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異世界駐留記(不幸で奇妙な物語)  作者: ふじひろ
いざ!勇者を訪ねて~
82/135

切っ先の方向

ミルティーにこんな場所で出くわすとわ…一応陸続きの島だけどさーうん…セレーネ王国から出てないもんな、いても不思議じゃないか。


「ほーう…随分とまぁ…痛いけな少女と、ダークエルフを連れてるなんてね…」


「はっはは…」


なんも言えねー(涙)誰か!奴を押さえつけろ!!


「急に姿眩まして何してんだコラ!!」


激昂!それも当然か、しかし抜き身の剣をぶん投げるのはいかがなものか…俺の横顔を通りすぎ後ろの木に刺さる。


「ちょっ!?危ないな!この抱っこしてるのが見えないのか!?」


商人たちは痴話喧嘩にあきれ顔で持ち場に戻っていくが肩で息をし、顔を真っ赤にして唸るこのミルティーをどうしてくれようか。そのせいで大胆エルフちゃんとリヴァから殺意を感じるようになる…いけませんよ、殺生は!!


「落ち着いて落ち着いて…な?立ち話もなんだ、仕事中だろ?俺達腕もたつし、乗せてっちゃーくれないかな?ミルティー?話つけてくれよ、な?」


そこで少しは冷静になってくれたのか頭を痛そうに抱え話をつけにいってくれた。ラッキー♪

この女、これで終わらなかった…


「えーん(;つД`)あんまりだー」


最後尾…オッサン商人集団の中に放り込まれ汗にまみれた筋肉に押し合いへし合いしてシャッフルされている。女性陣は比較的優遇され快適に過ごしている…でもここは我慢しよう~だっていきなり入ってきた新参者、ここにいるむさ苦しい…オッサンの群れに入れてもらっているのだ。言えば最大の被害者は彼等、狭いスペースをさらに俺に譲ってくれたのだ。ここは感謝すべきだ。


「どうよ女好き!?そこで少しはおとなしくなるでしょ!?膝まずいて謝ったらこっちのスペースに入れてあげなくもないわよ~オホホホホ♪」


見ろよあの勝ち誇った顔!!だがその言葉にオッサンたちの顔が変わる…そうだな、ダークエルフもいるしな…裏切らないよ、俺はここにいる。側にいてあげるよ。生後数時間の俺が。


「入れてあげて!!」


「お子ちゃま、よく聞きなさい。あの女ったらしのクソ野郎はね性奴隷として大量の獣人をはべらして楽しむゲスなのよ。騙されてるの!!」


「変なこと吹き込むなー!それとお前より年上だぞー!」


そう、たぶんこの中最年長は彼女、幼く見えるがそれはどろどろスライムが関連してると思われる。成長が極めて遅いのだ。


「ふん!一生その男の中で揺られてなさい!!」


腹立つわーあの女!!憎ったらしいたら他にない!!しかもこのオッサンたちに失礼じゃないか!逆に考えるんだ…ここはオッサン天国だと…(危ない思想)


「ふふふふ(腐)知らなかったの?最近は男でも大丈夫なんだ~美味しそうな体じゃないか~まさにここは天国じゃー!!」


オッサンたちが潮が退くようにすっと俺の半径1メートルから消えた。暑くなくなってこれはこれでありかもしれない。


「えーと…(汗)何言って…」


「ユウさん?それは…はっ!まさか!」


「まさかとは?」


どよめく女性陣、困惑するミルティーに悲劇を思い出す大胆エルフちゃん、意味がわからないので興味津々でこちらを覗くリヴァ。ふふふふ(腐)最近女だったこともありましたから…


「志願者はいるかー!!」


「ひー!!」


一番後ろで騒動がありました。ホモがオッサンの群れに冗談で襲いかかり全員で縛り上げられそのまま貨物の1つとして複雑だが…扱われた。冗談ですがなんでマジになるんだオッサンども。ダークエルフつれてる時点でわかるだろ?その…そんな関係じゃないけど見えなくもない…ひどい扱いだ。


夜営時でも皆から距離を置かれリヴァと二人きりになる。大胆エルフちゃんは機嫌とりで商人連中にお酌だ、リヴァは子どもに見えるから難を逃れた。大胆エルフちゃんはリヴァがおかしな行動を見せないよう時おりこちらを監視している。


「フゥー…フゥー…はい、あーん♪」


「あーん…冷て~折角温かいのに冷ましすぎ!そよりもな~襲わないっての!このロープをほどけー!!

