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異世界駐留記(不幸で奇妙な物語)  作者: ふじひろ
死地帰えりの男
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作戦発動…?

「畜生!なんだって夜中に仕事なんかしなくっ

ちゃーならないんだ!しかも今日は仕事は休みなんだ!」


「で、どうなんだ?この情報は本当なのか?」


「ああ、ぺローが走って来ていきなり魔王軍が攻めてきた!なんてぬかしやがって!俺もいい加減な冗談かと思ったか来るときにな総統轄所(依頼の受注や成功の報告をする場所)で聞いたんだが間違いない!」


「ユウくんも信じないのか~」


「別に信用してない訳じゃないですけどね、嘘であって欲しかったから」


でも疑問が残る


「この前線をすっとばして聖都に現れた原因はつかめてるんですか?」


「やつらお得意の魔方陣だろ」


「しかも喜べ、そこまで危機的状況でもないんだ。もしかしたら仕事も少ないかもな」


なんと奇襲をかけた魔王軍だが聖都の高い城壁と精錬された騎士団と聖都ギルドのメンバーで

部隊は壊滅、魔王軍は敗走し、聖都の騎士団とメンバーは魔王軍を追撃、包囲陣を狭めて敗残兵を次々と殺してるそうだ。


「敵は魔王軍ではなく正確には敵の幹部の私兵のようで何故か統率もとれてないし勝利するのにそれほど労力もかからなかったらしい」


「それで?任務は?」


「敗走してきた敵勢力を聖都の連中と連携をして敵を挟み撃ちにする。移動は戦闘街の魔法使い達が魔方陣でその位置までとばしてくれるから心配しなくていい。森林での戦闘になる、しかも夜だから気を抜くな危険なら逃げろ。とは言っても敵が来る予想地点が広範囲におよんでるからそれ全体をカバーするために戦力を分散してるんだ。もし負けて抜け穴でもできようものなら…」


「失敗は許されない、しかも救援もこない。実に無茶ぶりな作戦をたてたもんだな」


「時間がないんだ、大丈夫!ユウくんの実力なら大丈夫だからさ!残念ながらユウくんの戦いは見れないけど応援してるよ!」


「こう言うときアイサさんみたいな頼れる方が近くにいて欲しかったですね」


その時アイサさんのギルドの部下が来て時間が来たことを知らせる。


「すまないけど先に戦場に行ってる。全員死ぬなよ?生きてここに帰ってくる、いいな?」


「わかってますって、ここにいる皆、実力ならありますから」


「気を付けてねアイサ」


「ありがとうユニファー、行ってくる…」


振り返らずに部下の方と一緒に戦闘街に向かって走って行ってしまった。


「俺達ももうそろそろ出発だな、覚悟はいいか?後戻りは出来ないぞ?」


「血が飛び、悲鳴が響きわたるような仕事は、

男の役目だと考えよう」


「ほう…ならアイサさんは?」


ぺローの鋭い指摘…うう…返事に困る…


「血を飛ばし、悲鳴を上げさせるような仕事は多分女の役目?」


バキッ!


