ファ~イト!!死闘の俺達
「久しぶり過ぎて忘れちゃったかにゃ?」
あれ?確か俺の知ってるニーナは奴隷でしたよね?
騎士ではなかったはず、なんで?
「旦那さんに貰ったお金で身分を買ったにゃ。それで皆奴隷から解放されておつりで武具をそろえて旦那さん救出に行ったにゃ、それで発見できなかったけど聖都のお偉いさんの目にとまってにゃこうして騎士団の団長に昇格したんだにゃ。他の皆も城にいるにゃ」
身分なんて買えると言う衝撃よりニーナが騎士と言うニュースの方が衝撃的で頭に入らない。俺の知ってるニーナてさもっとこう…
「お前達は人払いにゃ、宿の職員から客まで全員外に追い出すのにゃ!抵抗しても無理矢理つまみ出すのにゃ!」
すると後ろに控えてた騎士達が動きだし次々と連れ出して宿を封鎖した。
「ご苦労にゃ、お前達は下がってるにゃ」
すると入り口から外に消えていった。なんて騒々しい朝だろうね、まったく。
「んで呼んだのはお前かニーナ」
すると人懐っこい笑顔でたんたんと話を進める。待ってましたと言わんばかりに。
「違うにゃ、王女様にゃ」
「王女様!?」
ぺローとミカサが同時に声をあげる。いや、すごい人なのはわかるよ、それくらい。それでなんで俺にようがあるのさ。
「確かに匿名にしとくべきかもな。ところで王女様が俺に何のようだって話だ。てかなんで聖都にいるのがわかった」
「この聖都で噂話が広がるのは意外と早いにゃー、
ユニコーンに乗った大物冒険者ユウ、聖都であの伝説の最強冒険者ミカサ・アオイとデートって話だったにゃ。王女様が知ってたのは流石に驚いたけどにゃー。王女様が個人的な理由で騎士団を出動させること事態が異例にゃ。理由なんて知らないにゃー」
特に興味もない様子で語った。俺はまだひっかかってるけどな。
「デートとはなんですか」
黙って聞いていたミカサが発した第一声がこれ。ただ隣にいただけでこれだからな。聖都の皆様は想像力豊かなんでしょうよ。
「旦那さんはすぐ色んな女の子にちょっかいだすのにゃ、だから別に不思議でもなんでもないにゃ、本当に旦那さんは獣人か好きなんだにゃー!でもあんまり胸とか触っちゃダメにゃ」
色々暴露されて俺の心はズタズタに引き裂かれた。
ぺローからは害虫を見る目で見られミカサからは…
「私はいつでも構わない…それ以上でも歓迎です」
わけわからん返事が返ってくるし…精神的に病んできたよ俺…もう田舎で一人暮らし始めようかな…冒険者は廃業だにゃー♪
「さて、そういうことにゃ♪お城まで一緒に来るんだにゃー♪夜は昔の仲間で飲むんだにゃー!」
ずいずいと近づいてくる。けどここは空気を読まない男伊丹ユウ、言ってやりました。
「ゆっくりしてられねーんだ。また今度だな」
「そうかにゃ?なら飲むのは今度で…」
ニーナから出てるのは魔力…え?魔力だと!?
「今は地べた這いずり回って謝るまで遊んであげるにゃー、皆~隊列組むにゃ!相手は手練れ、遠慮はいらんにゃおもいっきりやってかまはないにゃ」
あの冷めた冷徹な目に昔の面影はなかった。狩りの前の獣の目でもなく冷酷な処刑人をていしていた。
「ユウだけを相手にこの人数では」
「卑怯かにゃ?なんならうちだけでも構わないにゃでもでも皆切りたそうだからにゃ。団長としてはしょうがないにゃー止めれないにゃ」
「そうではなくて」
「足りないのでは?なんなら王が所有する騎士団全員集めてくることですね」
ハードルあげすぎ!そこまで俺がボロボロになるのが楽しいか!?次はどこ剃って欲しい!?
「皆~加減はしなくて良いけど大事なところはやっちゃダメにゃーよ?こんなに良いオス貰わないと損にゃ♪たっぷり夜も遊んであげるにゃ♪」
涎を拭く獣…それに火がついたミカサ…獣人どうし
のにらみ合いが始まった。
「指でもしゃぶってなさい…」
チャキ…
刀を抜き放つと同時にミカサの殺気が辺りを支配した。あ~悪寒が…止まらん!!