一人で食える!!」


「駄目だって。言ってた。それじゃあ…ん」


口に含み…おい、やめろ。来るな!!来るなー!口移しはいけないんだ!ひー!?


「はひふふふーふはこうふる!!(愛する夫婦はこうする)」


「違うだろ!!」


ガーン…


いや、落ち込むなよ。ほら!茶化されて夫婦喧嘩かとか、お熱いね~とか言われてる!それが嫌なんだよ!そんな風に言われるのが!なんだ?その泣きそうな目は…うっ…やめて!良心が痛い(涙)


「違うだろ…俺達はまだその…うーん…あれだ!カップルなんだ!リヴァイアサン(母親)も言ってたぞ!?カップルはまだしちゃいけないって!」


「ふうふふ?(そうなの)」


「そう、だからキスは厳禁」


ゴックン…


「ぷはぁー…それはできない。お互いの愛を確認するためにも必要、毎分するものだけど我慢してたのに~ダークエルフと女殺す!?」


脅しとはこう使うものだと教えられた気がした。俺から血の気が退いていく。その時酔っぱらいミルティーがやってきた。上機嫌…仕事があるのにまったくこいつは…俺の冗談のせいでやむ無く酒を与えたのはわかるが仕事中でしょうが!


「お子ちゃまはもう寝る時間でちゅよ~きゃははははは♪」


珍しく酔ってる…なにか良いことありましたか?


「次この私をお子ちゃま扱いしたらこの世とおさらばさせる!!」


ほ、本気だ!!こいつ…殺る気だ!だがそんなことなんて露知らずバカ笑いするミルティー…おい、寿命縮むような真似すんなよ!


「ごめんね~はぁー♪ちょっとユウと二人きりにさせてくれる?」


酒臭い息をリヴァに吹きかける。我慢なんて覚えてこなかったのだろう…今にも化けそう!!


「リヴァ、昔話に花を咲かせたい気分なんだ。少しの間だけでいい。二人きりにしてくれないか?」


怪訝そうな顔して


「1分!」


「それは短すぎないか?もう少しちょうだいよ」


リヴァはまたいつか生魚2匹ポッキーゲームをする約束で同意してくれた。でもね、せめて焼いてくれそして出来れば…調理済みの塩焼きなんかを…こう…尻尾から…


「ふー…二人っきり」


「やっぱりか、酔ってなかったな。演技か?」


ミルティーの顔を見る。しかしミルティーは夜空ばかり見てこっちの方を見向きもしない。えっ?涙?


「おいおい!泣いてるのか?」


「指輪…外してたの?」


ミルティーの左手、薬指。まだ通信用の指輪をはめていた。俺の左腕は…当然ないわけで。


「外してた…か。よし、ミルティーにだけ俺の秘密見せてやる」


「話をはぐらかす…」


ミルティーの言葉が詰まる。俺が左腕を外したからだ。商人たちは大胆エルフちゃんがいるのでその喧騒でこちらに関心がなかった。それにより見られずにすんだのだ。ミルティーも悲鳴なんてあげずただ口元を必死に押さえた。


「見たろ?俺の左腕が…まぁ無いんだが無くしたときに指輪も無くしちまった」


「うっえ、ぐす…左腕は?」


「ん?大切な仲間を守るのに置いてきた。詳しく言うと魔法で跡形もなく吹き飛んだ。ブチュッ!とね皆には秘密な?」


人差し指を口元に置いて可愛く言ってみた。なんの効果も生まなかったが…コメントちょうだい。この滑った気持ちを返して!!


「何度通信しようとしても繋がらなかったのって…はは…そうだったんだ…ユウが辛い思いをしてるとき私…私…!!」


胸の中に飛び込んでくる。気が利く男なら抱き締めるんだろうな…けど今はできない。リヴァがこっちをずっと睨んでる~!色々聞かれてるね。腕無いのもバレたしね♪てかどうしようー!後でリヴァになんて言おう!!


「おー泣け泣け(棒読み)泣けるのも今のうちだぞ~早い者勝ちだぞ~(棒読み)俺も泣きたいけど飛び込めないぞ~(号泣)」


八つ裂きにされる俺の体が目に浮かぶ…ベルセルク化て今どれくらいもつっけ?もうヤンデル!あの子物凄いヤンデルわ!!


「あのーミルティー?もういいだろ?俺も泣きそうになるから…」


「なら…ぐす…泣けば?」


「わかんねーだろーな。泣きたくても泣いてはいけない24時は!」


泣いたら負けのケツバット♪じゃすまない丸かぶり~♪いや丸飲み~!


