新たな可能性
フッフッフッ!!時は来た。
「あらよっと」
「きゃっ!」
「ユウ殿!いくらユウ殿でもやっていいこと、悪いことがあります!!」
「いいんですセントーレ様、こういうこともなれてますから」
「くっ!」
「へっへっへっへっ♪」
「ユウ殿!相手がよくてもダメなものはダメなんですからね!反省してください!」
入院生活の楽しみなんて限られてる。メイドさんのお尻を触るのが罪ですか?はいそうです。罪でした…ごめんなさい。
「暇だ」
「死にかけてる割には元気なんですね…」
「余裕があるからな、今頃外ではパレードですぜ?
行きたいってのが人間です」
「どこから湧いてくるんですかその余裕…」
今日こそ作戦に移ってやる!
「セントーレ、俺が毎日メイドさんにセクハラしている理由が解るか?」
「欲求不満からくる悪技ですか」
そんな風に見てたの…そんな風しか見えないか。
「俺はこれまでセクハラしている理由はな…密かに魔力を補充していたのだ!」
「そんなことが出来るなら栓を抜く必要がないのでは?」
ところがそうじゃない訳がある…
「出来ないんだよ…そんなに魔力を吸収出来る訳じゃない、魔法を使うほど魔力は吸収出来ないし俺が使う位の魔法になると相手の体に悪影響が出るほど吸収しなくちゃ出来ない」
「なるほど、でも魔法を使えないほどちょっぴりの魔力で何が出来るんです?」
魔法が使えないなら魔力を変換して別のことに使えばいいんだ。
「セントーレがさっき元気そうに見えたのはちょっとずつ傷が治ってるからなんだ」
「魔法は使えないはずですよね?」
そう、だけど魔法は使ってない。
「魔法は使ってない、使ったのは神の権能。回復技だ、今の俺は魔法使いじゃなくて聖職者になったってことなんだ」
「魔法使いは聖職者にはなれないですよね?神力は魔力を否定するのは常識ですよ!あり得ないです」
普通の人間ならな、俺は一度死んで魔力の塊、冥府の魔魂の状態で神の権能によって甦った。なぜか俺の体は魔力と神力二つの力を使う可能性を秘めていた。先に魔法使いになったので神の権能を使う事は出来なかったが栓のおかげで冥府の魔魂の魔力供給が途絶え魔法が使えない状態になった。冥府の魔力を神力にすることも出来なくなったので外部の魔力を吸収してその魔力を神の権能にまわして少しずつ回復していったのだ。
「これで吐血することもない位は回復出来たから外に行こうと思う」
「駄目ですよ!まだ寝てないと。完全に治りませんよ?おとなしく寝てください」
「完全に治す為に外に行くんだよ」
そしてベッドから出てヨロヨロとセントーレの方に歩いていく。
「ほら!まだまともに歩けないじゃないですか!」
「すまん、背中に乗るぞ」
「何がなんでも行くんですね…何処です?近場じゃないと無理ですからね」
「ユニの所へ、メイドさんに見つからないように。また寝てろ寝てろってうるさそうだからさ」
「ユニさんの所ですか?いいですけど」
そしてコッソリと病室を脱け出しユニが暮らしている宿の馬小屋に向かう。
「夜はここで寝泊まりしています」
「すまないな、なんか余計な金使わせちゃって…後で払うよ」
「いいんです、気にしないでください」
馬小屋にユニがいた。本当に久し振りに会う気がする。懐かしい…
「ユニ…」
ガジッ!
「痛て!」
ガリガリッ!
「やめてー!まだ怪我が治ったとこだから!」
あ、血が出てきた…
「痛いー!離して~」
「ユニよ!離すのだ!」
怒ってるのか?ごめんよ!ほっといて悪かった!
やっとこさユニが離してくれた。頭はまだあるか?