ユニさんが動いた。そしてどつく…


「ご、ごめんなさい!」


「血を飛ばし、悲鳴を上げさせるような仕事は女の役目…でしょ?」


笑ってる。笑顔だけど笑ってないよな…俺は怒らせてはいけない人を怒らせてる…


「撤回します。ありのままが女の役目で」


「よろしい♪」


「おっと、時間だ。俺達も行くぞ」


酒場を出て総統轄所に向かって歩き出した。


「戻ってきてねー!皆ー!」


後ろでユニさんが手を振っている。


「必ず戻ります!それまで待っててくださいねー!!」


俺達は闇で見えなくなるまで手を振り続けた。


特別急がずに歩いてた俺達だったが沈黙に耐えかねて話題を切り出す。


「どうして幹部の私兵集団は統率がとれてないのに攻城作戦なんて始めたんですかね~?」


「それが魔王の命令ではなさそうだな、今までそんなことはなかったんだ。恐らくだがな血の気の多い幹部が痺れをきらしたんだろう」


「その幹部は戦場にはいたんですか?」


「いなかった、まさか部下を見捨てる前にその幹部がいなかった。そこがひっかかってるとこだ。だから兵士の統率がとれてなかったと俺は考えてる」


「だから進行を阻止できたと?」


「街を守るってそんなに簡単なことじゃない、

市民の不安の問題、兵士のレベルも……。堅固な城をつくるのは、城壁の分厚さではない…なんだと思う?」


「なら薄っぺらい城壁か?」


「城壁を守る者達の心だ、兵士が力があっても逃げ出せば戦う者のいない城はどうなる?かたい心。それが大事なんだ」


「勿論、かたい心以上に重要な要素がある」


隣で聞いていたぺローが笑顔で答える。


「ぎゅうぎゅうに詰め込まれた食料庫と兵器庫だ。なんの用意もなく丸腰では戦えないだろ?

いくら強くても裸で戦うか?」


笑う猫、恥ずかしそうに顔をそらす人間。

そうこうしてる内に総統轄所に着いた。


「俺達は…第何陣だったかな」


「なんでもいいぜ、次でいこう」


俺達の番が来た、流石戦闘街の冒険者だな。

誰一人としてざわざわ騒ぐ人間はいなかった。

俺達以外は男が三人、女が一人か…


「おい…あれって…」


前言撤回、ざわざわ騒ぎ出した。けどこれから始まる掃討作戦のことでじゃない。俺達の魔方陣の周りだけ余程ざわついてるんだ。


「おいディロン、もしかしてぺローがいるから

かな?」


「なに言ってんだよ!前見ろよ!」


男三人、女一人。で?


「あの三人組有名人?」


「あの三人組じゃない!一人だ!」


「あの三人の内じゃない!あの女のほうだ!」


…なんだ、女か…


「今、私のことをバカにしましたね?」


女が立ち上がってこちらに向かってくる。生地の少ない着物を着てる、丁寧に武器は日本刀ときたもんだ。日本刀?着物?


「甘く見られたものですね、久しぶりです、実に久しぶり…」


「その耳…お前獣人か?黒い髪に…おお!猫耳まで黒色の毛だとはな」


ピクッ…


「おい!今すぐ謝れ!」


ディロンは謝るように言うが俺なんか変なこと言ったかな?さらに周りがざわつく


「本当に命知らずですね、そこまでいくと尊敬します。でもそれくらいにしてください。でないと今度は決闘でもしますか…永遠に黙らせるために…死人に口無しとも言いますから」


その高圧的な態度が気にくわない。ぺローよ!

言ってやるがいい!許可する!あれ?ぺロー?どうしたんだ?


「お前の噂は魔界でも聞いてたよミカサ・アオイ…忘れられない名だな…その刀で何人の同族を殺したんだ?」


「殺した数、の話ですか?そんなものいちいち覚えていません。戦って楽しくない者は覚えていません。興味がない者をずっと覚える必要なんてありませんよね?ケットシーと戦って面白い者なんて…いませんでしたね。あっけなくて実に不愉快でした」


「俺の仲間を!」


殴りそうなところで踏みとどまる。


「よかったですねあなた、もしあの場にいたのなら今頃あの世ですね。でもケットシーの討伐なんて頼まれてもやるものではないですね」


「それでお前は命乞いする者も、女、こどもでも容赦なく殺したのか!」


「あの場にいたケットシーの討伐…取り逃がすような真似、できます?」


もう我慢ならん!て感じでぺローがレイピアを抜く!止めないと!


「これ以上俺の仲間に傷つくような事は言わないでくれるか?」


ここでディロンが止めに入る。ちっ…邪魔しやがって。ま、助かったかな


「私に命令するのですか?私に命令していいのは依頼人と私より強い者のみです。あなたはどちらにも当てはまらない、よって聞く必要なんてありませんね」


「くっ…」


「本当にわかってますか?なんなら力の差を見せてあげますよ。いいんです、手数料はあなたの命でちょうど釣り合います。どうしました?

命乞いでもします?」


キンッ!


