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異世界駐留記(不幸で奇妙な物語)  作者: ふじひろ
いざ!勇者を訪ねて~
71/135

めちゃくちゃモンスター空中へ

「そこまでだ!」


入り口からおびただしい数の騎士達が登場…確かにこれだけ騒げば出動するだろうな。そんなことよりもさ、俺達は牢屋行きですか(涙)


「これは不可抗力だぞ」


「黙れ魔物」


「ぺローだ、名乗らせてもらうよ」


「魔物ごときが図々しい…次に口を開けばその命、無いものと思え」


歳は若い…俺と同じか少し上、魔力は押さえているのか余り感じ取れない…でも実力者ってのはわかる恐らくニーナより強い…


「俺の仲間をこれ以上悪く言わないで貰えるか」


「仲間だと?伊丹ユウ、お前の噂は耳にしている。もう少しましな仲間を探したらどうだ?」


膠着する二人、さっきの倍ほどの騎士の数、ミカサはぐーすか寝てるし先頭の奴、かなり別格だ。


「おせっかいなら止めてくれ、縛られてるようで気が悪い」


「王国最強を破った男におせっかいなんて…そうは受け取らないでください」


にらみ合う両者、その時穴からニーナが帰還した。


「まだにゃ…強くないと旦那さんに置いていかれるのにゃ…負けられないのにゃ…例えそれが王国最強でもにゃ!」


まだやる気か?この状況からニーナの増援でないような気がする…


「騒ぎを聞き付けて駆けつければ…ニーナ、何をしている。これは度が過ぎるぞ…」


「ひっ!聖騎士様がなんで!」


聖騎士ね~どうもこの高圧的な態度が気に入らん…

ここで俺が勇者と明かしたらどうなるのでしょう♪

予想では多分口調も変わらないと思う…


「規律に背いて…覚悟は出来ているな?」


剣を抜けば全身から魔力が溢れる。囲むように全身から出た魔力は広がり覆い被さる。空気と同化しているようだ。薄く広げているって感じかな。


「こっこれは極秘任務なのにゃ!」


「問答無用、腕の1本置いていけ…それが団長の責任だ…所詮騎士が獣人に務まるものか」


「ひにゃん!!」


速い!!が、俺の方は瞬間移動…点と点を繋いでんだぜ

そこが違いだ!


ガギンッ!


「なぜ止める…こちらの手違いだ。こちらで処理する。邪魔すればそれは…」


「ごちゃごちゃやかましい。後から出てきたクセに意気がるなよ」


「口が悪いな…この聖騎士の剣、止めた罪はどうしてくれよう?」


「パッと出のクセに調子乗んな。剣を退け、それで

帰れ。ニーナは…減罰くらいにしてくんねーかな」


「承諾する義務はない、聖騎士に意見するな」


激しい鍔ぜり合い、一歩も退かない。ここで負ければちょーカッコ悪いよね。てかなんて力だよこいつこれが聖騎士ってか。


「そうか…なら見せてやる…」


聖騎士が飛び上がる…ちっ…バレてやがったか。

広げた影に気づいて空中へ、後ろで静観していた奴等は捕らえた。


「同じ力か…お前も訓練を受けていたのか?」


「これでも魔法使いなんだよてか浮いてない?早く降りてこいよ」


浮いてる~最初の魔力がまだその辺漂ってるのか?

それにしてもどんな能力なんだこれは?魔法ではないし…


「呪文を唱えてなかったぞ」


「演唱破棄だ。ながったらしい呪文を唱える魔法使いと一緒にするなよ」


「ふん、では試してみようか」


「そこまでだ」


いつの間にか動けない騎士達の前に一際目立つ豪勢な鎧の騎士が現れた…魔力も異質…なんだこいつ。

豊かな髭と山のような盛り上った体。歴戦の戦士のような死線を潜り抜けてきた男だ。俺とは経験値がまるで違う。


「聖騎士長自ら…」


「ニーナはそこにいる伊丹ユウを城に招くよう王女殿下から命を受けていたのだ…失敗したようだが」


「なら失敗した責任をとるべきです。王女殿下の命なら尚更!!」


「やめないか」


深みがある…声。殺気を孕んだ声でもない。けど威圧される…声だけで周りを黙らせる。風格あるこれが聖騎士長ってやつなのか。


「伊丹ユウ、王国の冒険者なら王女殿下の命をなぜ受けぬ、断るほど大事な用があるのか」


この無いと言ってもあると言っても切られそうなこの質問、詰んだな。


「察してください。あるってことです」


ミカサが復活して俺達の前に出る。やっと起きたか遅くないか?