「なんで左腕が無くなってるのよ…」
「おい、セントーレ何か聞こえなかったか?」
「いいえ?何も聞こえませんが?」
空耳か?それとも幻聴…
「バカーーーーーーーーーーーー!」
ガジッ!
「痛い痛い痛い痛いー!離して~ごめん悪かったって謝るから!!」
「無くなってるなら治せないじゃない!バカバカバカバカバカーーーーーーーーーーーー!」
頭の中に直接声が聞こえる。それもはっきりと、幻聴何かじゃない…声が聞こえる。
「あっ、もう駄目だ…意識が遠退く…」
「ユウ殿!?ユニ!ユウ殿を離せ!」
「他の怪我位すぐ治してあげるわよ!」
セントーレは聞こえてないのか?ユニの角が光だしその光が体を包み込む。
「ユウ殿?そのユニから出ている光は?」
「ユニの角には怪我を治す力があるんだ。これで怪我はバッチリ治ったぜ」
「ユニにこんな力があったとは…」
「早く帰って荷物持ってここに泊まろうかな今夜は、ネフトはパレードだから当分帰ってこないから落ち着ける」
「そうですか、なら荷物は持って来ますのでここでお待ちください」
そして今夜は自分の部屋でぐっすりと寝た。それよりあのとき聞こえた声は何だったんだろう?ユニの心の声だったりして…
翌朝、魔力が出ない出ないってのはなかなか気分が乗らない。朝から自分も連れていけと言わんばかりに暴れるユニを置いてパレードが終った後の街をセントーレに乗って観光名所をまわって楽しんだ。
「そろそろ城に戻るか…女王が話があるって言ってたから」
「そうですか、なら城に行きましょう」
広くて高い洞窟の奥にある城を目指して歩く。
城に着いてから病室の近くに行くと右へ左への大騒ぎになっていた。なんで?
「君君、そこのメイドさん何があったの?」
「ああ!ユウ様!良いところに帰ってきてくださいました!ネフト様と女王様がまだお礼もしていのにお帰りになられたと思い人間のお姿になったりドラゴンのお姿になったりして泣き叫んで大騒ぎになっていたのです!どうかお顔を見せてあげてください!」
病室に入るとああ、なるほど。他のベッドは壊れていたり変なところに転がっていたりする。酷い荒れようだ。肝心の二人は俺のいたベッドにすがりついてエンエン泣いている。
「貴方様ー!なんで急に妾の前からいなくなったのですか~(涙)妾はまだ心の整理がついてないのに~(涙)」
「なにやってんの…」
セントーレと二人でのぞきこむ。
「貴方様!!まだこの国にいらしていたのですか?」
「いや…女王が話があるって言うから…特にようが無いならもう帰るけど?」
「まままお待ちください!話はまだ済んでいません!お帰りになるならお話を聞いてからでも…」
「わかったどうぞ」
メイド達を下がらせてセントーレと俺と女王、後ネフトだけこの荒れた病室で話を聞く。
「まずジークフリード様の左腕ですが無いものを作ると時間がかかると言うことで師匠が専用の特別製の義手を製作したとの連絡が入りました」
義手だって?