「ふふふふふ…特別にうちらが愛し合ってる時に近くに縛って見せてあげるにゃ?これも特別に旦那さんの指先をしゃぶらせてあげるにゃ(笑)」
ミカサが動いた!!もう少し相手の出方を見ようと思ってたのに…言うこと聞かねーなミカサは!!
ギンッ!
鈍い音、鉄がぶつかり音が響いた。ニーナはミカサの斬撃に対応して防御している!俺ですら見切れないスピードをニーナは見えていた。
「このバカ猫はうちが可愛がってるからお前達は旦那さんの相手にゃ、気を抜くと痛い目みるにゃ、一瞬で片付けてあげにゃさい」
「了解!!」
迫る敵…最初の敵がぶつかってきた。騎士達は取り囲むように交互に、一気に攻撃とまるで流れが掴めない。驚くべきはニーナ、ミカサと互角に戦ってやがる。こんな実力者とは思いもしなかった。でも
「俺を忘れるなよ…」
ぺローの突き技、元スパイの実力あって、存在を消し、回り込むのはお手の物…死角から狙うも…
「相手が悪いにゃ、毛玉は即効退場にゃ」
「うわっ!」
予想外の一撃だった。ニーナの尻尾、か細いその尻尾に投げ飛ばされたのだ。器用に絡め捕られ、そのまま壁にぶつかる。すぐさま懐から飛び出した暗剣で壁に固定され身動きが取れない。
「お荷物追加にゃ」
「お荷物にもなりませんね」
ぺローへの追撃を許さないようにミカサはぺローがいる方向を背中にニーナと戦っている。どちらも苦戦しているようでなかなか決定打を出せずにいた。そう言う俺はどうかって?大混戦だよ。
「1対多人数だと逃げるが一番…でも逃げられない状況ならどうするか…頭を狙いに行くだけどそれだとミカサが後々なんて言ってくるか…」
「余裕だな!!伊丹ユウ!!」
飛んでくる斬撃を次々とかわし逃げる。まだグラムは抜いてない。抜いたら最後、そんななまくじゃ防げないだろ?真っ二つになるだろうな。
「ごちゃごちゃと…!!」
「マジック・アタック」
魔力を流す。流された奴はへなへなと倒れこみ、そのままぐーすか眠りについた。スリープの魔力だ。
倒れた奴の後ろからさらに追撃してくる。
「しつこいね、あんたらは」
「トリック・スター(ひねくれ鳥)」
ん?空気が曲がって見えるような?
その場から飛び退いた。間に合ったか!?全身切れ目が入り血が吹き出す。膝をつく、それでもまだ倒れず踏ん張る。けっ…ベルセルク化して回復を…
これだけで終わらず後ろから…
「デスライン(広がる波紋)」
切られた傷が増殖してやがる!!傷が体を埋め尽くすそしてそのまま前のめりで倒れた。
「この人数の騎士相手に勝負とは傲りが過ぎる」
目の前は床で誰が頭上から言いやがったのかわからないが関係ない。調子乗んな腹立つ!!
「魔法じゃないけど魔力を感じる…なんて技だ?教えてくれよ♪俺って意外と知識欲旺盛なんでね…」
ゆっくりと血まみれの体で立ち上がる。ここで転けてちゃ勇者の名折れだ。気絶ばっかしてきた俺はなちょっとやそっとじゃ眠らねーんだぞ…
「まだ足りませんか…」
呆れ顔が瞬時に引き締まる。俺を中心に円状に影がおおい尽くしてるのをやっとわかったらしい。わかったところで手遅れなんだけどな。
「全員分の影を捕まえるのは大変だったぜー?なんせ常に動き回ってるからな!慣れるのにだいぶと時間とっちまったな…」
「一気に全員を倒そうってのがそもそも間違いか…
久しぶりに手応えある戦いだったよ。けどな…」
「痛かったぞゴラー!!」
地面に手を置き範囲を決めて発動!これが魔法だ!
