表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界駐留記(不幸で奇妙な物語)  作者: ふじひろ
思いやり物語
67/135

自動追尾…迷惑なジェット猫耳

「終わったな…」


その場で力なくへたりこんだ。もう一歩も動けないぞ…とここでまだお仕事が残ってるので処理する。

一刻を争う事態だからな。


「よかった…皆息があるな。今直すからな…!」


魔力を変えてドラゴン全員を治療する。これで大丈夫なはずさ、コクテンさん以外は気絶しているのか目が覚めない。


「ソナー!」


辺りに俺の魔力が空気中を進んでいく。やはり他の

エルビス、ビシャーズ、テイム、ベスティの魔力は感じ取れなかった。クロアの言った通り拐われたのかもしれない。ただクロアから場所なんて聞き出せないのはわかってることだ。


俺はすぐさま魔法を発動させる。ソナーで迫る危機

がハッキリとわかった。ゲートを出現させる。ドラゴンが通れるほど大きく作るのは魔力を一気に持っていかれた。


「コクテンさん、二人を連れて竜の国に帰ってすぐにネフトに報せてくれ。もし、ベスティ達が帰ってくることがあっても決して入国はさせないでほしい

今竜の国が謎の敵に狙われてることは決して国民には話さないで」


疑心暗鬼、王への不信感こそ今危惧すべきことだ。

誰が本物で誰が偽者なのか、この時点で解決策なんてないからせめてそうするべきなのだ。


「俺も用事が終わればすぐに竜の国に向かう。それまでどうかお願いします」


コクテンさんは何も言わないただ頷くとグロリアとジュロンを引きずってゲートに入る。竜の国の近くだから心配ないよな。すぐさまゲートを閉じた。


その時唐突に俺の後ろが光った。氷の大地から空に向かって光の柱が伸びる。馬鹿な!?魔法なんて凍ってるクロアが使えるはずが…


「もう時間か…もう少し遊びたかったが…これ以上勇者を泳がすとどう影響してくることになるのか心配だが…まぁいい、魔王と勇者は必ず手に入れる…

あの方の復活に必要な駒を」


転送用の魔方陣が発動したのか、自動的にクロアが何処かに転送されていく。


「魔王じゃないなら誰の命だ、あの方の復活?なんのことだ」


「直にわかる、魔王が生まれ世界は混沌に満ち勇者がやってくる。繰り返す螺旋を我々は見てきた。役者は揃った。あの方が復活する」


クロアは消えた。氷の大地も捕らえるクロアが居なくなると均衡が崩れ霧散して消えた。役者は揃ったってのはわかる。勇者と魔王…それを見てきた?

何者なんだ、復活するってのは誰が?


ここで思案してもしょうがないのはわかってる。今の俺にはやるべきことがあるじゃないか。ほっとけない問題だが勇者捜索の方が今は大事だ。


そこへ奴がやって来る…ソナーより速く走る化け物が…頭には包帯が巻かれた猫耳が。純和風猫耳剣士が突っ走って来るのを…


風より速く、静かで…俺の前に現れた。お小言が始まるのかと思いきやミカサは何も言わず俺を見つめている。怖い…何々!?いったいなんなの!?


「ユウー!!無事なのかー!!」


地平線の奥から聞き慣れた声が聞こえた。アイサさんがやって来る。あの光の柱で位置と距離がだいたいわかったのだろう。戦闘街から随分速く来てくれた。その後ろからユニも足早に駆けてくる。背中にはぺローと大胆エルフちゃんの姿が見えた。


到着すると真っ先にぺローが俺の胸に泣きじゃくりながら飛び込んできた。


「おのな!!俺、ずんげーじんばいじだんだぞー!!」


「おう、ありがとう。だからこうして帰ってきたんじゃねーかよ!もう泣くな!!」


そうそうこれがふつーうの感動の再会シーンだよな

他の三人…なんでただぼーっと突っ立って見てるだけなのさ~?アイサさん?なに顔をしかめて、大胆エルフちゃんも両手で口を押さえて…むむ…


俺は気づいちゃった…そうだ。左手の聖人の遺骸は

無くてそこには何もないと言うことを…そうだったぺローしか知らないんだった。


「ユウ…そ、その腕…ドラゴンの巣から帰ったんだそうだよな…腕だけですんで逆によかったよ」


大胆エルフちゃんはついにはポロポロと泣き出す始末…ぺローとユニはその様子を見て首をかしげた。


「おい、待て」


「すまない!!悪気があったわけじゃねーんだ!?その…

なんて言ったら…」


そしてクルリと反転すると目元を押さえてる。オイオイ待てよ!