「特別製?」
「はい、それは後数時間後にこの城に転送されてくるようですから心配ありません。左腕が完成するまで今しばらくお待ちください」
「それはいいんだけど」
「二つ目、魔力の栓の事ですが未だ明確な解除法がなくいつ取れるかはわかりません。ですので新しい魔力供給源が必要となります。まず私達ドラゴンの血には特別な魔力が宿っていてそれを飲むことにより魔力を補充することが出来ます。しかし、それは魔力の器を作るのではなく言わば体に漂うだけで定まった魔力を入れる器が必要になります」
「ドラゴンの血には特別な力があるんだろ?」
「はい、それはエルフのような動物の声が聞こえたり人によって能力が様々で、違う世界を行き来したり能力に種類があって何の能力が発現するかわからないのです」
なるほど、魔法とは別の特殊能力を得る事が出来るのか。
「後の手段ですが…その~」
「なんだよ?」
「恥ずかしいのですが…覚悟を決めます」
やな予感しかしない…そもそも最近こんなことしかない気がする。今の俺は魔力がない。なので魔法も使えないしベルセルク化も勿論出来ない。つまり身を守る術がない。
「恥ずかしい事なのかよ」
「はい…とっても…」
怖い…絶対なんかあるわ~それも悪いことが。
「サキュバスの権俗は性交を通じて長時間長きに渡ってサキュバスと性交した人間は魔力を持つことをご存知ですか?」
知らんな、興味ない。
「それは男性の精には高濃度の魔力が含まれているのです。それで余分な魔力は空気中に放たれて周囲に「チャーム」系統の魅惑魔法を無意識的に放つんです」
「しかしサキュバスが男をただの性の道具としてではなく恋人としてせっする場合はサキュバスは空気中に放つだけでなく好きな男に自分の魔力を移し替えるんです。それで男は枯れることなく永遠に交わり続けることが出来るんです」
へ~で?なんだよ。話が見えてこない。
「この習性はサキュバスだけが使えることじゃないんです。ある程度魔力の扱いが長けている者なら誰でも使う事が出来る技なんです」
……………………なんだって?
「今回の魔力の栓は私の責任です。ですから……コホン!私が貴方のお側に御使いします」
固まる三人。えーとどうコメントすればいいのかな?要りませんとか?
「お、お姉様!?」
「もう身を固めましたから」
「そう言う事ではありません!何妾の(元)夫を寝とるつもりなんですか!」
「何のために貴女に幹部の席とこの国の王座を渡したと思ってるんです。貴女はこれからしっかりとこの国を引っ張って行く使命があるのです。私は女の幸せを手に入れて…」
「何言ってるんですか!いくら元女王でもぶっ飛ばしますよ!」
「冗談が上手ですねケンタウロスは。貴女もジークフリード様に欲情してついてきたドスケベ馬女の癖に人の事が言えますか?」
「お姉様も言う資格はないと思いますよ!!」
「ネフトも紋章の力で襲ってた癖に」
「貴方様!それは言わないでくださいー!」
「この誰がドスケベだ!お前達ドラゴンのほうがドスケベ雌トカゲじゃないか!」
「なんですって!?」
ギャーギャーギャー!!
あーうるさいうるさい!別に俺は誰ともしないよ。
「あのー、ユウ様?」
「おうなんだいメイドさん」
「義手の性能の注文の確認を御願いしようと思いましたんですけど…女王様いやフィーリア様はお取り込みのようですから…」
「義手の性能?それなら俺に確認させて、どうせ俺が使う物なんだから」
「はい!それではお願いしますね♪」
ふむふむ、何!これは…今すぐこのバカな戦いを止めなければ!
「おい!皆とまっ!」
セントーレの後ろ蹴りとネフトの回転尻尾ビンタと女王の魔法の爪切り。その三つを同時にうける。
「ウガッ…」
「きゃー!!誰か!来てください!」
だから嫌なんだクスン(涙)
ベルセルク化の説明
ベルセルクの肉体融合能力は戦いで腕を切り落とされた場合腕は再生しない。なので敵の死体の腕を切り取り肉体融合能力でくっつける。そんな能力。
液体化は戦いで死んだベルセルクは一旦体を液体化させ、そこから人間に再構築していく。この時体の部分が欠損していても一度生まれ変わるとき元通りに欠損部分も再生している。再構築時間は遅くても3時間位で元通りに戻るので常に戦い続ける事が出来る。普通のベルセルクはユウの用に知能がなく戦う事しか頭に無いので他の利用法が思い付かなく剣を振り回すしか出来ない。すでに精神汚染状態にあり、悪霊に憑かれることもないが常に暴走状態なので天界でもあまり使う機会がない。




