから先なにが起こるのか、頭の中ですでに気づいていた。未来が見える、見えているのだ。目の前の壁あの向こうに姉のシュラが待ち構えている。証拠なんてない、でもそうなるような気がしてくる。


「ユウ…今話したこと、信じてくれます?」


おずおずとたずねた。ミカサらしくない突拍子もない言葉に最初は戸惑ったユウだったがあのミカサがこの場で無意味な冗談なんて言うはずがない。それに聖人の遺骸なら未来が見える能力がその目にあったとしても不思議ではない。


「未来をみる能力なのか、その両目は。どうなんだミカサ?例えばその未来と反する行動をとるとどうなる?」


シュラが待ち構えているであろう壁から一歩後ろに身を引く。ミカサの頭の中の情報が書き変わる。さっきの予知とはまた変わってくる。


「どうやらこの目の能力、未来予知などではなくあくまで予想と言ったほうが正しいようです。起こる可能性が高いものが見えてるようです」


「予知とはまた違った確率が高い未来を見られる能力なのか。予測ってやつなのか」


「他にも色々と能力が使えそうなのですが…他人の体ですし、使い方が詳しいのは又兵衛さんなのですから」


自分が食べられる未来を想像していたリヴァが先ほどから俺の胸に顔を埋めて必死でしがみつく。テコでも動かないほどに。怖いと思うのも自然だと思うそれに死ぬ恐怖なんてまだよくわかっていないが本能的に察知はしているのだろう。暗い通路で出口を探すためこの壁は諦めた。来た方向にミカサは足を向けた。だがこの状況で俺はリヴァを床に降ろす。それこそ無理矢理剥がして。すると置いてかれまいと必死に腰にしがみつく。


「例えこの先に待ってるのがシュラだとして避けるわけにはいかない。ここで決着をつける!ミカサはリヴァを連れて外まで走れ、未来は見えているんだろ?なら出口の方向は説明しなくていいな」


「ならこれは渡しとくべきですか、左腕です。それと剣を」


両方差し出すミカサ、俺はそれを受け取らず首を左右に振る。


「それはミカサが持っていろ。言ったろ?危険なのはミカサ、お前だ。満足に力を出せないゴーストのままだと道中に魔物が出ても対処できないだろ?せめて武装くらいはしておいてくれよな」


しかしミカサは無理矢理左腕を返してくる。左腕が戻りしっくりとくる。何度か肩を回し馴染んでいるか確認する。


「魔力もないのに一人で探検ですか?上層部入り口付近に巣くっていたオークはシュラ姉様が退治して一匹もいませんから武装する必要はないです。それよりこの迷宮の罠のほうが…」


言い終わるよりミカサが俺を掴んで背後に投げ飛ばす。状況を理解できないまま俺はリヴァにぶつかり絡み合うように転がる。ミカサの力で投げ飛ばされたこともあってか通路の端まで転がる。リヴァはそんな吹き飛ぶ俺の体を逆に押し返すことでなんとか壁に激突は免れた。


「ハァ!!」


「ミカサ!!」


だいぶ距離が離れたこともあり夜目になれた俺でも距離が離れてミカサの姿が見えない。でも遥か前方で火花が散っているのを確認できる。シュラがやって来たのか?先読みしていたミカサが反撃しているようだ。俺はリヴァをおんぶすると走り出す。リヴァはこの暗闇でもハッキリと敵の姿が見えているようで水鉄砲で遠距離から狙撃している。揺れる俺の背中、距離が変化しているのでシュラには命中しないもののシュラの気を逸らすことはできる。


「3人がかりか!?それも無意味だ!!無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄!!伊丹ユウめ!おとなしく隅で怯えて震えておればよかったものを!!」


「ユウ、お前に負けない!!食べるものなら食べてみろ化け物め!!」


「リヴァ!?俺を踏み台に…うわっ!?」


俺の背中で跳躍、天井ギリギリを体を捻らせそこでまた天井を蹴りあげ真上から狙いをつける。これならミカサの背中から僅かにでたシュラを狙撃する必要もなくシュラの反撃もされにくくミカサと連繋して攻撃に徹することが可能となる。


「これで終わり!!」


撃ち出した水弾、爪の間から圧をかけ、圧縮して放つそれは真っ直ぐ狙い通りシュラの頭上目指して飛び出した。いかに素早いシュラであったとしてもミカサと対峙しているシュラに逃げ場はない。


「お前らのペースに誰が合わせてやるか?図に乗るなよゴミ虫どもが!!うざったいんだよ!!」


その場で地面を砕くシュラ、ミカサは想像していたからシュラを追撃せずリヴァを抱えて真下の穴から避ける。ならこれも予想していたのか?俺は穴に飛び込んだ。そこへ又兵衛の体を捨ててミカサがぬるりと抜け出した。


