始めての依頼達成と次へのステップ
猫耳…どんなものなのか、人間に動物の耳がついてるっていうのは。動物の中でもモエポイントの一つ猫耳…触りたい…もふもふしたい!
それが犬耳だろうとかまわない。他のもふもふした動物の耳でもいい。見てみたい。できることなら触りたい。存分に味わいたいし尻尾があるならなお良い。ふさふさした毛並みのいい尻尾をもふもふと…
妄想だけが広がっていく。
「もしもーしユウさん?聞こえてます?」
おう尻尾!おう猫耳!夢でもいいから君と出会いたい♪そして顔を埋めたい♪
「帰ってきてください!」
「ごめん、今目が覚めた」
危ない危ない、今意識が遠くの方に行ってたぜ!
猫耳の狂気、実に恐ろしい!
「会ってみたいな亜人とさ~」
「奴隷市場か王国の最前線、もしくはギルドに腕のたつような方がいるかもしれませんね」
「ギルドかーでもなーそれじゃあ絶対猫耳をもふもふさしてくれないよね~」
「普通はそうです。彼女達はそういうところをさわられるのが嫌いですから」
となれば奴隷か、人間的に許せないとは思うが郷に入ったら郷に従えと言いますが奴隷か~。そんな余裕今の俺には無いな。サイフ的にも感覚的にも。
「そうか、なら奴隷も視野に入れとこうかな?」
「え?」
「冗談だよ!冗談!本気にすんな!」
実際は本気です!奴隷とは言っても相手は自分と同じ生き物です!優しく接しようと思います!主に耳や尻尾をもふもふするんです!
「とりあえず奴隷買うなんて余裕ないからな、コツコツ真面目に働くことにするよ」
「そうですよ!でも気になるんですよね?」
「もちのろんです!」
「それでは見るだけでも奴隷市場を見てきては?」
「いやー別に買わないし」
「前に神殿に行ったのを覚えていますか?そのときまた聞きたいことがあるのでいらしてくださいと言われているのでその時にでも…」
まじ?いっていいの?止めないと俺、本気で行くよ?もふもふしに。
「まあ、一度偵察に行くのも悪くないし行こうかな?」
なんかナウシカアちゃんには可哀想なことをするような。
「でもユウさんの一番の仲間は私ですよね?それは変わらないですよね?」
「当たり前だろ!俺そんなに友達いないし…」
この世界にはね、俺の友達は遥か彼方の違う世界にいるんだよな。
「私が一番の仲間です、それを忘れないでくださいね?」
そういうと立ち上がり村長の家に向かう。俺も行かないとな。こうしてナウシカアちゃんと二人で歩きだす。
緊急依頼の場合報酬が高いのが特長だ。(ナウシカアちゃんいわく)そして報酬は依頼者から直接か後日、ギルドに取りに行くのがほとんどだ。
こうしてこの世界の平均日給は知らないが多分それは越しただろう。かなりの稼ぎだ。そして村長の家をあとにした。
「今日はたんまりかせいだな(多分な)」
「そうですね、一週間分の生活費くらいにはなりましたかね?」
多分大金、ジャラジャラと袋が重い。
「駆け出しの冒険者とは思えないほど稼げましたね!全部ユウさんのおかげです!」
「そんなことないさ…それより前」
女の子が立ってる。歳は俺より一つ下くらい。(ちなみにナウシカアちゃんと俺は同い年でミルティーも俺と同い年だ、とても大人びてるがな)
「オークに襲われてた子かな?」
はっきり顔を覚えていない。でも俺の胴装備を手に持ってるからそうだろう。
「助けていただきありがとうございました!」
そして胴装備を受けとって服の上から着る。
「当然のことをしただけさ」
あえてかっこよく言う。勇者だからね。
「君も災難だったね。でもオークに犯される前に助けられて運がよかった」
「はい…」
ん?なんだ?もじもじしながら下ばっかり見てる。
「おの…お願いがあるのです」
「なんだい?できることなら言ってくれ」
勇者にお願いとな?申してみよ。
「私をお嫁にもらってください!!」
随分堂々と告白すんじゃないの!ディナメス思いだしたわ!そして隣のナウシカアちゃんを見ているとユリネルを思い出すわ!
