帰ってきたユウ様★
私はだあれ?ここはどこ?はい、またバカやってましたね…ふざけてる場合か(ビシッ!)一人ボケツッコミが終わって自分が生きてるのを実感する。
「生きてる…てか誰だよこの包帯巻いたやつ!下手くそか!ぐちゃぐちゃじゃねぇか!」
周りは岩で洞窟のようだ。檻の中に閉じ込められ窮屈だ。ただこの岩の部屋、ノームの力をより強く感じるので地上よりかなり深いことが理解できた。牢獄と言うよりかは簡易なもので檻以外は土とゴロゴロした岩だけだ。
「クロアめ、拾うならもっと気のきいたものにすればいいのにな」
「うん…?」
一つしかない洞窟の入口…真っ暗だがそこから頭をくぐって一人の女が出てくる…あの体中の鱗…ドラゴンなのか?人型に化けてるのか。
「お前が助けてくれたのか?」
「助けてくれたか…」
下を向いてそのまま近づいてくる。おいおい、無言で近づくなよ…喧嘩ととるぞ…
スパッ!
「うわぁぁぁぁぁぁ!?」
み、耳が!?切り込みなんていれやがって!痛い!いつの間に!?てか何で切った!?
「うごっ…」
急に体が浮き上がりそのまま檻にめり込む…痛いんだけどー!!怪我してんのになに!この扱い!酷くない!?先生に言いつけてやるぅ~(涙)まだふざける余裕があるのか?いえ、自暴自棄です。
「口答えには気を付けろよ~?ここに来るドラゴンの誰かの機嫌を損ねてみろ、何時でもな~その首、飛ぶんだぞ?それだけ覚えておけ」
ふっ…
「おお…」
謎の引力に引き寄せられ檻にめり込んでいた体が解放される。そして女は不気味に笑みを残してさっさと出ていった。なるほど、これからこうやっていたぶられて拷問まがいの暴力を受けて殺されるのか。
「さっきのは俺を助けた女じゃなかった。たしか降りてきたなかにいた顔に似ていたな…」
先ずは脱出する作戦でも考えるか…仮に出られたとして、洞窟の構造を熟知していない俺は地上に出られるのか?ノームの存在を頼りにして出ることは出来るがその間、ドラゴンに遭わず出れる補償はない、敵の数は未知数…でも檻の中でぐずぐずしていれば殺される
のは目に見えてわかる。何とかするか、例えば死んだふりして敵を人質に出るとか…
「耳からの出血、自傷行為か?ならやめるんだ」
ギクッ!!ゆっくりと振り向くとどこかで見た顔が…あの五人の中にいたっけ?
「ジュロンか?ジュロンが持つのをかってでたからおかしいと思えば…少し待ってろ。私が忠告してくる」
「出してくれ!てかなんで殺さない?」
「お前は私より強くなる、だから私が鍛える」
…………なんで?