「もちろん予想していましたよ?追いかける確率なんて高いでしょう…これは能力を使わずともわかりましたけど」


穴に飛び込んだ俺に続き宙を漂うようにミカサが続いてやって来た。リヴァは又兵衛が押さえ込んでいる。リヴァは納得できずに暴れているが…


「ミカサ…様ですね?先ほどの脳内の会話通りシュラに張り付けにされた女性を救助してそのまま外で拠点を確保して怪我人の救護ですね?」


「その通り、任せます。きっとユウは無茶をしますから治療の用意を…と言いましても道具もなにもありませんが気構えだけはしといてください」


それだけ言い残すと落下するユウに追い付くように飛ぶ。かなり大きな縦穴があいており数秒の落下でしたの空間へ降りてきた。シュラの様子はどこにもない。カビ臭い匂いが辺りには充満しており密室となっている大きな空間へ繋がっていた。


「見えるかミカサ?」


「片方の右目だけですが借りてきました」


「なに!ウオッ!!投げるな…ってウギャー!!」


ミカサが投げてよこした右目は右の頬に当たってそこから食い込んでくる。ギョロギョロと左右を自動的に観察しているようでそれが済むとじょじょに上と進んでくる。それが右目と重なる。


「げぇ…気持ち悪…てか未来なんて見えないぞ?両目が揃はないと発動はしないのか?」


はっきりと映像としてはわからないがミカサ筋肉の動きからこう動くだろうなとか先読みはできるものの近い将来の予想が見えない。


「これでも…おっ。リヴァが見える…視覚を又兵衛と共通しているのか?おー救助してくれているのが見えるぞ?なるほど…又兵衛と視覚共有になって能力が半減しているかわりにこんな使い方もできるのか…そうか」


この能力で物をハッキリと見る。小さな隙間も見逃さない。すると部屋の端には溝が走っておりその先に部屋から出れるのか横穴があいてずっと続いているようだ。おそらくシュラはその先に待ち構えているんだ。


「ミカサ、どこまで未来を見た?」


「穴に落ちるまで…そこから先は未知です…」


なるほどね、楽しみができたじゃないの…蛇が出るが鬼が出るか、つついてみようか。


「ゴーストミカサ…レディーファーストだ」


「なんですか?それは?」


ポンと軽く肩を叩いたつもりだった。そこからチャックが空いたように裂ける。中には黒々とした空間が広がっている。ミカサは気づいていない…なんだこれは?思案するより行動が先だったようだ。敵のほうが…腕がその空間から伸びて襲ってくる。ミカサはまだ気づいていない、違和感がないのか!?初めみた敵の正体。ミカサからミカサがまた現れる。


「ウオオオオオオ!?ミカサ!?」


俺の言葉に反応してミカサが首だけひねりそこで初めて気がついたようだ。自分から自分が出てきていることに。ひどく動揺しているようだった。俺もなにが起こったのかわからなかった。最初に思ったのはミカサが話したシュラが持っているだろう「誰かの遺骸」の能力。ただ聞いてた話と違う。取り込むのがシュラの能力。それにミカサから出てきているのはシュラではなく間違いない…ミカサなのだ。


「なっ!?これは!!」


「ミカサだ!!ミカサが二人いるぞ!?」


ミカサから出てきたミカサはさほど驚きもしない様子で刀を抜いた。それを…俺に向ける。


「何の術ですか、幻覚にしてはリアルな…いえあなたほどともなれば容易いものでしょうか?では殺し合いの続きを…」


襲いかかるミカサとそれを阻止するミカサ。グラムと刀を打ち付けて激しい光を撒き散らす。だが俺はミカサをミカサから引き剥がす…てか言いづらいなもー!!殖えんなよキモいなー!!こっちくんなクソ!!