「あの~聞いてます?あぁ耳を倒して…」


悲しかったのか耳をペタンと倒してしましま尻尾を

きゅっと股の間に入れて…ミカサは固まってピクリとも動かない。


後ろを見れば荒々しい戦闘の後…ドラゴン達が暴れまわったんだ。大地は抉れ、穴が開き、所々焼け焦げた後があった。ここから左手だけ失って生還したのなら常人なら奇跡と言えるだろう。


てか俺は元々左手が無いのよ…その事実を知るのは

ユニさん、ディロン、ぺローか。話したのは。


「知らなかったよな?俺が元から左手が無いってことをさ!?ほら!あそこに俺の腕が…」


そこにはミイラ化した聖人の遺骸…事態はさらに悪化したのは言うまでもない…













「さっきはなんで固まってたんだよミカサ?ん?」


「固まってません」


「いんやー?あれは固まってたぞ?」


聖人の遺骸をはめていつもの俺に戻るとミカサは再起動に成功した。それまでアイサが顔面軽く猫パンチでもぺローが引っ掻いても俺が軽く胸を触っても

ピクリとも動かなかった。揉んでみるとデカカッタ

でもセントーレの方がデカイ♪


「泣きじゃくる幼児よりましです」


「なんだと!!コラー!!」


先頭を歩く二人がバトル始める中、大胆エルフちゃんとぺローを乗せたユニの手綱を俺は引っ張っりながらそんな様子を眺め、三人でニコニコ笑っていたずっと続くもんだから戦闘街まで笑いが止まらなくて死ぬところだった。












おう…懐かしい…

喧しい小うるさい小娘(意地悪ユニコーン)をここが俺の部屋だよ?と騙して馬小屋に繋ぎ(俺の部屋が馬小屋なわけねーだろバーカ)ユニさんの待ってる我が愛しの酒場にクルクルとスケート選手を彷彿とさせながら入った。


厨房では暗い顔のユニさんが…しかし、俺の顔を見るやいなやカウンターを乗り越えて(通路があるのにだ!あるのに乗り越えてだ!!)俺の元へ走ってくるだよ!?これは期待してもいーんですかー!!

同じように走る…がこの幸せな時間をぶち壊す奴…

そう…奴である。


「きゃーっ(棒読み)滑っちゃった(棒読み)」


………ここがスケートリングじゃないから滑るわけ無いだろ嘗めてんのか!!コラー!!感動の熱々ラブイチャシーンをテメェー!?だがしかし、神は見捨てていなかった…だいたいミカサの目論みは成功したことは無い。


「あ~れ~(涙)」


押されてそのまま床とキスするはずがたまたまドジッ子に成長したのか、ロリサキュバスが俺と同じタイミングで転けてぶつかる…ロリサキュバスは後ろに尻餅で倒れたが俺は後ろのミカサの顔面に頭突きを食らわすとその勢いで前方のユニさんの胸に飛び込んだ!!


ぺちん「痛い!」ロリサキュバス


ひゅーゴン!(そのまま倒れ後頭部を床にぶつけた音…)ミカサ


ボイ~ン♪「はうあ~♪」俺


「ユウくん…」そのまま抱き締めるユニさん


ミカサ、少しは教訓になったかな?人を呪はば穴二つ…つまり、地獄に落ちるのは貴様だ!!

嫌がらせする罰だ!!フハハハハハハハ!!














その後俺の復帰を祝って乾杯するといって準備してくれるらしく皆は一回で準備している。俺は二階の自分の部屋に押し込められた。ちょっとくらい覗いたってバチは当たらないよね?


「てかそうじゃなかった…」


部屋を見渡してポーチの中を漁り始めた。出てくる出てくる…漫画が。その内の一冊を手に取り取り出す。


「そうだったよな。次はこの巻だったな、楽しいだろ、この作者の話ってどれも好きで面白いんだよな

魔王…」


「お前とは仲良くなれそうだった…」


そして丁寧に一番奥へしまいこむ。


準備をして俺は下へ階段を降りていった。


下で俺の顔を見て一斉に拍手喝采が起きたが俺の顔と格好を見て困惑した空気になった。


「ユウくんがお腹空いてると思って沢山作って…作って…」


俺を見て言葉を無くす。旅に出るための大きなマントをすっぽりと被り、悲しそうな表情はできるだけ避けるつもりが顔によく出ていたようだ。


「なぁ、なんだよその格好はよ?」


ディロンが同じギルドの団員なのか沢山の仲間を連れてやって来たようだ。この空気を代弁した言葉だった。


「記憶が戻った」


ざわつく、だけどそれを気にせず淡々と話を進めた

俺の正体は伏せて。


「知ってる奴もいると思うが記憶喪失だったが魔界でな…知り合いに会ったんだ。その人の力を借りて戻った。あぁ!!勘違いすんなよ?皆のことはちゃんと覚えてるし違う誰かになったわけでもない。それでさ、思い出したんだ。自分がやるべきことを…」


「記憶が戻ったって本当か?」


ディロンが恐る恐る訪ねた。俺はそうだと返事をして続きを話した。


「俺のすべきこと、勇者の捜索だ。その手がかりを追って聖都を目指す。でも結局はこのセレーネ王国から出ることになると思う」


ぺローが抗議の声をあげた。行かないでくれ、といってるようにも聞こえた。


「なんでそんなことユウがしないといけないんだ!