「これはこれはミカサ殿、それはどういった用かお聞きしてもよろしでしょうか?」


うやうやしい態度になった。後始末はミカサに任せてもう行ってもよろしいかな?待てないんだよ!!俺はよ!!どいつもこいつも邪魔しやがって!!もうほっといてくれよ!!


「勇者の捜索をここにいる我等がかってでたと言うことですよ。もうわかっているでしょう?戦況が危ういことは。敵は最前線の戦闘街を越えて攻めてくる手段を持っている。前は小規模の偵察隊ほどでしょう。敵はそれほどの規模なんです。全軍で攻めて来れば王国の冒険者と騎士がいかに優秀でも敗北は

決まってます」


「王国の騎士は負けん」


「黙れクラウザー、敵は侮れん」


(おいぺロー)


(ん?)


(今の内に逃げるぞ)


(よし、ついてこい)


こそこそ…


「それで?勇者の捜索があるので王女殿下の謁見は断ると」


「事の重大性から見ればその方が重要でしょう。王国は勇者の捜索に騎士団も派遣してないようですしね。各国に書状も書いてませんよね?魔王がとうの昔から戦力拡大しているのに勇者がまだこの世界に来ていないなんてことあるんでしょうか?」


「それについてはお話すべきでしょう。勇者捜索は必要ありません」


「どいうことでしょうか?」


「聖騎士長!」


「信用できるから話すのだ。きっと勇者のメンバーになるであろうこの者達なら…伊丹ユウはどこだ?

それにケットシーも」


「いない…さっきまでそこに…」


「置いていきましたね…」




























「ヒッャハー!!ユニ!飛ばせ!」


「あーあ、ミカサに次に出くわしたら何されるか」


「そんなの大丈夫…さ…」


前方…見慣れた猫耳×2と聖騎士と聖騎士長が。

そして後ろにざっと50名の騎士が道を埋め尽くしてる。近道も向こうが知ってるか…


「ぺロー?元スパイの出番だぜ」


「いや~徒歩ならともかく馬も通れる道となると…横道も全部封鎖されてやがんな」


ま、それくらいの覚悟はしてきたからな…で大人しく捕まることはないけどな。てかミカサよ、いつからそっちの陣営に回ったんだ?よろしい、まとめて始末してくれるわ。


「ユニー!突っ込め!!」


「それは無茶だ!」


「(それ本気?)」


「俺を信じて飛べっ!」


「(もう一蓮托生よ!あんたとは!!)」


「やだ~(涙)死ぬって!!」


俺がユニコーンで減速する様子もなく向かってくるので向こうの皆さん…臨戦態勢になった。よし飛ぶんだ~


「正気ですか」


「ミカサー!!いつでも俺は異常だぜー!!」


こんだけ走ってたら風が出るだろうが。ユニのこのスピードがあれば空も飛べんだよ!!


「シルフ!持ち上げてくれー!!」


ぶつかると覚悟した瞬間。ユニの体は舞い上がったのだ。そうこの巨体が…わりとお願いってしてみるもんだね。シルフ、気まぐれのわりには一番俺のゆうことなんでも聞いてくれてるよな。


「ヒャッホー!!あばよ!騎士の皆さん~♪」


飛んでる~さて聖都から逃げるぞ!!


「ドラグーン(竜騎士)を呼べ、全騎出撃だ。王国の空を飛び回ってるユニコーンを地上に下ろせ。指揮は私がとる…」


「クラウザー」


「はっ」


「先にドラグーンが出撃するまで時間を稼げ」


「わかりました」


「ミカサ殿は…」


「私に命令しますか…」


「いえ、お好きに。ニーナ、お前は負傷兵を連れていけ。そのあと地上部隊と連携して落ちた伊丹ユウを何としても王女殿下の前へ」


「はいにゃー!」


「王国からは出られんぞ」



















「下があわただしいな…何かある」


「そりゃなにか…あ…る」


そういや飛べったっけな…


「伊丹ユウー!!」


「クラウザー!!」


空中で戦いの火蓋が切って落とされた。ユニは風に乗って加速してクラウザーとぶつかる。騎乗している俺とやりあうとは…勝てると思うなよ…


「ウィーンガッシャン!!」


「ぐお!」


なぜだろう、やはりイケメンを見ると…腹が立つ。

顔に当たれ顔に~狙いにいきます。バレないように

ぶっ飛ばしてやる!!