「もう今夜は寝ろ!俺達で不寝番しとくから」


「でも…」


「お願いいたします(涙)寝て!?」


「やっぱりユウは…ぐす…優しいね」


いつもならここで優者ですから(キリッ)とかしちゃうんだけど…


「ほらほら!皆寝る準備してる!寝ろ寝ろ!!」


「おやすみ…ユウ」


「おやすみミルティー(涙)良い夢を(号泣)」


ミルティーたちは商人の中に消えた…


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…!!


ガシッ…メリメリメリ…


「はうあっ!」


食い込む、この鋭い爪のようなものは…まさか!?

鎧が貫かれる!!装甲第64番まで侵食!!ユウ、活動限界です!!


「ねぇ、私たちってラブラブカップル?」


「はっ!その通りであります!」


「浮気っていけないんだ~?どうして怖がるの?」


それは殺意がなまなみならぬこの殺意が!!ぴりぴりしたこの殺気に俺の体はもう限界だよ~!


「ほら怒ってるー!」


「怒ってない。腕のこと、黙ってた。夫婦の間で秘密だめ。秘密、私と共有する。他の女はダメー!私とだけじゃないとダメー!」


ぎゅっ…


ミルティーの真似をするかのごとく俺の胸に飛び込むリヴァ。だがしかしここでも抱き締めることは叶わなかった。別に無理にしたいわけじゃないけど。


「大胆エルフちゃん…これはその…サービス」


へとへとになりながらもその目には殺気を孕んだ憎悪に満ち溢れた大胆エルフちゃんがここにはいた。

ずっとオッサンの相手をしていたのだ…南無三…


「へぇーそのサービス。私はオッサンにいいように酒の肴にされてたのに!!これは…お仕置きが必要かと思いますが!!」


「ひぃ!!」


目がマジなんだよ~夜なのに光って見えるんだよ~

恐ろしく見える…まさにダークエルフだ。どす黒い殺意だ。


「セクハラなんて俺で慣れっこでしょう?俺がセクハラしない宣言したから久し振りで嬉しかったんめぎょー!!」


ぐーパン。めり込んだぞ、鼻が沈んだ!お顔の天変地異や~♪なんてアホなこと言っとる場合か!!


「ユウー!この尻軽エルフ!!ユウの持ち物のくせにユウを…ああユウの顔に!なんてこと!」


鼻血が…よい、もう争いはやめましょうよ。命が勿体ない(涙)元を辿れば俺が悪いのだ。罰は受けようじゃないか。


「こっちだってねー!怖かったのに!オッサンの檻に入れられて縛られて…大胆エルフちゃんなにをした?俺になにをした?なにもしなかったでしょ?文句言わなかったでしょ!!それをこの扱いはあんまりじゃないかな!皆に嫌われるわミルティー泣かせるわでこっちが被害者だボケー(涙)」


魂の叫び…大胆エルフちゃんは正気に戻った。目にはさきほどのどす黒い殺意は見られない。自分より不幸な俺を見て落ち着いたようだ。でも俺のダメージハートは?


「また熱くなって周りが見えておりませんでした…申し訳ありません…面目しようがありません…」


しょげるこの姿がたまらん。でもイタズラしたら数倍になって不幸がリターンしてくるから。諦めよ。


「先に休め大胆エルフちゃん…」


「しかし…」


「疲れてるんだ、先に休んだら?後リヴァを寝かしつけてくれ。よいこは寝る時間だ」


まだ歩くのに難があるリヴァを大胆エルフちゃんはゆっくりと連れていってくれた。さてとたき火の周りでいるか…あー寒。


「えいえい、熱っ!?あー熱かったー…火の粉弾けたぞ…くそー」


ボヤきながらもつつきまわす…つついてつついて持ってる小枝を軽く振った。


ビュン!!


最初は空気を切る音、それがやがて小さな鋭い風となり頭上の枝が折れ、たき火の中心目掛けて落下した。そのせいで火の粉が舞い上がり顔面直撃、あっついなーもーイラつく!!