「ちょっと待て!なんでそうなる!」
「私の裸をあんなにまじまじと見られたらもうお嫁に行けません!責任とって結婚してください!」
なるほどね、それは俺の落ち度だ。でも俺にはユリネルが!告白してなけど!(ディナメスははぶく)
「私のこと嫌いですよね、彼女さんもいますし…」
「いや!?そんな!彼女なんて…」
なぜてれるナウシカアちゃんよ。
「俺はな、大事な使命を果たすまで誰かと一緒に暮らすとかできないんだ。気持ちは嬉しいが俺より優しくてイケメンな夫を捕まえな。君の美貌ならすぐに会えるさ」
「いや!貴方様しかいません!使命があるのなら貴方様がそれを果たすまで私はずっと待ってます!」
恐ろしきブリーシンガルよ、正に呪いだな。どうあっても俺を色恋沙汰を起こさせたいらしいな。
「今日会ったばかりの男だぞ?」
「運命の出合いに早いも遅いもありません!」
もう諦めよう。わかってんだ!ディナメスみたいに諦めることを知らないんだろ!
「とりあえずまた会おう!」
ナウシカアちゃんの手をとって走り出す。
「また会おう!えっと…」
「デルドレ!私の名前はデルドレです!」
「デルドレ!また会おう!」
「待ってますからいつまでも貴方様の帰りを…」
ここでテレポートを発動させる。話の途中だったけど気にしない気にしない。
こうして宿に帰る。今日は色々ありすぎた。疲れたんだよ!
帰るとミルティーがまた座って待っていた。
「よう!遅かったな、仕事でもしてったのか?」
「そうだよ…もう死にそう」
「そんなんだと先が思いやられるな!」
ナウシカアちゃんは今、ギルドに依頼達成の報告に行っている。一人で大丈夫だということで俺は先に宿に帰ることにしたのだ。
「最初だから採取クエストか?随分てこずったんだな!」
ゲラゲラ笑うなよ~!俺だって頑張ったんだ!緊急依頼をな!
「採取クエスト?俺は緊急依頼をこなしたんだ」
ミルティーの顔つきが変わる。
「またオークが出たらしくてそれの殲滅にな」
「オーク?また出たのね。この近く?」
「いや、ノーイド村」
テレポート使ったからな早かった。
「嘘でしょ?そんなの二日はかかるわ」
「そうだろうな、けど俺は魔法使いだぜ?」
呆れてるように顔を押さえるミルティー。
「そうね、ユウはなんでもありよね。あの高さの滝から落ちても死ななかったし」
こうしてそこにナウシカアちゃんが帰ってくる。
「お待たせしました!」
「御苦労様、今日は疲れてるから俺は寝るぞ~」
「はい!お疲れ様でした!」
「しかしあんたも大変ね!仕事初日からオークと戦うことになるなんてね」
「そうですよ、命がいくつあってもたりないですよ!まったく」
「はいはい、いくらでも文句言ってくれ~報酬は明日山分けな」
「そんな!いいですよ!」
「あげないわけにはいかないでしょ?ちゃんと半分にわけるから…」
駄目だ、意識が朦朧としてきた。明日のことは明日考えよう。今は眠い。魔法を使いすぎたしグラムをやたらめったら振りすぎた。
そこに電報が届く。
「冒険者ギルドのユウ様!ギルドより実力を認められランクアップ試験に挑戦してください!」
うわっ!腕輪から映像が流れる。ナウシカアちゃんもみたいだ。
「日時は…」
「コラッ!勝手に始めんな!」
こちらの話無視ですか?勝手に話を進めないでくださいよ。
「内容は私が伺っておきますのでユウさんはお休みになってください」
「そうさせてもらう。もうなにも覚えてられない」
部屋に入ってもずっと鳴る腕輪。こっちの意志とは関係なく流れるんだろう。
こうして俺の伝説がまた一つ増えた。許嫁も。
だが明日、また地獄が待っていたのを俺は知らなかった。
次からは戦いも書こうと思います