「いったん距離をとるぞ!!」


その時だった。懐に…二度と落とさないように突っ込んどいたお守りがぽとりとポケットから飛び出たのだがそれが引き合うようにミカサの腰目掛けて当たった。ミカサの腰には俺が持っていたお守りと同じお守りが…それが重なるように接触。ミカサの腰の一部からブロック状に崩れた。


「あり得ない二人が引き合うと…」


「崩れて消える?」


ミカサと声がハモる。足が崩れたミカサだがたいしたダメージにもならなかったようでじきに立ち上がる。ミカサとミカサが重なったら…もし刀とグラムではなくて刀だったなら…


「シュラの能力か!?いや…違う!!」


聖人の左腕の能力は魔力吸収。聖人の両目の能力は未来の予想。攻撃してくるミカサが俺が触れた時に現れた…触れたのは左腕で…揃った事によって…


「揃った事によって新たな能力が発現しているのかこれは?」


俺を知っているが敵対しているミカサ…正反対のミカサが出てくる能力なのか?俺はミカサとミカサで睨み合っている大元のミカサ①に目をやる。もう驚きもせずただ睨んでいる。


「いきなり出てきて何のつもりですか」


「自分ならわかると思いましたが…その男は敵でしょう?なぜ庇いだてするのですか?邪魔はしないでください…でないと貴女から切ります…例え自分だとしても。合ってますよね?」


「ユウは殺させはしません。ここは貴女がいていい場所じゃない…消えなさい」


「それなら問題ありません…」


「貴女を消せばいいのだから」


ミカサ②が①に襲いかかる。ミカサが多数いるこの現場に俺は激しく後悔している。シュラなんてほっといて逃げればよかったと。見てみろよ目の前をミカサとミカサが戦っているぞ。世紀末なのか、世界の終わりだろうこれは。アルマゲドンだぞ。


「待てよ、ミカサ②に触れたらまたミカサが出てくるのか?それとも戻ったりするのか?ミカサが殖えても困るが…戻ってもらはないと困るが…このままだともしミカサとミカサが触れることがあったら二人とも消失する…」


気配を絶ってミカサ②に近づく。ミカサ通し戦って俺の姿なんて見えてないようだ…ミカサ②にゆっくり近づき飛び付く…今だ!!


「見えていないとでも?」


「ユウ!!避けてください!!」


「ぐっ…まだまだー!!嘗めんなよ猫畜生が!!」


ミカサ②の刀が深々と脇腹に突き刺さる。焼けた鉄を押し付けられたようだ。ミカサ②は不敵に笑うと手首を捻る。傷口が広がり血が溢れる。ミカサ①は頭に血が上りなぜか逆上するもミカサ②が俺の傷口を広げ俺のくぐもった声で冷静さを取り戻す。


「なぜ味方するのか知りませんがこれで終わりですよ?私ならこの刀を引き抜きミンチ肉にすることだって余裕です。私ならわかるでしょう?」


「そっくりそのまま返します。抜いた瞬間飛ぶのは貴女の首です…おとなしく死ぬか、哀れに死ぬか…選ぶのはそちらの自由ですが…」


「遅いと思えばなぜ殖えている…」


シュラがやはり溝から顔だけ出してこちらを見ている。俺の頭は狂ってしまったのだろうか。違いがわからなくなってきた…原因はなんだっていい…全員消えてくれ(涙)


「伊丹ユウ貴様か」


「俺のせい!?」


体をもぞもぞさせながら溝から出てくる。どうやってあんな狭い隙でいたんだ?ずっと不意打ち狙っていたのか?それなら御苦労様、こちらはそれどころじゃないってんだよ!ミカサが細胞分裂して殖えやがった!!ミカサって単細胞生物だったのね!ちょっと納得!


「敵を殖やしてくれおって…」


「どうもお久しぶりですシュラお姉様、ご機嫌どうでしょうか?伊丹ユウを始末するのを邪魔するのなら容赦…しませんよ?」


「寝言は寝てから言ったらどうです?」


「黙れ二人とも…どちらも抹殺する!!」


殺気を放ちなからミカサ②に突っ込むもミカサ①がシュラに襲い阻止される。


「邪魔しないでください」


「そちらこそ」


なんかシュラ可哀想…ここはシュラに味方してあげたいけどな…確実ミカサ②は敵だ。ミカサ①と協力してミカサ②を倒すか…


流石のシュラでもミカサ×2の相手はできない傷を増やしていくだけだ。シュラの顔にも苦悶が浮かぶだいぶと苦戦してるようだ。そんな中俺はミカサ②に接近して後頭部を鷲掴みにする。


「今すぐ離すことをおすすめしますよ?手を失いたくないのなら…」


「そんなこと言ってるのも今のうちだぞ?」


ミカサ②をこかして上にのしかかる。後背位の体勢なのは…他意はありません。潔癖です!押さえ込むために仕方なくです!これは!!ミカサの上に股がるなんて…ナウシカアちゃんになんて説明しよう(涙)


「なっ何を!?敵に欲情なんて…さすがは産めよ殖やせよと…節操がないのですか?まったく府抜けたクソ野郎でしたがここまでだとは!!」


「向こうの俺がどうだか知らないが俺はあんたをどうこうするつもりはまったくない…早く帰れ」


左腕が光を放ちミカサ②が消えていく。元の世界に帰ったか。やっとわかったぞ…この能力は違う世界たぶんパラレルワールドから同じ人物を連れてくることだ…ミカサのように敵であることもあるようだけど…これで戻し方わかったし、やってやろうか?