「再試合?」
「そうだ」
「俺と決着?」
「そうだ」
「やめとけよー?敵なんか育ててさ…」
「お前の命は私のものだ、どうしようと勝手だろ」
どいつもこいつも自分勝手なやからばっかだな…
「そこでいろよ…」
そして出ていった。それからだ…俺への暴行が増したのは…捕虜の立場からして何されようがしょうがないのだが…
「オラオラオラオラ!!誰も助けは来ないぞ?愛しのクロアはジュロンと女王の元に戻ったからな…とうぶんは俺達と遊ぼうぜ~♪大丈夫!殺さないからよ~心配しないで殴られてな!!」
初日に耳切りやがった奴がおそらくジュロンなんだ。
で、助けてくれそうな雰囲気だったのがクロアなんだきっと。その二人がこの洞窟にいない。クロアが忠告したんだろうな、それでクロアがいなくなって火がついたんだな…
「次私だから早く代われなのー」
「早ぇーよ!まだ数秒しかたってないぞ!?」
「暇なの、暇なのは嫌いなの、殴られてるのを見るのはつまらないの」
「待ってなって♪もう少し楽しんだら代わってやるから」
毎日来る二人、ただの見張りの任務のはずがストレス解消の玩具にされている。毎日毎日来るたびに殴られ日に日に傷を増やし、やつれていく。死期が近づいてくるのがわかるんだ。このままだと殺される。
「こんなのエルビスとクロアに見つかったらなに言われるかわかんないからなー、楽しむならクロアがいないこの時だよねー♪」
「エルビスには見張りと言えばころっとすぐ信じるから楽なの」
「それにしてもさ~ベスティが来ないのは以外だよね好きそうなのに」
「それはこの男の存在を誰も教えてないからなの」
「そっか、こいつのお陰で怪我したからな、今度誘ってみるか」
こんなように毎日てか日付が変わってるのもわからんがずっとこの通りいたぶられてる。でもその中で幸せもある。
「こっち見ないで~!!」
「ぐはぁっ!」
「あぁ…またやっちゃった…」
年上のおっとり系お姉さんエルビスかと思えば極度の恥ずかしがりやで何時も出会い頭気絶させてくる。でも暴行の怪我を何時でも治しに来てくれているらしく目が覚めればいつも全快している。時々地面に文字を掘ってコメントも残してくれる。
「暇だからって檻の中で暴れちゃ駄目だよ?」
いや別に暴れてる訳じゃないのにね、あの二人の会話から察するにそう言って騙してるのだろう。七竜神
内、五人はここにいるらしいのだが、顔を見るのはいつも暴行する褐色肌のビシャーズとちび助のくせに暴力的なテイム、後は俺がシバいたベスティもここにいるらしい。
「あと一人、謎が多いコクテンって奴がいるらしいが
そいつは一度も姿を表さない」
ビシャーズとテイムが喋ってたから話題の中でしか聞いたことがないがこいつも七竜神の一人らしい。その他にかなり強いのだろう、時々友達なのかドラゴンが
数回出入りするのをシルフが音を運んできたこともあった。いつもは生意気なビシャーズとテイムが敬語を使っていたから確かだろう。その他にも女の子ドラゴンが外から集まり女子会してたこともあったな…全部俺に筒抜けだ。一回そのネタで脅してみるか。
「クロアもジュロンもなかなか帰ってこんな~このままだと殺されるよな…」
この檻、サラマンダーで溶かそうとした事があった。
だが攻撃が反射し、逆に大怪我をした。その後様子を見に来たビシャーズにしこたま殴られたよ。
その時シルフが風を運んできた。無風帯の檻の周りにそよ風が通る。それは懐かしい外の空気の匂いがしていた。少し冷たかったから恐らく外は夜なんだと言うのがわかった。そう言う小さな発見が俺を正常に保っている秘訣だ。
「久しぶりね」
一瞬身構えたが洞窟の入口に女が一人寂しく立っているそれはよく知る顔だ。
「よう、笑いに来たか?尻尾も角も無くなっちまって
物足りん格好だな」
「真っ直ぐ歩くのは今でも苦労してる。角もなくなって空気の流れとかブレスの制御が難しくなったわ」
さて神にでも祈るか?俺は殺される方に賭けるね。
「ここから出してあげる」
「本当か!?」
何を聞いても嘘に聞こえる。だってそれは嘘のような話だから。
「義手を出してみて」
そうか、こいつには見せてあったな。俺の最終兵器を
他の奴にチクってなきゃいいけど。
「ほら、これのことだろ?」
そして檻の外からまじまじと見つめ、時々触って何かを確かめるようにくまなく触れる。
「何かあるのか?」
「あなた…伊丹ユウでしょ?」
「!!」
なんで名前を知ってる!?名乗ったっけ?ユウとは呼ばれてもフルネームで誰か言ったか!?
「俺を知ってる?」
「正確には探しているお方がいてそこから情報、最初はこの義手だけと聞いてたけど…」
「だ、誰なんだ!なんで俺を知ってる!?」
俺を知ってる人がいる!聖都でもいたがまさか探してる人が他にもいるのか?俺の記憶の手がかりを知ってる人が!!
