俺とマタタビ…美人なエルフ
「ではここで…」
「うん、ありがとう。じゃあね~」
城門をくぐった所で商隊とわかれる…でなんでまだ
「お前がいるんだよ!」
俺の隣りで同じく手を振るケットシー。
「こんなところで一人でいたら生きたまま皮をはがれちまうよ!マタタビのストックもまだあるみたいだしさ」
迷惑な奴だな、何処までも自己中だし!
「まぁいいぜ…ここは手を組もうや…俺もこの街で一人でやっていけるか不安だったし…」
「成立だな、まだ夕方にはなってないけど宿探しに行こうと思うんだがどうだ?」
ここはこいつの意見に従うか、暗くなってから探すのも面倒だし。
「北に真っ直ぐ進むとギルドが集まってる戦闘街、この戦闘街より更に北は魔界に繋がる最前線と言うわけさ」
「詳しいな」
「伊達にスパイしてた訳じゃない」
戦闘街はこの街の防衛ラインを兼ねてるようだ。俺達がいる城門、入ってすぐ見えるのは戦闘街まで続く大通り、道を挟んで商店が並んでいる。
「で、最初はどこいく?この街はよく知らないし」
「そうだな…俺的には戦闘街には行きたくない。お前と俺の腕でも危険なところだ。今は無駄なトラブルを避けてこの街に馴染んだ方がいい」
じゃあどこいくの?
「右にいけば商人達が行く高級娼館が並び、小さな賭博所もある言わば旅の疲れを癒す大人の休憩所だ」
鼻息荒くして語り出す。娼館…ゴクリ…
「左は川が流れていてその周辺は貧民街になってる
と俺がスパイしてた時はそんな情報が入ってた」
「貧民街?どういうところなんだ?」
「犯罪が横行してるそんなとこ、でも魔物の俺としたらそっちの方がいい。戦闘街ですんでたら速効で身ぐるみ剥がされるぞお前」
聞いてたらどっちも危険だよね?ねー?
「貧民街か…娼館では寝泊まりは出来ないしな…運に任せるか」
ギルドが保有する宿なんかもありギルドの寮みたいなものもあるが俺が冒険者ギルドの人間だがどのギルドかわからないしそもそも戦闘街怖いからやだ。
行きたくない(冒険者ギルドもこの戦闘街では色々ある、ただこの街以外ではギルドは種類は一つと定められている)
「貧民街って思ってたより綺麗」
「貧民街と呼ばれてるだけで本当は表通りから外れた商店に外部から来た人間達も店を出して出来た街でそもそもここには最初からこんなに店があった訳じゃないんだ。通りは昔からある人気店でそれに便乗した人達でここまで大きくなったんだ」
さらにそこに難民や犯罪者なんかも集まりだして戦闘街の人達が貧民達の集まりだ!と呼んだ事から貧民街と名前がついただけで普通に商店街と変わらん
し、そんなに危なげな雰囲気もない。
「でも気を付けろよ…ここには盗賊とか犯罪者達のアジトもあるんだ…危険な所に変わりはない」
「了解了解、さて宿でも探すか?え~と?」
「ぺロー、名乗らせてもらう…俺の名前はぺローだ
ぞ覚えとけ」
そう言うと一軒の酒場の前に止まる。
「ここなんてどうだ?」
近づいて見るとやっぱり酒場で周りを同じく酒場で挟まれた見比べて見るとごく普通の酒場と何にも変わらなかった。ここら辺は酒場がずらっと並んでいる。競争率高そ~
「ここは酒場じゃないのか?宿を探してんだろ?
行こうぜ」
まさか目の前の馬小屋みたいなとこに泊まんじゃないだろーな?
するとぺローが指さす。
「この看板を見てみろ」
んー?そこには
豪華三食付き、長期滞在者歓迎と書かれた看板が立っている。
「この酒場、宿も兼ねてるのか。だから周りが酒場でもやっていけるのか」
「何言ってんだ?そんなの普通だろ?なんで魔物の俺が知ってて人間のお前が知らないんだ」
人間界の酒場は様々な機能があった。ワインやビールの販売所、醸造場、宿泊業に倉庫、パン屋、肉屋や、取引所、食料品や生活必需品の販売、売春斡旋所など全ての機能を備えてる訳ではなく、城塞や大都市など人の多い酒場は食料や酒類の販売、宿泊業が主である。まさに色んなサービスが集約された複合施設なんだと。
「ここにしようよ、ここから戦闘街も近いしお前も仕事に行きやすい。長期滞在しても大丈夫だしぴったしだろ?」
確かにな有力候補だ。
「本当は三食付きに反応したんだろ」
てへっ♪バレた?みたいな片目をつぶって舌出してる。ちょっと可愛い。そのままドアを開けて中に入って行く。早いな~も!