「チェーン・ライトニング!!」
雷魔法の中級編くらい?敵一人に流れたらまたもう一人へ~と次々と連鎖的に電気が流れていく。黒焦げは勘弁してやろう。数秒間流れた電気はその場に俺しか立ってなかった。
「ふうベルセルク化…おーいそっちは?」
「片付きました…」
ニーナの剣は飛ばされミカサがニーナの首筋に刀の刃先を突きつけている場面だった。
「ニーナの成長ぶりには驚いたな、それとも隠してたのか?何にせよ俺はついていかない。大事な約束があるんでね」
ため息つくニーナ、どことなく諦める様子ではないなにか嫌な予感が…
「ユウー!!」
忘れていたぺローが動けないことをそこにはニーナと同じようにウサ耳に剣を突きつけられているぺローの姿が。
「手駒が出そろったと言った覚えはないにゃ♪」
そう言って剣先を指で退ける。いや~油断した♪
「それにしてもすごいにゃー!最強と呼ばれるだけあって、力を8割も盗られてよくそこまでうごけたにゃー♪」
「お前ら騎士団ってそんな技を皆使えんのか?」
「どんな奴もいるにゃーよ?うちの能力は力を奪う能力にゃ、強ければ強いほど効果が大きいにゃ。この能力があるかぎり誰もうちには勝てないにゃ!!」
ぴょこぴょことスキップしながらこっちに来る。あんな重たい鎧着てよくまー動けるな。感心するわ。
「あそこまでミカサが動けたのは計算外だったにゃけどこれでうちらの勝利にゃー!!」
俺の胸に飛び込んでくる。顔を擦り寄せると満足した笑顔でにぱーと笑った。
「旦那さん血生くさーい♪」
「おい、これ以上怒らせんなよ」
俺は出来るだけ不敵に笑う。
「なんにゃって?旦那さーん」
「これ以上怒らせんなよって言ったんだよ…」
「旦那さん面白いにゃー♪」
ケタケタとバカ笑いするニーナ…もう手遅れだ。
「ミカサをな」
ニーナの猫耳がいち早く反応し、振り向くも遅かった。ニーナの体が浮き上がる…おー痛そう。
「ブリンク!!」
瞬間移動した俺はウサ耳ちゃんの目の前に現れる。
「こんな形で会うとはな…もっともふもふしたかったよ…」
ウサ耳ちゃんの剣が降り下ろされるより俺の拳の方が早かった。左手の手甲はウサ耳の鎧を砕き、腹にめり込んだ。
「ぐっ…」
くぐもった声でそのまま動かなくなった。それでそのままぺローを救出。
「いや~世話をかけますな」
「全くですな♪」
そこで笑い合う俺達愛すべきバカ達…ミカサは呆れてものも言えない様子だった。
「これで終わりですか?つまらないですね」
「こんなものじゃないにゃ…」
ヨロヨロと立ち上がる。俺達はさほど驚きもせずただじっと見ていた。
「今は最強はうちなのにゃ!!」
突っ走るニーナ、そこに立ちはだかるミカサ…
「ハートフルショット!(心震わす一撃)」
ニーナが技を繰り出す…ニーナの指先から発射された魔力の弾…殺傷能力は低そうだが…軽々避けたミカサだか…弾道が曲がりミカサの胸に直撃する。
「ミカサ!!」
「にゃはっはっはっ!安心するにゃ!殺しはしないにゃ…」
すぐさまミカサに異変が表れた…
「なんですか…ヒック…これは…」
酔っている!!ミカサが酔っている!!
「状態異常系の魔力だった…確かに」
「泥酔状態のミカサにうちが負けるはずないにゃ!
食らうにゃ!!」
猫パンチが飛び出すも…
メキッ!
「フニャッ…」
メキメキメキメキ…
倒れそうにふらっとしたミカサだがニーナの猫パンチを避けると今度は凄まじい威力の猫パンチを繰り出した。
「酔って力の加減が…ヒック…できません…」
ニーナは吹き飛び、壁にぶつかるも止まらず突き破って消えた…後にはニーナの型が残っていた…
「力を奪っても…ヒック…酔わせても…ヒック…今の私の力の1割にだって届きません…ヒック…」
「ぺロー…」
「おう…」
「これからはミカサを怒らせないようにしよーな…いいな…」
「うん…」
倒れた騎士達の中で正座を崩したような姿勢でミカサはぐーすか眠りだした。