「竜の国の女王、私達ドラゴンの王。その方から必ず無傷で連行しろと全ドラゴンに伝令が来てた。特徴はその特別製の義手。私もその任務で人間界の近くをうろついてた」
「ドラゴンが俺を探してるのか?」
それは期待を持てないな…連行されたら殺されそうな気配がするのですが…
「おいおい、それは俺は殺されるんじゃないのか?俺はドラゴンの知り合いなんていないぞ」
「殺す気はないはず。だって無傷だなんて回りくどいことする?」
それもそうだ。でも俺に会いたい理由は?なんで義手のことを知ってる?過去に会ったことがあるのか?
「だったら会わせてくれよ!」
「クロアとジュロンが帰るまで私は手を出せない…」
ならせめてさ、ビシャーズとテイムから俺を守ってよそれだけで違反してんじゃん…
「暴行の件もきつく言っておくから、またされたらその時は私に言って。エルビスもコクテンも力になってくれるから」
「わかったクロアとジュロンが帰るまでなんだな…帰るまで…」
こうして明日に希望が持てた…でも現実は甘くはない
ビシャーズとテイムの暴行は更に増し、あいつらの計画なのか、エルビスもベスティもここに来なくなった
だからますますヒートアップしていったのだ。
「ベスティに泣きついたのかコイツコイツコイツ!」
「やり過ぎなの…クロアとジュロンに怒られるなの。
もしかしたら義手は無いけどベスティが言った通りなら大変なの」
「ベスティの野郎コイツに潰されてからおかしくなったんだよ!見ただろ!?今はエルビスに任せてるから大丈夫だと思うが…」
その時ビクン!!とビシャーズの体が大きく震えた。それは不自然にテイムに怒鳴る。
「テイム!お前は外で見張ってろ!誰も入れんなよ!わかったか?」
するとさっきまでの笑顔のまま身に付けていた服を次々に脱ぎ出す。
「ビシャーズ?何をする気になの?」
「ナニって、ずっと女に囲まれた生活だったからな貯まってたんだよ!!久し振りの発情期か…相手が相手だけどこのさい男ならなんでもいい…」
今日は一段と殴られ、動けないでいた…今日は手加減しないなとは思ってた。まさか、ドラゴンにも発情期があったとは…このままだと…そんなぁ
「今人間の姿に変身してる。なのに性交なんてしたらこどもがでたらどうするきなの!?体つきも人間なのに妊娠するなの!」
…おっとそいつは勘弁…今日は派手に殴りやがって
義手で身を守れないじゃないか…
「妊娠したらしたで、後悔なんてないよ…私より弱いけどベスティには勝ったほどの実力があんだ、心配ないよ…妊娠したら大歓迎さ」
「発情期で思考が乱れてるだけなの!正気に戻って!」
「うるさい!」
いきなりテイムは投げ飛ばされ岩壁にぶつかり力なさげにぐったりと倒れる。
「エルビスもベスティも邪魔しには来ないぞ!!」
服を全部脱いで今度は俺のベルトに手をかける。俺の体はピクリとも動かない。
「じゃあ頂こうかな~♪」
ヤられる!!そう覚悟した時だった。
ビシッ!
「グェ!!」
華麗に後ろから後頭部への打撃、見事ビシャーズを気絶させた。始めてみる顔だがこの人が噂の…
「コクテンさん?」
ボロボロになって体も起き上がれてない状況でどうにか返事だけはすることができた。
「…」
「コクテンさんなんでしょ?」
「(コクン)」
うなずいてる…たぶんそうなんだろう。そのコクテンさんは軽々とビシャーズとテイムを担ぐとそそくさと出ていった。
「痛ててて…出来ればエルビスさんも呼んで欲しいけど…まぁなんだ助かった…」
かくして純潔は守られた…ふぅ無駄に疲れた…
ドゴォーン!!