「いつから気づいた」


背後の何もない空間から声が聞こえてくる。俺は小枝を振り上げ繰り返す。


「いつから?愚問だな。移動途中で一人増えたのに気づかないバカはいねーよ。俺が最後尾で入れ替わる機会がなかったからなーわざとけしかけて良かったよ。後ろの商人?あんな体つきの商人はなかなかいないよー?そうとう訓練を受けてる。他国のスパイか…魔界じゃないから…雇われた盗賊ギルドの隊員ってとこか。なんのようだ?」


「追い付けてよかったよ…2手に別れて動いてくれて…しかも寄り道してくれたお陰で楽に追い付くことができた」


一人偵察してたやつか、俺が騒動を起こしたときに紛れ込んだのに誰一人気づかねーんだ。おかしいよな?おかしいよ。


「スパイなんてもっと勤勉な野郎がやることさ」


「目的はなんだ」


「父の仇だ」


たき火をいじくる。一歩で間合いを詰められ首にナイフをあて切り裂く。鮮血を出して俺はその場に転がった。後ろでは口を塞がれ首もとにナイフを突きつけられたミルティーとリヴァ、大胆エルフちゃんの3人。動けないじゃんこんなことされてたら。


「折角聖都から商人のふりして餌を雇ったのに案外楽に片付いたな。盗賊殺してはいサヨナラなんて軽く考えすぎてないか?村を救った英雄気取りの冒険者さん♪ちっ…ここまできてあっさり終わるなんてな…親父もこれでゆっくり寝られんだろ」


頭をぽりぽりとかいた。父の仇は無様に転がりお仲間はそれを眺めて恐怖に震える…最高じゃないか…でも機嫌が悪いのは震えてるのは部下のほうだってこと。


「ミルティーがなんで彷徨いてるかこれではっきりしたなー。できすぎた感動劇じゃなかったってわけだな。仕組まれた罠ってか?」


盗賊は振り向く…懐からナイフが飛び出す前に後ろに回り込まれた。魔法でも使われたように…


「ミルティーを知ってる…ああ、ナウシカアちゃんの村襲った一味か、敵討ちとはねー」


「うう…」


「いかんなー女の子だとどうも加減しちゃう…甘いもんだな俺も」


敵の動きを読む、格下相手は冷静になれるからポンポンアイディアが浮かぶ、敵をぶちのめすな。


「おい、いつまでも触ってんなよ…離せや!!」


殺気、キリングオーラ。いざ自分の番になると恐怖するもんだよなー、自分は死なないとでも思ったかよ。全員心臓麻痺を起こし呻き声あげす倒れた。その後ろに控えてた盗賊もとい暗殺者は一人残らず苦しまずに行けたとさ。


「剣できるとなると狂わないとできないんだよなーでもそうすると魂汚染…もう冥府の魔魂もないんだけどね。でもやっぱり人間は気分が悪い」


屍の山、全ては俺を殺すため。一人殺すのにこのざまじゃーねー?採算合わんでしょ。


「ユウ!後ろ!」


「お?」


後ろから、卑怯とは言わない。貫かれた、伏兵…忍者刀?ふざけやがって…


「接近戦で確実に…遠くから殺気を放たれる前に近づき仕留める…まで想像してましたが咄嗟に身をよじり急所を逸らすとは…でも申し訳ありません刃に毒が塗ってあります。おわりです」


ゆっくりと忍者刀を引き抜く俺はゆっくり振り替えるとそこにはくの一…くの一?倒れてるのも女盗賊…おいおい盗賊はどうでもいいがくの一だって!?いるの?この世界にくの一いるの!忍者が!


「これは想定外、長期戦は意味なしで…おいとましますか」


ボン!


何かを投げて地面に激突、白煙を撒き散らし気がつけば女盗賊とくの一は消え去った。


「だめ、遠くに逃げた。追えない、どうする?」


少し考えた後出した結論、女盗賊は別としてあのくの一はただ者じゃない。下手すれば死人が出るかもだ。


「寝ようぜ~ふぁ~夜襲なんて仕掛けやがって…でも今夜はもう安心して寝れるな♪ポジティブにいこうやポジティブに!」


「能天気も度が過ぎれば恐ろしい…」


「さすが私の未来の夫」


「変わってないといったら変わってないなー」


ノームで死体を埋めて考える。ミルティーはプンプンお怒りだ。


「到着後に代金支払いだったから~も~!!」


「豪胆ですね、さっきまで死ぬ思いだったのに」


「だってユウが助けてくれるって信じてたもん」


「なるほど…それもそうですね♪」


「おいユウ!褒めてんたぞ♪ん?なにぶつぶつ言ってるの?敵のこと?心配いらないってユウのほうが強いから」


「いや、敵討ちだってよ…あー重いもん背負っちまったなー俺も」


後悔はしてないが思うとこはある。

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