「剣を抜きましたね…決闘ですか?何を賭けます?私はあなたとの勝負がしたいだけ、何もいりません。しいて言うならあなたが命を賭けて戦ってくれるだけでかまいません。私は楽しみたいのです。あなたは何が欲しいんですか?私は何を賭ければいいのです?」


「俺はぺローの尊厳だけだ」


「それだけ?たったそれだけのために命を賭けるんですか?」


でもそれが大事だろう。この騒ぎのせいで次々と順番が抜かされる。ああ、遅くなる。


「いいでしょう…あなたは何も得られない、ただ全てを失うだけ」


「やめるんだユウ!ここは堪えろ!」


「何故なんだ?」


「殺されるぞ!」


「それは相手側が強い場合か油断してない場合の話でしょ?俺はあいつにそれのどれをおいても当てはまる気はしないね!」


ピクッ…


「何でしょう…ここまでイライラさせられるのは…大口叩いて哀れに逃げる者よりイライラします。早く切らせてください。あなたでは楽しめそうにないです」


お前がイライラする原因教えてやろうか?それはな…


「お前を負かすからだよ」


「あなたでは役不足、あなたには私の連勝記録は破れません」


ゆっくり刀を抜いてぶらんと下に垂らす。それが不気味なほどに恐怖をかきたたせる。


「あなたの眠ってしまいそうなトロい剣さばきをどうか私に見せてください」


「そうだろ、眠っちまいそうだろ。お前には俺が切ったようには多分見えないだろうな」


「そのようなスピードで切ると?自惚れが過ぎるのでは?私より早く切れるわけが…」


殺気を放つ、その場にいた全員が一瞬で自分が標的なんだと、狙われてると思うほど強烈なのを放っといた。


「少しはできるようですね。安心しました。どうやらあなたのことを過小評価し過ぎてたようです」


嬉しそうにピコピコ猫耳が動く、それも今日までだぜ!


「まだですか?なら私から攻撃を…」


「わからないのか?」


「?」


「なんのことですか」


パラパラ…


「きゃっ!?」


慌ててしゃがみこんで自分の頭を押さえる、そうとう焦ってるようだ。錯乱している。どーだ、猫耳の毛を剃ってやった。どうだ?これで涼しくなって頭も冷えただろう。


「きゃっ!?なんてがらにもない声あげやがってよー!可愛い声出したら許してもらえると思うな!こっちは激怒寸前なんだ!」


「そっ!そんな~!私より早く切れるわけが…

だっだってずっと目を離さなかった!動いてないのになんで!どうやって!?」


「私より早く動ける!?無駄な動きがなかった?

えっ!?えっ!?えっ!?私が捉えられないスピードで?動いてないと錯覚するほどのスピードで!?

私より早い!?」


確かにな、あんたの目は本物だ。それは間違いない…だって動いてないもん。シルフ?だっけ

ユニさんから教えてもらった通りしただけなんだけどうまくできた♪エルフは精霊の扱い方がうまいらしく弟子入り(数分で講義は終了)で

コントロールができるようになった。それでシルフの風の力で毛を剃っただけなんだけど、俺が剣で見えないスピードで切ったと誤解してるらしい。


「ぺローをバカにしたこと謝れ!そうすれば今までの無礼を許してやる!」


「み、耳…」


今頃猫耳を全剃りされたのに気づいたらしく恐る恐る撫でている。そして


「あ、」


「あ?」


「あんまりだ~!」


「!!」


「うぇ~ん!もうお外はやだ!帰る~!」


「え、ちょっと…」


なんとなにか言う前に逃げてしまった。取り逃がしたー!


「うぇ~ん!」


それは馬よりも早く、一秒もたたずして暗闇だからよく見えないが小さくなり、消えてしまった。なんて逃げ足、速さに自信あるわけだ…


「おい…ユウ…ちなみにな今走って行った女はなこの国でも一二を争うお方なんだわ…」


「え!今のが?」


おう、ヤバイのにまた喧嘩を…そして周りから

ぼそぼそとしゃべり声が聞こえてくる。


「どうするよ…戦力半減だぜ…」


「いや、激減だぜ…」


あ、今作戦中だった。

魔物駆逐まで書きたかったのにまさかこのいざこざで終わるとは…ちなみに新キャラミカサ・アオイです。純和風キャラです。グロリアのように西洋の黒い甲冑に刀という異様な格好では

ございません。黒い甲冑の秘密、あれは彼女がブラックドラゴンという種族の象徴なんですって。

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