「今度はなに!?」
入口がなかば崩れている…そのなかに人影が…
「まだ生きてるな?」
ジュロンだ。と言うことはクロアも戻ってきたと言うことか!そしていきなり手枷、首輪をつけられ蹴られながら地上に連れ出される。
「痛いんだが?怪我も治ってねーし…」
「それくらいでねをあげるな!」
クロアに怒鳴られる。なんで?そこからエルビス、コクテンさんを除く全てのドラゴンに蹴られ殴られながら連行される。どこへ?
「グロリア様に貴様の話をしてな…どれ程の実力か見てみたいと申されてな、なに、城に着いたらエルビスが治してくれる。それまでだ…さっさと歩かんか!!」
後ろの方では申し訳なさそうにベスティが見ている。
見ているなら助けてよ…これで引きずられながら城までボロボロになって連れていかれる。正気に戻ったビシャーズからはなかばやけくそのようにボコボコにされた。クロアは黙ってそれを見ていただけだった。
「最近ね、ユウ様がいなくなってから男が言い寄ってくるようになったの。他種族からもよ?」
「良かったじゃないネフト、ユウ様は私が貰うからちょうどいいじゃない」
「お姉様でも言っていいことと悪いことがあります」
「グロリアはどう思う?この際ネフトは新しい恋に走るのも悪くないと思わない?」
「ユウ様はこのグロリアが探しましたが…人間に変身して戦闘街に潜入し、ユウ様が所属してると思われるギルドを訪ねたのですが…」
「そんな大事な話…今初めて聞きましたよ?」
「女王様には心配されると思い黙ってたのですが…どうやらダークエルフに拐われたようで…」
するとネフトとフィーリアの周りから殺気が発せられる…それはピリピリと電気のような感じで肌を撫でる…かなりお怒りらしい。
「どこの不届きものですか?今すぐ絶滅させてきなさい。ユウ様を奪還しダークエルフは皆殺しです…もしユウ様になにかあった場合は…!!」
「それが七竜神のベスティによってダークエルフは大打撃をうけ、散り散りになったそうです」
「そしてベスティを退治するために今魔界にいるそうです」
「!!」「!!」
「なら今すぐお出迎えに行かないと!!」
「ですが問題が」
「なに!」
「ダークエルフの残党の集落周辺である男によって七竜神のベスティが怪我を、それにミカサ・アオイも現れました。現場は危険と判断し七竜神を一旦撤退させておきました」
「ベスティの容態は?」
「特に命に関わるほどではないと、エルビスによって何とか」
「それで?ベスティを破った人間は?」
「七竜神のクロアが捕らえ、現在竜の国まで連行中とのことです。徒歩での移動ですがもうすぐ到着ではないかと…」
その時メイドの一人が慌てた様子で駆け込んできた。
「たっ大変です!」
「落ち着きなさい、何事ですか?」
だがテンパってしまいあたふたしているだけで状況がわからずにいた。
「わかりました。私が確かめてきます。少しお待ちください」
「私も行きます」
「フィーリア様はここでお待ちください」
「行きます」
こうして女王は先に自分の部屋に帰ってもらい、自分達は連行されてきた者の元へ…
現場は騒然となっていた。七竜神の誰もが顔を青白させ廊下に立ちすくんでいる。何事か?