言えよ正直に!聖都にいる仲間の元へ帰るって!」


泣きじゃくりながら大声で叫んだ。他の皆はうつ向いているばかりだ。


「前にいた人達だろ!?ユウを亡者の森に置いていった奴等だろ!そんな奴等の為に戻ることなんて無いって!!」


「違うんだぺロー…」


「俺辛かったよ!あいつらを見てユウがおかしくなったとき、どれほど恨んだことか!ユウを裏切ったあいつらがのうのうと暮らしてるのを見て!」


いや、そんなことなかっただろうよ。


「あんな奴等の為に戻ることなんてないよ…いてくれよ…」


「ぺロー」


うつ向き、涙を流しながら拳を固めてキッと俺を睨み付ける。


「俺達といたくないならそう言えよ!!勇者なんてそれらしいこと持ち出さないでさ!!帰りたいって!!」


あー皆勘違いしちゃってるぽいな…どうしよう?

どうする?勇者って明かす?


「ぺロー、魔界に行ってな思ったんだ。このままじゃ人間界が危ないって。誰かが行動を起こさないと

誰かが助けてって言わないと。戦争が始まるんだ、

恐ろしい魔物が攻めてくるんだ。勇者の助けがなければおそらく戦闘街は敵の手に渡ることになるだろう。戦争が始まるその前に勇者を見つけないといけないんだ。わかってくれ。決してお前らのことを守るためだと言うことを信じてくれ。この国のために

俺が行くことを許してほしい」


ドン!


ドアを破壊してユニがノッシノッシと入ってくる。


「(やっと終わった?)」


「どどうやって抜け出した!?」


「(嘗めないでくれる?)」


そしてカチンカチンと歯を鳴らす。恐ろしや~

そしてユニに股がる。あーまた夜に出発かーこれは

寒いぞ~!

そしてぺローがベルトをカチャカチャと締め、帽子を被り直すとユニに飛び乗った。


「おい!ぺロー?」


「また、一人で消える気か?二人で一人だろ?俺みたいなチビが一人増えたところで変わらないって」


「ぺロー…お前…いいのか?」


「何言ってる、今に始まったお前の無茶じゃないから安心しな」


「私もいきます…」


集団から一人現れるが…


「あっ、充分間に合ってますんで。ディロン?ミカサに仕事させるように言っといて。そう、置いていくんでよろしくお願いします」


そしてニヤニヤ笑うぺローを乗せて酒場からユニがてくてく歩いて外に出る。


ガチャン!ギィィ…


壊れたドアの音がしたなーと思い振り向くと送り出してくれる皆…感動してきたわ~(涙)お兄さん涙出てきたわ~(涙)ありがとね!


で前見ると…

仁王立ちミカサが…ヒィィィィィ!!見ないで!!あっちに行ってー!!


「置いていくなんて…はいそうですかって納得すると思います?」


そこでぺローが後ろでこそこそ笑いを我慢しながら教えてくれた。


「あいつな、実はユウの事が…」


「それ以上言いますと毛皮剥ぎますよ?」


脅しかけて殺気を放つミカサ…なんて刺々しい奴なんでしょうねあいつ。勇者説得には絶対いらんよねむしろ来ちゃまずいやつだよね。


「心配すんな。ぺロー、ほいっ!」


「そもそもですね、私を置いていくなんてありえませ…」


固まる…さっきと同じように固まる…ミカサ、魔法だ♪記憶取り戻して更にパワーアップだ♪


「では行って参ります!!」


「ハハハハハハハハハ♪」


ぺローと高笑いしながら固まるミカサの横を通り抜け全速力で戦闘街から脱出する。あー愉快愉快♪

















ユウが出発してから数秒後ミカサ、再起動…


「また…ですよ…また。わかってますよ?私を遠ざける理由なんて女絡みに決まっています!!」


今度は見送った皆が固まった。明らかミカサの回りの空気がおかしいことに…待ってろよとはとてもじゃないが誰も言えない…


「行くなよ?それでもギルドの一員でしょ~?もう

個人プレーはできないね~♪」


ぺローのように意地悪な笑みをみせるアイサ…そんな理屈はミカサには通じない。


「ユウを殺そうとしたふとどきものがいるんですよね確か…ほっとけます?」


「無理ですね、時間は無駄には出来ません!!」


アイサが捨て身で押さえるつもりがミカサは押さえられるより速く消えた…


「ごめんユウ、逃がした♪」


この時凶悪な猫耳が迫ってることを俺はまだ知らない(涙)







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