「たのもー」
「はいいらっしゃい、もう仕事終わり?早いわね」
俺も急いでぺローの後に入る。
「!」
テーブルがいくつかあり、20人程は入れる広さ、奥がカウンターになっておりカウンターの中に女性が一人。
上乳が見える大胆なコルセットの上にエプロンというちょっとドキッとしちゃう格好だ。だが俺は…
「ウオオオオーッ!!」
勢いよく剣を抜き放ち構える!
「落ち着けユウ!」
必殺!
「秘技・極炎剣!」
剣に火を纏わせる技、毎日修行するたびある日火よ出ろ!と念じた所、出せるようになった俺の必殺技だ。原理は俺もわからない。
「落ち着けと言ってるだろう!」
構えのまま固まる。
「あいつ人間じゃないだろ!?」
「大丈夫、彼女は見たところ…」
「エルフよ」
向こうから話しかけられる。人間ではありえないような耳だ。だって尖ってんだせ!?魔物だろ?
「剣をしまえバカ」
そして炎を消し剣を鞘に納める。
「魔物なのか?」
「そう言う言われ方を人間にされると傷つくけどええ、そうよ亜人の一種であるのは間違いないわ」
そしてぺローはエルフと呼ばれる彼女に近づいて行く。危険はないのか?おとなしい種族なのかな?
俺もおそるおそるカウンターまで近づく。
「私の事を知らないとこを見ると一旗あげに来た新人ちゃんね?こんな時間から飲むの?」
するとぺローが代わりに喋り出す。
「表の看板を見てね、ここを拠点に活動していこうと思ってね。長期滞在は大丈夫かい?」
するとカウンターの女性がいきなりぺローに熱烈に抱きついた…ぺローの顔が豊満な胸に沈む…
「長期滞在者?えーー!嬉しい~!」
そしてイスの上にまた降ろしてくれたが余程こたえたのかずれ落ちて床に転がる。
「きゃー!大丈夫?大事なお客様!!」
辛うじて腕だけ上げる。
「強烈な歓迎だ…」
それだけ言うとまた倒れる。あれはあれでほっとくか、羨ましかったし!
そして復活したぺローと一緒に足の長いイスに座るがぺローは猫なので座るとカウンターでちょうど猫耳しか出ていない。
「もう少し足の長いイスがあると助かるんだが…」
「ごめんなさいね、これでどう?」
すると少しずつイスの足が大きくなり程よい大きさまでイスの足が伸びる。
「流石エルフ」
「それほどでも~」
なんだいイスの材質は木、それを成長させた?無理だろう。伐られて成長は止まってる!
「嬉しいわ~♪ギルドの人間は全員戦闘街の宿に泊まっちゃうし…ギルドが保有する宿だったり寮があるからねしかもギルドの人間は無料、宿は無用よね
それに商人は娼館に行っちゃうし…」
なるほど、宿は基本的貧民街ではとらないのか。
「酒場で成り立ってるようなもんだから人が来てくれるのは嬉しいわ♪」
「部屋は二階?」
「ええ、入って右に階段があるでしょ?部屋は三つ全部空いてるからすきな部屋を選んで」
「飯は?飯!」
ぺローが身を乗り出して立ち上がる。
「朝食、昼食は軽めだけど夕食はパン、スープ、それにその日仕入れた肉か魚が主菜がつくわ。料理には自信があるから任せて!」
「おーー」
ぺローが納得した顔をしている。
「で、一泊の値段は?そこが肝心」
条件がこんなにいいんだ。覚悟しないとな…
「銅貨一枚!これでどう?他に類をみない格安よ?
多分これより安い宿は探しても見つからないわよ」
「おい!ユウ!ここだ!ここ!」
そうだな銅貨一枚でこんなに優良宿他にはないと思う。
「そうだな、決めたよここにする」
「キャッホー!」
イスの上で騒ぐぺロー、やかましい。
「決まりね、今度はこっちから質問していい?」
「どうぞ?」
「ケットシーとコンビなんて珍しいからちょっときになって…だって人間界でケットシーなんてなかなか見られないから二人の関係をよく知りたいな~と思って♪」
「こいつか?こいつは」
ぺローが口を開く…
「大事なマタタビだ」
ガクッ!
「どういう意味かしら?」
「魔界の猫の国では今マタタビは制限されてるんだよ…魔王の王政が禁止されたせいかな?そのせいで
俺達はマタタビを所持することさえ難しくなったんだ。マタタビは兵役につかないと貰えない…だから嫌々スパイ活動をしていた」
あーなんかそんなこと言ってたな。
「そんな人生に嫌気がさしてな…魔界を飛び出した時に出会ったのがこいつで何故かマタタビを大量に所持してるんだ!そのマタタビを貰うために一緒に行動してる」
俺とお前はそんな脆い絆で結ばれてます(涙)
「そうなのね…次に貴方、さっきサラマンダーを呼び出したわね…いったい何者なの?」
「俺は…」
「ただの駆け出しルーキー君じゃない、何者?」
記憶ないのに何て言おうか?