「な!?」
二人とも言葉を失った。床に力なく座り込んでいたのはあんなにもあいたかったユウだった。周りにはメイド達が集まりその肩に手を置いて「ユウ様、ユウ様」
と声をかけてみる。だがユウは、全身泥まみれの傷だらけ、さらにはあちこち殴られたようなアザがあり、
体力気力ともに尽き果てた状態だった。目は虚ろでまともな返事も出来なかった。
「貴様ら!!ユウ様に何をした!!全員そこに並べ!!」
七竜神はグロリアに任せ、フィーリアはメイドに声をかけた。
「どうだ?ユウ様の様子は」
「相当体力を消耗されています。すぐにでも休ませませんとかなり危険な状態です」
フィーリアは「頼みましたよ」と告げと怒鳴り散らすグロリアの方に向き直る。
「無傷と言わなかったか!!この国の恩人に対しなんて仕打ち、どう償うつもりだ!」
「そ、そんな私達は義手の男と聞いたのです…」
確かにユウは義手をしておらず手があった。もし間違えれば最愛の人を自分達のせいで無くすとこだったとジュロンの話を聞いて総毛立った。
「それならあの体の傷は!?連れてこいとは言ってたがユウ様に何をした!!」
「わ、私達はごく当たり前に捕虜として扱ったまでです…」
当たり前とは捕虜を虐待した言うことだった。例えばドラゴンの姿で「止まれば潰れるぞ」と脅し、追いかけて走らせる。疲れて倒れれば爪でつついたり、尻尾で打ったりして無理矢理立たせる。それでも立たなければ殴る蹴るの暴力でいたぶる。こうして抵抗する気力、逃亡する体力を奪う。
フィーリアは「なんて事を、なんて事を……」と呟きながら怒りに震えていた。ジュロンもまさか喜ばせようと連れてきたのにこんな目に遭うとは思っても見なかったのだ。七竜神全員がうつむき、恐怖にガタガタと震えていた。そして黙って腕を組んで静聴していたグロリアが指輪から月光刀を取りだし切りにかかる!!
「グロリア!お止めなさい!」
フィーリアが押さえるも力強く刀を振り上げる。七竜神達は全員廊下に伏せて頭を手で覆いガタガタと震え、ただ許しを乞うしかなかった。
「我慢ならーん!!ユウ様に何をした!!」
刹那…自分の背後で自分より強い殺気を感じ、一瞬で冷静さを取り戻す。怖くて振り向くことさえ出来ないのだ。処置にあっていたメイドも思わず手を止め固まってしまった。
ネフトはゆっくりと歩みより変わり果てた元夫を見つめる。元とは言え喧嘩別れした訳ではない。互いが互いを思いやり、仲のよい二人だった。ただ種族の違い…運命の行き違いで引き離された悲劇的な夫婦であったのだ。そしてネフトを守り自分は左腕を犠牲にして守ってくれた。最後は不死鳥との一騎討ちで傷を負い、瀕死の体で闇に消えた…今度は私の番だと私が助けると行動すればこのざまである。申し訳なくてユウ様には会わせる顔もない…何とも無様である。情けなくなってくる。自分の非力さに…
ネフトを顔を手で隠し泣いた。部下の前でだらしなく泣いてしまったのだ。ただユウには見られなくて良かったと心の中ではそれしか思わなかった。自分を守ってくれた相手が自分のせいで傷ついてる。私には彼を愛する資格など、ただ再開できた事を喜ぶ権利すらないのだ。
「ネフト?大丈夫?」
「……大丈夫じゃないです…もう胸が張り裂けそうです…もう自分が嫌になりました。自分がドラゴンだったことが恨めしいくらいです」
いきなりだった。いきなりネフトはユウを連れ、窓から飛び去ろうとしていた。
「全員止めろ!!」
あたふたと七竜神も加わりメイド達がネフトに群がるそこにフィーリアとグロリアも加わった。
「駆け落ちなんて一国の女王が許されませんよ!!」
「許してくださいお姉様(涙)私はもうなんのしがらみもなくユウ様と静かに暮らしたいのです!!どうかお願いします(涙)私を、私を…自由にしてくだい!もうユウ様以外なにもいりませんから(涙)離してー!!
もうユウ様を失いたくないんです!離れたくないんです!いやー!!離してー!!」
泣きじゃくってユウから離れないネフトをメイド達が無理矢理部屋まで連れていった。七竜神の処罰についてはグロリアが全員を引っ張っていったから任せることにする。ユウの容態は安定し定期的にメイド達が世話をしている。未だに意識が戻らない。私も隣でいて付きっきりで見守るが一向に目は覚めない。
「ユウ様?お約束…無事果たしてくれましたね?ネフトも私もそれだけで嬉しく思います…」
泣きながらユウの手を握る。私もネフトに似て泣き虫である。




