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異世界駐留記(不幸で奇妙な物語)  作者: ふじひろ
魔界潜入調査中
27/135

ドラゴンの嫁、俺が結婚だと?

重そうなドアですな~


トントンッ!


「俺です、ジークフリードです」


返事はなしか、なら帰るか…


「どこ行くのです…」


「すいません、行きます…」


ご丁寧に逃げないように見張っているとはね。どうしても逃がさないようだね!だが逃げてやろうか?


「サラバ!!」


「アホですね」


俺の腰の鎖がビーンと張る。


「俺は囚人ですか?」


「似たようなものです」


ちっ!俺はそこまで信用がないのか!


「愛より金をとる男ですからね。私としてもこんな奴と妹を結婚させたくありません。妹と綺麗に話し合いで別れなさい」


「向こうが諦めてくれたらな」


大きなドアがゆっくり開く


「鎖を解いてくれ、こうなりゃなにがなんでも嫌われてやるから」


「妹をこれ以上悲しませたら消し飛ばすからな」


「それは脅し?」


「脅し」


心しておきまーす。では行くか…

部屋に入った瞬間ドアが閉まる。これで話し合いが終わるまで出れなくなったわけだ。

グラムを床に置いてネフトを探す。


「どこかな?かなり広い部屋だな…部屋と呼ぶには大きすぎるがな」


ある意味家と呼べるくらい広い。ソナーで探すか…


「うーんと…」


その時謎の警報音がなり響き頭の上を光線が過ぎていく…頭が少し焦げた。もう少し身長が高かったら貫通して死んでたぞ!


「魔法に反応した防犯魔法がかかってたか、油断してたな。そんな仕掛けがあるなら最初から言えよなあいつ!」


下を見ると水溜まりが点々と続いていた。


「涙か…この先にネフトがいる」


涙の跡を進んで行くと大きな部屋の前に出る。こっそり中を覗くと…いた。


「ドラゴンは気に入った物を溜め込む習性があるのは知ってたけどこれは…」


人形、可愛らしい人形が山になって多い尽くしている。その中にネフトはいた。トカゲのような体に大きな翼と尻尾、間違いないドラゴンだ。


「ネフトさーん?おーい、遊びに来ましたよ♪」


笑顔で近づくとネフトが振り向く。


ピシッ!


ドラゴンと目が合うとは恐怖で動けないもの。しかもなんか殺気出てない?


「なんのよう?泣いてる我を笑いに来たのか?」


ドラゴンに睨まれて動けない!ここはなんとか言わないと!!


「結婚のことで詳しくお話したいなと思いまして」


「こんな獰猛そうな女はいらないと…そういうことなんでしょ?」


「いや、別にドラゴンなのは構わないけど貴女はきっと俺を嫌いになると思う」


「嘘ですわ我は貴方を愛してる。嫌ってるのは貴方のほうでしょ?」


「この姿を見てもまだそんなことが言えるのか?」


ドラゴンケイルを解く。


「俺は人間だ…貴女と相容れるはずがない」


正体をさらして嫌われる。それが作戦。下手すれば殺されるかもしれない。不法入国で捕まるかもしれない。でも今は俺の秘密を知ってほしい。


「そなたは人間なのか?」


「魔法で鱗に見せかけて竜族と偽り参加しました。なので貴女と結ばれる資格はないのです」


これで破局だ。これで俺は自由だ!あ~明日から仕事どうしよう(涙)それより生きてこの国から出られるのか(涙)


「ふふふっ!」


ん?


「そうでしたの♪」


なにが?


「妾は貴方様と夫婦になるのに竜族だろうと人間だろうと構いません。貴方様が妾を愛してくださるなら構いません。貴方と…」


「結婚します」


足元から魔法陣が浮かび上がる!なんだこれは!


「我、ネフト・ドラグノリアはここにいるジークフリードと今ここで契りを交わします」


「二人が死を別つまで互いに愛し合い、愛し抜く事を今ここに誓います」


そして魔法陣から放たれた光が二人の腕に当たる。

そしてそこから紋章が浮かび上がる!


「これって…」


「夫婦の契りを今ここで済ませました。妾達の腕の紋章は妾が貴方様の妻、つまり愛の奴隷となったことを刻み込みました。これはどちらも死ぬまで消えることはありません。一生貴方様の傍にいます」


おい、これって…無理矢理結婚させられたの?ここで勝手に?


「この紋章ってさ…」


「はい♪」


「よく見るとさ…」


おいおいこれは…


「逆じゃね?」


「はい?」


「この紋章を解読すると俺があんたの愛の奴隷なんだけど?」


「え?」


間違えて俺が奴隷になってる~!


「ふっふっふっ、それなら都合がいいです…実はこの紋章には色々と機能が備わっておりまして…」


「なんですって?」


「その一つに相手を淫乱化して色々エッチな事をさせることができる機能があるのです…」


恐ろしい…。何が恐ろしいかって?ドラゴンが涎を滴ながらにやついてるからだよ!普通なら食われると思うだろが!


「これから本当の結婚初夜です…ふっふっふっ!お楽しみですわね♪」


そして俺達の紋章が光だす!ヤバイ!体が熱くなってきてムラムラする!


「来てください♪貴方様♪」


人間の姿になって人形の海に横たわる。このままでは男女の一線を越えてしまう!