「もういっちょ!」


「調子に乗るんじゃぁない」


「ヒヒーン!!」


「ユニ!」


こいつ!ユニを狙ってきやがった!ぺローも腕の長さからして攻撃出来ない…こうなれば…


「ぺロー!ユニ!下ろすから聖都から脱出しろ!こいつぶっ飛ばして後から行く!」


「おいちょい待て!!」


ユニから飛び降りる。


「ウギャーーーーーー死ぬーーーーーーー!」


ぺローとユニはやがて小さくなり消えた。シルフに頼んどいたから無事着いたでしょう。自信ないけどここはポジティブに!


「下にも騎士団が配置されてる…聖都から逃げ出せると本気で思ってるのか?」


「試してもみないことで予想だけでぎゃーぎゃー喚くな。俺は本気で逃げ出す」


「後悔するなー!!」


凄まじい剣の打ち合い…グラムで力いっぱい切り込んだらどうなるか…そりゃー胴体真っ二つですな。


「色んな方向から(一直線)に来るんだな?案外自由が効かないようだな」


「俺のグラビティ(進むべき道)の前ではお前も無力だ」


俺の予想。あれは飛んでない。重力がかかる向きを常に変化させて移動、浮くなんて芸当が出来るんだ。ついでに有効なのは自分だけ。


「ウイッシュスター(星に願いを)」


「ん?なんだあれ!!」


隕石だとー!!自分の国の首都防衛してるやつが隕石なんて落とすか普通~!


「他の聖騎士、騎士達が動き出したか…」


「ちっ!避けるわけにはいかないな!」


「殺戮の凶刃…」


「ベルセルク!」


真っ二つだー!!と思った瞬間。隕石は勝手に砕け、

破片が肉に食い込む…そのまま下に落ちていった。


「殺すなと命令を請けているだろうが!」


クラウザーが落ちていくユウを追う。

















「ユニ、次こっちー次はこっちー…検問か…」


次第に追い詰められていく。逃げ場を失っていく。

猫の俺がネズミみたいに追い詰められていくとは…

冗談じゃない!


「いたぞ!ここだ!」


ちっ…場所が悪いな…

狭い通路で挟み撃ち…しかし、二人とも諦める素振りは微塵も見せない。


「(私が突破口を作る…後ろは任せるから)」


「!」


「ユウの独り言の理由はこれか…いいぜ任して」


ユニが突進!騎士達を蹴散らしていく。さてこっちもそろそろ本気出すか…後のことは後で考えよう。


「ケットシーめ!八つ裂きにしてやる!」


一斉に剣を抜いて襲いかかってくる。血の気の多い奴等だ。ケットシーの底力見せてやる!!


ヒュイン~!


