強者の国へ~
「なんでこうなるんだーーーー!!」
俺達は今竜の国の手前でグリフォンに追っかけられてるわけです。竜の国さえ入れてくれないとは…
「村を襲っていたグリフォンでしょう!ドラゴンの殺気で我を失っているんです!」
そりゃ厄介ですね!!あの乱心したグリフォンには状態異常魔法が効かないので殺すしかないんだよね…逃げれないし、殺したくないけど生きるためなの仲間を守るためなの!許して(号泣)
「セントーレ!このまま走れ!」
覚悟を決めて…
「ユウ殿ぉぉ!?」
ユニから飛び降りてゴロゴロ転がりました…そして全身強打でピクピク痙攣して固まる…ああ、なんて情けない(涙)全員こっち見ないで(号泣)
「ユウ殿から離れろ!グリフォンめ!」
セントーレが腰の剣を抜いて走ってくる。そして俺の横に立ってグリフォンに剣を構える!しかしセントーレさん?アナタ重大なミスをしてますね。このキチガイグリフォンの狙いは俺達じゃない!ユニなんだ!アイツはキチガイじゃない!ただたんに変態なんだ!
「ち…が…う、ユニを…守れ…」
「さあ来いグリフォン!」
グリフォンは難なく俺達の頭上を飛び越えてユニに股がる…股がる?
「おどれ!誰の許しを得てユニに股がってとんじゃ!あ!?もう殺ってまうぞゴラッ!」
何かが切れる音がした。それでも構わないと思ってね…脳から落ち着けと命令されても体は勝手に動き出す。現在俺の体は反抗期である。体が制御出来ないの、あれよあれ、ベルセルク化だ…
「テメーの血は何色だ!?」
可哀想とは全く思わない、今の俺には慈愛の心がないんだよね~殺戮マシーンなんだよ今の俺は!傷も一瞬で治るしね!リアルターミネーターだよ!
「ていっ♪」
軽く剣を振るとグリフォンの首がぶっ飛ぶ。切り口から血がドバァーと出てる。噴水みたいだ。止めようとしても体が制御不能…後はグリフォンの羽を切り落としグリフォンをミンチ肉にしてやりました。
「おい、終わったよ♪」
このあと俺は激しく後悔する。ユニにもセントーレにも乗せてくれず皆から距離をおかれて後ろをトボトボ歩く事となった。ドン引きかよ!
それから程なくして…
「見えましたあれがドラゴンの支配する竜の国です!」
「はぁ…そうですか…」
「問題はユウ殿がどうやって入るかですね…」
「いっそ罪人って事にして入れてくれ…俺は殺人者だ…いや…人は殺してないけどな…グリフォンを殺しましたってな…でなけりゃあんたの奴隷って事にして入れてくれ。ほらロープがここに…」
「ごめんない…その、引いてしまって…」
「いいの、それでユニが助かったのなら…俺は喜んで罪を償います。さあ!ロープを…」
「本当にごめんなさい。ユウ殿に対してとんだご無礼を…」
「そうだ…これを木に引っかけて…これで首を!」
「やめてください!ユウ殿!ユニも手伝って!」
これで俺の自殺は未遂に終わる。俺はこれからどうやって生きていけばいいんだ!
「真面目に考えましょうユウ殿、何か案は?」
「一つだけある」
「奴隷とか無しですよ」
「けどやりたくない…」
「あるんならやりましょうよ!」
「え~!でも…」
これしたら絶対引かれるわ~それが目に見えてわかるんだよ!また白い目で見るんだろ!
だが無情にも作戦に移る…
目の前の検問所、ここ以外の場所から入ると魔方陣に引っ掛かって死ぬとのこと。危ないなコラ!
しかも検問所の人?二足歩行の鎧を着けたトカゲが出てきて荷物やこの国に入ってきた理由などたずねだす。
「この国に来た目的は?」
「観光です。今日は交易に来たんじゃないんです」
「そうですか、だからセントーレさんだけなのですね?わかりました」
そして後ろを見る。あんまり見ないで!恥ずかしいわ!!
「お連れのかたはユニコーンですか?」
珍しいんだなユニコーンって。
「私の友達なんです!害はありません!」
「お連れのかたはユニコーンのユニさん?ユニさんですね。ユニさんだけですか?」
「は…はい!そうです!」
「荷物の検査も終わりましたのでどうぞ」
やっと終ったか…これでとうとう…
「ようこそ竜の国へ!楽しんでいってください!」
竜の国だー!ヒャッホーイ!!
そして人通りの少ない裏通りに向かう。
「よいしょっと」
ユニの体からズルリと俺が出てくる。だからしたくなかったんだよ!
「あの…その技?はどうやって…」
「ベルセルク化の基本能力の一つで肉体融合だ。他の生物の体内に潜り込める」
ベルセルク化の気持ち悪い能力だ。二度と使いたくなかったのに~
「どこかゆっくりできる酒場かどこか探そうか」
「はい、それならおすすめの店があるのでそちらに行きましょう」
この竜の国実は地下にある。中は薄暗いがかなり広い…どこまで続いているんだ?
そして酒場に着く。あの竜人間みたいなやつらが造ったとは思えないこじゃれた酒場だな、人間が造ったみたいだ。
「とりあえずこれからどうします?」
「とりあえず金を稼ぎたい」
「お金ですか?」
「そう、仕事したいの」
今の俺の所持金は0だ、もはや貧乏ではない。無だ。無我の境地である。俺は金を持ってた。だけどそれは人間界のコインであって魔界のコインではない。人間界と魔界の通貨が同じな訳がなく俺は今金がない。
「人間がする仕事はないと思いますよ」
でしょうねー。でもこのままだと餓死だよ!
「とりあえずさ今の俺の変装なら大丈夫じゃね?他のトカゲ達にバレてないしさ」
「あのですねユウ殿、ここは一重にドラゴンだけが住んでる訳ではないんです。さっきから見ているのはリザードマンと呼ばれる最下級の種族でその上にドラゴニュートやズメウや竜の戦士ドラコニアン等の上位種、亜種がいるんです。簡単に言うと上下社会なんですよ」
「だから何よ」
「素性のわからない者は雇わないみたいなんです」
「余所者は要りませんってか」
「もともとは竜種は鎖国的なんでけどケンタウロスなど仲がいい種族しか入ることさえ出来ないんですから」
「でかい街なのに竜種以外いないんだな」
困ったなどうしよう?金がないとこの先キツいぜ。
「あ~あどうしよう?」
その時遠くに貼り紙がしてあるのが見える。なんだろう?
「なになに?最強を決める戦い?優勝すれば200万ゼニー!やろう!これやろう!」
「確かに他種族の参加は可能とは書いてありますが正気ですか?これだけ大きな大会だと名のあるドラゴンも参加してくるはずです。やめときましょう!死にますよ!!」
「大丈夫!最近の敵は張りがなくてつまらなかったけどやっと本気でやれそうだ!」
「私は知りませんよ?くれぐれも命だけは大切にしてください」
「ヨッシャー!俺は大金持ちになる!」
俺は後々大変なことになる罠に気付かないでいた。
次は大会出場します!