「まてまてまて!このペンダントが目に入らぬか!って逆効果だよね!!」


ブリーシンガルを目の前に見せたがそれが逆効果だと気付いたが遅かった…欲情した俺が我を忘れてネフトも淫乱化させてしまったのだから…


「旦那様ーん♪」


服を脱いで裸になったネフトが飛んで来る。発情してるのは俺も同じ、俺はあんな美女を拒めないだろう。そしてきっと…


「妾をたっぷりと可愛がってくださいましー♪」


ネフトが抱きついた瞬間俺の体が液体になって床に広がる。


「旦那様?」


「これはだなベルセルクの基本能力の一つで液体化といって体が形状を失って液体になる。主にベルセルク化で我を失った時にストッパーとして使うんだがな…この状態のときはどんなこともすることは出来ないが、どんなことも俺に出来ない無敵モードなのだ!」


「旦那様?何をお考えで?」


「性交はまだ早い」


「妾はもう大人です。生殖可能な歳になりました。旦那様も出来るお歳でしょう?」


「そうだとしても嫌なの、早く腕の紋章から発生してるこの機能を止めて」


「そんなの嫌です」


「なら腕を切り落としてお前を捨てて人間界に戻るぞ。いいのか」


「そんなの妾には耐えられません…」


「なら止めてくれ」


おっ、落ち着いてきた。


「もう大丈夫か?」


「まだ少し変な気分です…」


ブリーシンガルか…こうなりゃ仕方ない。


「これからどうするよ…」


「子作り」


「アホか」


「冗談じゃないですよ?そのための夫婦ですから」


「あのね、尽くしてくれるのは嬉しいけど俺は今すぐ人間界に戻りたいの!」


聖都にいって魔王の目論見を知らせないと…


「お前幹部とかだったよな。どこの?」


「魔界の…魔王の配下ですけど」


なにー!それなら敵どうしだろーが!敵と結婚したのか?しかも幹部だぞ!


「あのー、やっぱり結婚は破棄しましょう?実は俺はあんたと敵どうしなんだ…だから」


「それなら幹部辞めます。この街ごと人間の下につきます」


「なにいってんだ!そんなことできるわけないだろ!俺のことは諦めるんだ!」


本気かコイツ!


「貴方様と会えないなら生きてる価値もありません。それなら敵に下って貴方様と幸せに暮らすのも悪くない話です。街ごとって言うのは言い過ぎましたね」


ん?でもネフトを使えば魔王と戦争しないで済むような道を見つけることもできるんじゃ…


「ネフト、君はこの街にいるんだ。幹部も辞めないでほしい。そのかわりに頼みがある…」


「なんでしょう?出来ることならなんでも」


「俺を魔王の元に連れていくことは可能か?」


「それは魔王様を殺すのが目的ですか?それならいくら貴方様の頼みでもできません」


「違う、魔王と話し合いの場をもうけてほしいんだ!別に俺は魔王を殺そうとは思ってないよ」


「平和に解決!向こうが考える頭があるなら話し合いで解決したい」


それが俺の望み。


「そう言うことなら喜んでお力になります。ただ…」


なんだ?


「貴方様は人間界に帰ってしまわれるのですね?」


「そうだな…そうなる」


「貴方様を人間界にお送りします…でも一つだけお約束してください」


「なんだ?」


俺に出来ることならな


「いつか必ず妾の元に帰ってきてください。そして二人で一生離れず暮らして下さい。妾を…幸せにしてください…」


でもな…


「なんで俺が好きなんだ?」


「え?」


「女王から聞いたよ…」


「全部知っているのですね…」


「お前は人間を恨んでるはずだろ?」


「…」


ネフトの両親は勇者によって殺された。その時三人は護衛も付けず女王が修行している地へ向かっている途中だった。両親は幼いネフトが逃げる時間を稼ぐため勇者達に挑んだ。命からがら逃げ延びたネフトは女王の修行している地に着き女王が兵を連れて救援にいった時にはもう遅かった…


「お前は心に深い傷をおった。それでも俺を愛する気持ちがわからん。普通なら殺すだろ、親の敵だぜ?なんで手を貸す?」


そこがわからない


「妾は誰も殺したくなんかない…ただ父様と母様のように戦争のない平和な土地で主人と沢山の子どもに囲まれて暮らしたいだけ…」


「お姉様は父様と母様を殺した勇者を恨んではおりません。それは妾同じもです。恨みは恨みを呼ぶだけ。憎しみは憎しみしか生まないのです」


「妾の願いは貴方様と同じ平和な世界です。だから和平を望む貴方様に力を貸すのです。平和のためなら妾やお姉様が全力で支援致します」


「ちょうど数日後に魔王様や幹部が集まる会議があります。その時に妾が魔王様と会える時間をお作りしましょう」


「出来るのか?」


「貴方様の頼みですやってみせます」


「約束…守って下さいね」


…………………………でもよ………………その前に


「服着てくれるかな…」


「きゃー!」


「なんて言うと思ってるんですか?夫婦の二人にいけないことなんてないんですよ。お好きなだけご覧下さい」


「そっちはよくてもこっちはよくない!」


こうして幹部達が集まる会議についていくこととなったのだった。

魔王を早く書きたい自分がいる…

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