「な、なんだこれは!?」


ぺローが一気に四人になる。どのぺローもぶれた姿に変化している。


「ゾイド(響振動)、残像だよ。君らから盗んだ技術さ。一定時間だけこうやって分身を作れるのさ。

まぁ目眩ましの類いだよ。まだ誰にも見せてなかったんだが…」


「構わん!やれ!」


四人のぺローはそれぞれ敵と対峙して次々と無力化していく。高速で動くぺローに騎士の剣は当たらない。一人、また一人と倒れていく。


「最後はお前だけだぞ…」


最後に残った団長は焦った顔になる。だがぺローは

どこか「何かあると」勘が働いた。まだ何か隠していると。


「ヒヒーン!ヒヒーンヒヒーン!!」


「むむ?」


空を見上げれば弓を引き絞る騎士の姿が…油断したところをバーンとか。団長一瞬顔をしかめたが


「早く射て!」


放たれる。がぺローはそれを…


「戦場ではな矢で死ぬ確率が一番高い、その対抗策が何もないと思うなよ!!」


ぺローは自慢のレイピアを手首を高速でクルクル回し弾き飛ばす。そしてレイピアの刃先を弓兵に向けた。


「俺の切り札だ」


ポン!という空気の排出音とともにレイピアの刀身を飛び道具のように射出する。飛んできたレイピアに弓兵はぱたりと倒れた。


遠距離から攻撃してくる敵の対抗策だがこの切り札はリスクが高い。なぜなら


「もう武器はないな!このマヌケ!」


刀身が無くなれば攻撃手段が無くなるからだ。だがぺローの必殺技が炸裂する!!


「やれやれだぜ」


爪をつかい壁をガシガシと登る…そして手頃な具合から…落下


「KAT・THE・STRIKE」


ゴーン!!


凄まじい音とともに倒れた。ふっ…終わった。


「こんの…クソ猫が!!」


む、まだ立ち上がるか…ならばスキル第2段!!


「格闘はからしきだと思ってたのか?」


走る大柄な騎士相手に殴る、鎧なんて関係ない。


「ピンポイントショット(蜂の一刺し)」


「な…に…?」


鎧は易々と砕けぺローの猫の手は肉をえぐり、骨を弾き飛ばす。


「急所が直感でわかる能力だ。これはレイピアの刺突に応用できる。鎧がいくら硬くとも必ず脆い部分があるんだ。そこを的確に突く」


「か~ら~のゾイド!!」


四人のぺローが出現する。


「ピンポイントショットフルコース!(蜂のメッタ刺し)」


「ふっ…手こずらせやがって…」


「(結局全滅じゃない!)」


ユニが敵を突き飛ばし戻ってきた。


「ん?なんだあれ!?」


火の粉のようなものが降り注ぐ。あの中心…直感だとユウがいる。直ぐ様ぺローはユニに飛び乗った。


「あそこへ向かってくれ!!」


ユニも目標へ突っ走る。

















「あ~落ちる~」


「伊丹ユウー!!」


「何回も五月蝿い!!」


落下しながら切り合う。どちらも一歩も退かないこの戦い…さっきから飛び回ってランスで突っついてくるワイバーンに乗ったコイツらは何!?


「ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」


「邪魔!!」


左手の手甲でワイバーンを叩き落とす。ワイバーンの鎧はゴツいがそんなの関係ねー!砕けた鎧と鱗は月の光に反射してそれはもう綺麗ね♪


「ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」


「ドゲシャー!!」


ドゴン!!


すんげーデッカイランス片手に突進してくるも俺が片手ではたき落としていく。竜騎士達は潰された蝿のごとく次々と城内の庭へ凄まじい勢いで落下していく。


「これ以上城内を汚すなー!!」


「五月蝿いんだよクラウザー!!テメーもはたき落とすぞ!!てか俺もこのままじゃお前らと仲良く庭に落下じゃボケ!!」


クラウザーがまたもや剣を振り上げ突進してくる…しつけーんだよ!!


「これで最後だ!!」


「終わりにしてやるよ!!」


キンッ!


剣がぶつかり合う音、そしてクラウザーの剣にヒビが入り、広がりやがて砕け散った。その時発生した風圧で俺は上昇した。


「あばよ!また会おうぜギャハハハハハ!!」


すると竜騎士の追撃…バカデカイランスを左手の手甲で受け止める!


「クソッ!」


勢いは殺せずそのまま城の壁が迫る。空中では打つ手なしか…


「ブリンク!」


城の壁…の少し横の塔のテラスに突っ込んだ。


ドッコーン!!


砂煙がもくもく上がる。やべぇ…城内に入っちまったぞ…


「ゴホゴホ…あーやらかしたな…」


「コホンコホ!」


俺とは違う!誰かの咳だ!砂煙の向こう、誰かいるぞ!やがて砂煙が晴れるとそこには…

目があったぞ…


美しいドレスに身を包んだ…少女…俺よりかは年下どけどやけに大人びて…まてよこのプリンセスオーラは…魔王やネフトにもあったやつだ…


「白馬に乗った王子様?」


うーん…半分正解




ぺロー、聖騎士及び騎士が使ってる技についてはまた文章内で

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