これを使えば俺が好きなような人物を召喚できるということか。


「なるほど遺骸の能力か…」


「間に合わない!!」


「へ?」


シュラが上を脱ぐ…ポロンって感じだ…おーミカサと同じくらい大きい…感動してうちにシュラは俺の頭を自分の胸に押し当てた。なんてサービスだ!!


「だが取り込ませてもらう、伊丹ユウ。さて一人になったところでミカサ。大事な恋人が今から消化されるのをゆっくり見ていけ。残念だ、もったいないが死んでもらう」


体がシュラの体へ沈んでいく~しかし溶かされているわけじゃない。


「ユウ、いつまでそうしてるつもりですか?さっさと出てきてください」


「やだよ、久しぶりの女体だ。堪能したいんだい!

絶対離れないぞ!!」


「なぜだ!なぜ消化されない!!」


されはね、ベルセルク化の肉体融合能力を使っているからだよ♪お前の能力で溶け合ってるわけじゃないやい。わかったらもう少しだけ~


「離れなさい」


ミカサが俺を掴みひっぺがしにかかる。俺はシュラのおっぱいから離れたくないのでおっぱいを掴んで対抗する。大胆エルフちゃんが触らせてくれないのならシュラを揉むんじゃい!!邪魔するなー!!


「どっどこを掴んで…んあっ♪お前!!そこは敏感なとこなんだ…ひっ!!発情期なんたぞ!?おい!やめろ!」


「嫌がるほうが燃えるんじゃ~」


「(イラッ…)やめなさい。シュラお姉様じゃなく私にしたらどうなんです?」


ちらっ…ミカサを頭から爪先まで観察…前を見る。シュラのおっぱいが目の前に…顔を埋める。モニュ


「子どもじゃないんですからやめなさい」


「嫌じゃー!!今日からシュラの赤ちゃんになるんだもん…ミカサはやだよー!見たくないよー!!」


幼児退行に走る。ストレスが過度に溜まりミカサの顔のシュラでも大胆エルフちゃんの代わりにセクハラに入る。


「クソ!!離れろ!!伊丹ユウ!!」


「ママー!!ママー!!」


「いい加減にしなさい、殖えますよ?」


「ひいっ!!」


こんの肉食系単細胞生物め!!発情期ママとの戯れを邪魔するとはいい度胸じゃ!!そのはなつまんで泣かしてやるぞ!!


「いい加減にするのは貴様らだ!!ふざけおって!!一人残らず跡形も残らず溶かしてやるからな!!」


シュラを本気で怒らせた…これはあれだ。終わりだな。ミカサは使い物にならないし、魔力戻らないけど俺が剣術で…どうにかなるか?あーベルセルク化つかわなけりゃよかった~!向かってくるシュラ、話し合いなんて通用しないだろう。悪のりし過ぎたな。おっぱいの魔力は恐ろしいものよ…


「もう一度私を出すのはどうでしょう?」


「リスクが高い、また敵対してるミカサが出ない保証なんてない…仲間になってくれそうで俺達より強いやつなんて…いるのか?」


「いないでしょうこの世界に」


「死ねー!」


刀を振り上げるシュラ、この世界ね…ミカサの最後の言葉にひっかかった。逆にこの世界以外ならいるわけだろ。確率としては0.000000000000000…もうかぎりなく0に近いがいるじゃないか俺達より強そうなやつが。けど出てくるかな…


出てこないほうが嬉しい…けどしょうがない…ミカサゴーストを抱き寄せるとミカサの背中をタッチする。ミカサの背中から俺の背中まで異界の門が開き中から現れる。


「俺達がもし(付き合って)それから(子ども)ができる確率なんて果てしなく0だろ?」


ミカサの背中から黒いショートカットの女の子が出てくる。顔はユウナに近い優しい顔つき、着ているのは水色の着物。刀を1振り腰に下げている。気が滅入るよな…ミカサと俺の…


「子どもに全て託すか…なんたって俺達の子だ。なんとかしてくれんだろ?全力で援護だ…」


「えっ?パパ?げげっ!ママまでいる!」


「子ども…なんていい響き」


「パラレルワールドならではだ…」


してはいけない、いやいたくはなかった大技をしてしまっている気がする。二人ぶん触れば二人の血族が現れる。現れたな!確認できた…よし帰れ(涙)



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